高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
あってはいけないこと~老人ホーム殺人事件~
ここ数日、介護業界を震撼させる「あってはいけない、あるはずがない」事件の報道が続いているのは、みなさんもご存じのことと思います。
川崎市の「Sアミーユ川崎幸町」で起こった老人ホーム殺人事件。21歳で入職した未経験の若者が、わずか6か月後に連続して入居者をベランダから投げ落として殺害した事件です。その容疑者の名は今井隼人(23歳)。2人転落死からは施設内で疑いはかけられていましたが6カ月間継続して勤務し、金品の窃盗(19件、200万円)が発覚して懲戒免職。その後1年以上が経過して今回の逮捕となりました。
このことについては、昨日、ケアタウン総合研究所の公式フェイスブックにアップしましたので、ご覧ください。今の時点で3300人の皆さんが読まれています。もちろん、過去最高。事件への関心の高さを示しています。
https://www.facebook.com/caretown.jp
今回、私がフェイスブックにアップしたのは、この事件に今までにない危機感を抱いたからです。どのコメンテーターも「介護ストレス、困難な利用者」が招いた事件という見せ方をしています。しかし、それでは全国の介護施設やグループホームは、いつ殺人が起こってもおかしくない環境である、と言っているようなものです。
さらに気がかりなのは社会福祉法人などの関係者からは「やっぱりもうけ主義はよくないよね」「企業がやっているから起こったんだ」という、ちょっと揶揄するような評価です。たしかに勤務シフトが連続16時間は当たり前のいう非人間的な現実はないかもしれません。しかし、虐待的なことが特養やグループホームでまったく起こっていないわけではありません。職員のストレスが極限になり燃え尽きてしまう人がいないわけでもありません。
問題提起したいのは、介護人材不足が「人を選べない」現状を招き、結果的に不適切な人さえ採用せざるをえない余裕のなさ、そしてすぐに辞めてしまうかもしれないというあきらめが育成をおろそかにしても平気という気分を作っているのではないか、ということです。
これらの背景の1つに「給与の低さ」があり、低くせざるを得ない「介護報酬の減額」があり、働く人を大切にしない一部の施設管理者層の意識・スタンスにあると考えます。
今井容疑者には、なんらかの人格障害に近いものがある、と評する方もいます。たしかに、その面は否定できないかもしれません。しかし、職場の人間関係や利益優先、能力主義優先のビジネス界に傷つき介護・福祉の仕事で再生し、やりがいを感じてがんばっている人もおおぜいいます。だからこそ、入り口の「採用面接」と「初期人材教育」をていねいに行うことで早期の離職と虐待的かかわりを抑制することができるのではないでしょうか?
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- シリーズ(9)「ケアマネ事業所の人材育成とメンタルマネジメント~採用・配置・育成・メンタルマネジメント~」(定員20名)
|日 時|2月28日(日)10:30~17:00
|詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2802.shtml - シリーズ(10)「地域包括ケアにおける地域密着型サービスのケアマネジメント~グループホーム・小規模多機能型居宅介護の勘所~」(定員20名)
|日 時|3月27日(日)10:30~17:00
|詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2803.shtml
- シリーズ(9)「ケアマネ事業所の人材育成とメンタルマネジメント~採用・配置・育成・メンタルマネジメント~」(定員20名)
研修会場・写メ日記
「地域ケア会議の開き方・進め方~問題発見・解決、課題達成、ズレの解消、仕組みの改善~」
「文章・記録の上達術」