高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
-
ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
言葉の力~信じること、疑うこと、託すこと~
私の人気のある研修テーマに「伝える力」があります。プレゼンテーションのように派手ではなく、友達とのコミュニケーションのようなお喋りでなく・・・
自分なりに利用者(家族)に伝えたいことを言葉化する・・・それに関心があるのでしょうね。伝えることをテーマにした研修に呼ばれることが多いことを実感します。
私は、冒頭に「伝える」ことの意味について考えてもらうために、男の子とのキャッチボールを例に話をします。
「そこの男性の方にうかがいます。7歳の子どもがパパにグローブを買ってもらいました。あなたはキャッチボールの相手です。では、どのような投げ方をされますか?」
「下から投げますね」
「そうですよね、下からゆるいボールを・・・そう、胸に向かって投げると思います。では、彼が中学1年生になりました。どのように投げますか?」
「う~ん、上からですね」
「思いっきりですか?・・・もちろん手加減しますよね。では、晴れて高校の野球部の部員になりました。ではどのように?」
「上から、思いっきりですかね(笑)」
「下から投げたり、手加減したら怒りますよね(笑)。つまり相手の力量に合わせて投げるわけですね」
ここで、「伝える」ことと「キャッチボール」の共通性を話します。
そして「話す」という行為は、相談援助職としてはあまり使わないほうがよい表現だということを漢字を例に上げます。
「皆さん、話すというとどのような漢字が頭に浮びますか?・・・そうです、放す、離す、ですね。どれもあるモノから切り離すという意味です。話すというのは一方通行です。でも伝えるは違います。だから、これからはうまく伝わったかな?と自問自答しましょう」
そして、「プレゼンテーション5つの要素」の話をします。
まずは、(1)受け手はだれか、ということ。これで、話し方や言葉の選び方はかわってきます。
次に、(2)何を伝えるか。つまりコンテンツですね。むずかしい内容なのか、身近な話題なのか、イメージが湧きやすいのか湧きにくいのかで、話し方も変えなくてはいけません。
(3)は送り手はだれか。みなさんの声は高いか低いか、話し方は早口かゆっくりか、わかりやすいかむずかしいか、が影響します。
(4)は方法です。音声だけか、文字を使うか、イラストや写真、動画を使うかで伝わり方はちがいます。
そして肝心なのは(5)です。
つまり、どのような効果や行動を狙うのか。その目的に応じて、話し方や方法、送り手(伝え手)を選ぶことが大切、という話をします。
相談援助職は話し方が命。しかし、よくよく聞いていると、親しいあまり「タメ口」が多いことがかねてから気になります。「人生の先輩」と持ち上げておきながら、その相手となれなれしい言葉づかいをする矛盾を事例を上げながら指摘をします。
そしてどのような敬語を使えばよいか・・・
- ・丁寧語
- ・尊敬語
- ・謙譲語
この3つの違いと使いこなし方をワークします。
この敬語のワークショップはことさら人気です。それほど、多くのみなさんが「気にはなっているが見過ごしてきた」「気にはしてきたけど、だれにも相談できずにいた」ことだったことがわかります。
言葉は人を励まし、支え、あたたかく包みこむことができます。
しかし、言葉は人の心を傷つけることもできます。
悪気なく使っている言葉が、相手にはとまどいでしかない表現となっているなら、これほど残念なことはありません・・・と話します。
この「伝える力」研修は、参加されたみなさんにとっても学びと気づきの多い、とても満足感の高い研修となっているようです。
- 今週のメールマガジン「元気いっぱい」第446号(無料)ムロさんの緊急発信!「高齢者ドライバー~今、そこにある危機への対応~」(第1・3木曜日に配信)です。メルマガは随時登録受付中です。⇒ ケアタウンの公式HP
- シリーズ(8)「ケアマネ事業所のマネジメントと苦情対応~採用・育成・メンタルマネジメントと苦情対応~」(定員20名)
|日 時|1月24日(日)10:30~17:00
|詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2801.shtml - シリーズ(9)「ケアマネ事業所の人材育成とメンタルマネジメント~採用・配置・育成・メンタルマネジメント~」(定員20名)
|日 時|2月28日(日)10:30~17:00
|詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2802.shtml
- シリーズ(8)「ケアマネ事業所のマネジメントと苦情対応~採用・育成・メンタルマネジメントと苦情対応~」(定員20名)
研修会場・写メ日記
「チームケアに活かす伝える力」
「本人らしさを活かした自立支援プラン作成法」
「メンタルマネジメント~「感情労働」とストレスケア~」
「質問力で磨くアセスメントと相談援助技術」
「めざせ、モニタリングの達人!~ケアプラン評価とリスクマネジメント~」