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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

「介護離職ゼロ」が組合から企業のテーマに!

 先週、正確には先々週の金曜日「介護離職」を取り上げました(先週、どうしても書けなかったため(>_<))。その時は安倍首相の「2本目の矢」にからめて書きました。
 今回は、ちょっと角度を変えて「介護離職」を考えてみましょう。

 安倍政権が「介護離職」を大々的に発信してくれたおかげで、NHKではさっそく23日11時からのニュース番組のミニ特集のテーマに取り上げていました。そこには、東レ研究所職員で介護を続けている尾崎さんとNPO法人ケアメンタル協会理事長で3人の家族の介護を経験した女性の方が出演していました。

 また22日(日)のフジテレビ新報道2001では、中高年の離職とブラックバイトがテーマでしたが、出演している元NHKアナの男性は家族の介護を理由に50代で退職し再就職にとても苦労しているという話題が取り上げられていました。

 まさに中高年の働く男女にいっせいにのしかかってきている「家族介護」・・・そして「仕事」との両立。
 四半期ごとの売り上げアップ、徹底したコストカット、業務の無駄を排し効率化をめざす企業にとっては、「介護と仕事の両立」は、できれば見過ごしてしまいたい、個々でうまくやってもらいたい「社員の事情」でした。
 ところがここにきて見過ごせなくなってきたのは、企業がまだまだ活躍してもらいたい「有能な人材」が介護が理由で仕事に支障が生まれ、やがて会社を去ることが多くなってきたからです。

 いわば「人材損失」の大きなファクターになってきたので、無視ができなくなってきた、というわけです。
 労働組合が取り組むテーマを企業側が積極的に取り組むムーブメントはとてもいい傾向だと思います。
 要するに、いままでは「お荷物」だったテーマだったのですが、企業利益を生み出す(維持する)ためには避けられないテーマと位置づけ直したわけです。そのような人が働き続けられる環境づくりは「利益の維持&確保となる」と位置づけるようになったことを意味します。

 もちろん、このようなことを言うと「だったら、そもそも企業にとってお荷物の50代の人はさらに切られやすくなるのでは?」というツッコミが入るでしょう。
 たしかにそのような傾向が強くなることは危惧されます。
 しかし、そもそも、ここ20年近くは「会社(国)が自分に何かをしてくれるかではなく、会社(国)に自分が何ができるか」という考えで人事システムが変わってきました。
 ならば職業・職場の確保という「働く権利の保障」という視点ばかりでなく、家族介護をやっている社員でも企業に貢献できる(価値を提供できる)働き方と働く文化、そしてそのような人を応援する企業文化をつくる時期にきているのではないでしょうか。

 同時に、従来の家族介護のイメージを塗り替えなければいけません。つまり、介護のカタチとコンセプトをイノベーションするのです。

  • ・家族中心で介護するスタイル

 だけでなく・・・
  • ・介護保険サービスを上手に使いこなしながらの介護スタイル
  • ・介護保険サービスと保険外サービスを使いこなす介護スタイル

 そして・・・
  • ・施設に介護を任せるスタイル
  • ・施設とともに介護をするスタイル

 さらに・・・
  • ・地域とともに地域のなかで行う介護スタイル
  • ・地域の元気高齢者とともにする介護スタイル

 そして・・・
  • ・1人暮らしでもやっていける介護スタイル

 「家族介護の破綻」から失業や失職、さらにストレスからくる虐待、緊急の入院、そして施設入所というパターンがあります。
 しかし失業や失職をしてしまっては施設の入居金や月々の支払いさえも負担できないために施設入所の選択もできず、在宅サービスの1割負担さえ支払えない「最悪のパターン」が生まれていることは、あまり知られていません。

 企業が行う「介護支援」といえば「介護休暇」の総量アップがよく言われますが、それだけではありません。
 介護休業、介護復職、介護異動、家族介護者向け勤務シフト(例:1日4時間勤務、週休3日、在宅勤務)から、介護割増給付、介護保険1割負担給付、施設入所補助などなど・・・
 そしてなにより大切なのは職場の意識改革。つまり介護をしている同僚への「職場の理解と応援」です。

 まさに今回の「介護離職ゼロ」のメッセージは、さまざまなインパクトを持ってメディアと産業界に影響を与えています。

 ちなみに、介護業界の「介護離職率」はいかがでしょうね。これが「格段に低い」となったら、介護離職ゼロを率先して実現しているのが介護業界という「すばらしい看板」を掲げることができると思いますが、いかがでしょうか?

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  • シリーズ(7)「めざせ、モニタリングの達人!~ケアプラン評価とリスクマネジメント~」(定員20名)
    |日 時|12月13日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2712.shtml
  • シリーズ(8)「ケアマネ事業所のマネジメントと苦情対応~採用・育成・メンタルマネジメントと苦情対応~」(定員20名)
    |日 時|1月24日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2801.shtml
 全国研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。

研修会場・写メ日記

新潟県ケアプラン点検フォローアップ研修(新潟市、長岡市)

小金井市地域包括支援センター&ケアマネ研修
「文章と記録の上達術(3)~モニタリング、苦情、事故対応~」

京田辺市地域包括支援センター研修会
「感情労働とストレスケア」

京都市地域包括支援センター管理者研修
「地域包括支援センターの人材育成と組織マネジメント」