高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
連載裏話:本人(家族)の実録小まとめ・大まとめ
今月号の月刊ケアマネジャー9月号は8月号の「小まとめ・大まとめ」の実録版です。
8月号では、「まとめ方」がわからないケアマネジャーのみなさんの悩みに答える内容でした。全体に大きくまとめるまえに「小まとめ」を入れることで話し合いが整理できていくプロセスを書きました。
今回は、あるサービス担当者会議を例に「小まとめ・大まとめ」を再現してみました。
サービス担当者会議で話し合うテーマはたくさんありますが、今回は「意向」をまとめることにしました。
とかく意向の話し合いは、いきなり「これからどうしたいか」を引き出すことをやりがちです。しかしご本人(家族)にとっては、退院・退所後、不安やとまどいのなかにいることが多いので、この問いかけはちょっとフライングと私は考えます。
ではどうするか?
まずは、ご本人や家族として困っていること、手間取っていることを聞き出します。これだけだと後ろ向きな話ばかりになるので、次に、大変な中でいまできていること、なんとかできるようになったことを聞き出します。
要介護5でない限り、できることはあります。そのできることを引き出すこと、それに肯定的な言葉がけをすることで、本人(家族)は肯定感をいだくことができます。
そして意向に引き出す段階です。
困っていることがどうなればいいか、どうしたいのか、を聞き出しましょう。それを実現するために、自分でできること、家族親族でできること、介護サービスで行なうこと、医療サービスでできること、ボランティアや近隣の支え合いで行ってもらうことを話し合い、計画化するのが「第2表」です。
連載では、なんとか2ページにおさめるために、ケアマネジャーが行う共感や承認などの言葉は省略しています。本当なら、本人の意向を聞くだけ5~10分程度は当然かかります。家族の意向がこんなにスマートに語られることも少ないでしょう。不安や愚痴がさんざん語られ、もっぱら利用したい・頼りたい介護サービスを主張されるばかりとなりがちだからです。
今回の連載のやりとりで特徴的なのは、本人(家族)の意向に専門職が発言を添えていることです。「意向」を語ろうにも、本人(家族)には介護生活のイメージが湧かない、あるいはマイナスのイメージばかりが浮かんできて、後向きな意向しか語られないことが多いからです。
家族の意向のところで・・・
- ■理学療法士「もう少し足腰のリハビリをがんばれば、足腰にも力が入るようになって、3カ月後には外出できるようになるでしょうね」
- ■福祉用具相談員「外出の時に4点杖をお使いになれば、かなり安定しますよ」
このように専門職からのアドバイスで可能性が見え、「意向」を語りやすくなります。
このように「小まとめ」で要約&整理することで、「大まとめ」にまとめあげることが可能となります。
ぜひ第6回「実録編」をお読みになってみて下さい!(^^)!
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