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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

居住系施設の存亡はいかに?

 先月の1日、東京都は有料老人ホームを対象に集団指導を行いました。その理由は、この10年間で都内の施設数が3倍に急増しているからです。具体的には、平成17年で206施設(14,491室)だったのが、平成27年には669施設(41,469室)となっているのです。
 (写真は、私も監修者としてかかわった「週刊朝日ムック:高齢者ホーム2015」です:以下同じ)


 特養の場合は、社会福祉法人の監査が2~3年に1回はあり、実地調査も行われます。ところが有料老人ホームにいたってはかなり手薄な状況が続いてきました。
 東京都では、まずは一同に集めて集団指導なるものを開いたところ、1施設1人で450施設が集まったといいます。

 内容はごくごく基本的なことばかり。介護事故予防や事故発生時の対応、行政への報告、再発防止策、重要事項説明書の扱い、さらにリスクマネジメントなどなど。
 さらに運営上のトラブルで、常勤看護師が突然に退職をしたため人員基準が満たされなかった事例、ケアマネジャーが5年目の資格更新を忘れた事例などを紹介したようです。

 そもそも有料老人ホーム、そのものが変わってきています。介護付き型と住宅型、それぞれの違いが一般の方にはいま一つわかりづらいようです。さらにサービス付き高齢者向け住宅(以下:サ高住)の誕生で、住宅型との違いがさらにややこしくなりました(>_<)。
 今月に入り、週刊誌や月刊誌などの取材を受けることが多くなり、そのあたりを整理して話をすると、ようやく「なるほど~」となりますが、たいていのみなさんはこんがらがっていますね。


 住宅型とサ高住といえば「集中減算」の強化があります。訪問介護事業所や通所介護事業所の立地で減算を決めようというもの。今回の制度改正では「同一建物内」が「同一敷地内」に変更となりました。
 そもそも厚労省がモデル的に示していたんじゃなかったっけ?とツッコミを入れたくなりますが、あまりの「介護報酬の垂れ流し」が目に余るので、ジャンケンの後出しという得意の手法を使ったわけですね。
 全国有料老人ホーム協会が5月末に開いた制度改正等説明会で、事務局長が次のようなことを熱心に説明したそうです。
「(1)訪問介護事業所とサ高住が公道を隔てた敷地に併設をしている場合は減算となります。しかし(2)有料老人ホームが幅員の広い道路に隔てられている場合は減算にならないのです」
 集中減算になると売上げが落ち込むだけでなく、厳密な給付請求をやっていないと「不正請求」として指導が入り、行政処分(例:新規受け入れ停止、指定事業所の抹消=お取り潰し)にヒヤヒヤすることになるからです。


 介護報酬のマイナス改定で売り上げが減少するため、さらなる「囲い込み」や「必要のないサービスの強要」「生活支援サービスの引き上げ」などが行われることが危惧されます。
 しかし、これは事業所側、経営側のこと。有料老人ホームに入居する方たちにとって、かなりの痛手となるのが「自己負担2割」の層ではないでしょうか?  シンプルに考えて、要介護3の方の1割負担(26,500円)が2割負担(53,000円)になるインパクトは相当です。これが払いきれないために「退去」となる入居者の方はいるでしょう。
 中重度の利用者を積極的に受け入れてきた介護付き型や住宅型はどうすればよいか、を説明会で知恵を絞ることが必要なのではないでしょうか?

 居住系施設が急増しているという話の一方で、「けっこう空いていますよ」という声も現場から聞くようになってきました。サ高住だけでも平成27年5月で「18万床」ですからねぇ・・・(^_^;) 特養待機待ちといっても「リアルに待っている人」は何割でしょう。とりあえず申し込んでいる人も多く、名寄せをしたら実際は5分の1くらいだったりして?

 居住系施設の存亡は未知の領域に入ったなと思いますが、みなさんはいかがお考えですか?

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    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2709.shtml
 全国研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。

研修会場・写メ日記

神奈川県介護支援専門員協議会主催
「相談援助の実践~質問力と伝える力~」