高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?
全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。
- プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)
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ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。
「多死社会」に向き合うこと
昨日はさいたま市の介護支援専門員協議会の研修会でした。
テーマは「介護保険制度改正と求められるケアマネジメント」です。約120名のケアマネジャーのみなさんが参加されました。
制度改正のお話しの前に、そもそも私たちが向き合わなければならない、これからの30年間についてお話をしました。
いくつかをお話しをしたなかで、4番目に上げたのが「多死社会の到来」です。
「明治維新の時、つまり江戸時代の幕末の頃の人口は、約4000万人といわれています。そして終戦の年の昭和20年、1945年は約7000万人。それから、人口は急カーブで増え、1億2000万人になり、いま緩やかに人口減少社会が始まっています。つまり、戦後70年で人口が5000万人増えたことになります。その揺り戻しが始まったと私は考えます」
この多死社会にどうやって向き合うか・・・まさに地域包括ケアシステムで「医療と介護」の連携をめざす理由の1つに「多死社会への対応」があります。
どこで、死を迎えるのか。
どこで、看取りをするのか。
自宅、施設、病院、住み替え先(例:有料老人ホーム、サ高住?)のどこでしょうか?
ちょうど1年前に第1回在宅療養支援診療所大会が東京で開かれました。そこに参加した時に、愛媛県松山市でたんぽぽクリニックで在宅医療にとりくむ永井医師が次のようなお話をされました。
「良くなると思っている家族は、悪くなることにいつまでも向き合えないことになります」
そして千葉県の市橋医師は次のように話されました」
「がん末期の患者の方に向き合うと告知のことがつねに問題になります。伝えた後悔と伝えなかった後悔、両方があります」
それぞれの医師の言葉は、多死社会を考える上で示唆に富んでいます。
多死社会がやがてそこにやってきます。
それはどういうことなのか・・・
「もしかすると、焼き場が3週間待ちなんてザラになるかもしれません。孤独死なんて日常のことで、事件にすらならない当たり前のこと・・・もしかすると遺体を持たせるために簡易ドライアイス噴霧器が行政から貸し出しをされる日が来るかもしれません」
看取りケアが遺体の対応までやらなくてはいけなくなる日がくるかもしません。
制度改正や地域包括ケアをここ5年の視野でなく、30年先を見通した視野が求められることをお話しさせていただきました。
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ムロさんの写メ日記
「人材育成に活かすスーパービジョン」研修(地域包括支援センター対象)