梶川義人の虐待相談の現場から
様々な要素が絡み合って発生する福祉現場での「虐待」。
長年の経験から得られた梶川さんの現場の言葉をお届けします。
- プロフィール梶川 義人 (かじかわ よしと)
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日本虐待防止研究・研修センター代表、桜美林大学・淑徳大学短期大学部兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。
ブログを分析してみました(その1)
このブログを書き始めてから、今回でちょうど100回目の更新です。約2年にわたり書いてきわけですが、徒然なるまま綴ってきたため、自分でもどのようなメッセージを発してきたのかよく分かりません。そこで、ブログの全文データ(約138,000語)を分析し、傾向や特徴を抽出してみました。
具体的には、用いられた言葉の出現パターンの似たもの同士を線で結んだ、共起ネットワーク図を描きました。さすがに手作業では難しいため、樋口耕一氏の「KH Coder(Ver. 2.Beta.32c)」というフリーソフトを用いました。
今回と次回で、その結果をご報告しようと思います。
第1に、「虐待」が最も多く使われているのですが、「高齢」と「対応」と「問題」と「防止」の語と同時に使われていることが多いことや、「高齢」には「介護」と「養護」、対応には「事例」と「検討」がつながっているところをみると、私の専門が高齢者虐待の防止であるとことがよく表れているようです。
第2に、「国の対応状況調査結果」の出現頻度が高いので、私の論は専らこの調査結果を根拠に組み立てられているのかもしれません。
第3に、「構築」の語を中心に、「社会」と「地域」につながる流れと、「構築」につながる流れがあるようです。そして、「社会」の流れは、「福祉」や「サービス」や「事業」に、「地域」の流れは、「ケア」や「追求」や「可能」とつながっていますから、意識はしていないものの、私は、社会的システムや地域ケアシステムにも言及したがっているのでしょうか。
また、どうやら私は、「構築」という言葉を好むようです。そして、「信頼」や「ネットワーク」や「機能」と合わせて用いていますが、とくに「信頼」では、「関係」や「人間」とつながる文脈を好むようです。
第4に、私は、人間関係などについて「立脚点」という語を用いて説明するせいか(このブログの「私の世界、あなたの世界、そして私たちの世界」をご参照下さい)、「客観中心の立脚点」という表現をよくしているようです。
第5に、虐待の行為類型を示す「身体」や「心理」や「ネグレクト」や「身体拘束」のつながりが抽出されています。
しかし、性的虐待を示す語は、抽出されていません。高齢者虐待では、発生件数が極めて少ないためだと思いますが、児童虐待、DV、障害者虐待などでは、それなりの件数があるのですから、いずれ言及したいと思います。
また、経済的虐待を示す語については、経済問題が、虐待発生の背景要因としてよく取り上げられることもあって、「生活・領域・経済」のかたちで抽出されています。
to be continued… 分析は次回へ続きます