梶川義人の虐待相談の現場から
様々な要素が絡み合って発生する福祉現場での「虐待」。
長年の経験から得られた梶川さんの現場の言葉をお届けします。
- プロフィール梶川 義人 (かじかわ よしと)
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日本虐待防止研究・研修センター代表、桜美林大学・淑徳大学短期大学部兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。
強みと弱みと費用対効果
先立つ実績がない?
新年度になったせいでしょうか、新たに計画を立案したり、新たな計画を実行に移し始めたり、何かと「計画」を意識する機会が増えたように思います。そんな矢先、政府が「異次元の少子化対策」という計画のたたき台を発表しました。
今後3年間を集中取組期間として、優先度の高い政策、「児童手当など経済的支援の強化」、「学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充」、「働き方改革の推進」の三本柱を軸に対策を進めるといいます。
詳細はまだ不明なためコメントしにくいのですが、直感的には「費用対効果」が鍵を握るのではないか思います。WHOもよく費用対効果に着目していますし、実際、私の出席する会議で事業計画を審議する際にも、論点になることが少なくありません。虐待問題についてもまた然りです。
先立つものには限りがあるのですから気になるのは当然です。それに、過去の実績を参考にすれば、それなりに考えることはできそうにも思えます。では、エビデンス(科学的根拠)となるデータなどがない場合は、どのように考えれば良いのでしょうか。
「強み」は「実績」
私は、より建設的に考えようとするなら、過去の教訓を活かそうとする「PDCAサイクル」的な発想より、現状を起点として独創性と先進性を発揮しようとする「OODAループ」的な発想が向いているように思います。
つまり、現状を徹底的に「観察」したうえで、深い洞察にもとづき「状況判断」と「方向づけ」をしていくのです。しかし、「現状を徹底的に」とか「深い洞察」と言われても、どこか雲を掴むような話です。何か具体的な手立てはないものでしょうか。
そこで、私なりに一計を案じてみたら、案外いけそうな気がしてきました。たとえば「観察」と「状況判断」は「物語」として情報圧縮すれば良く、「方向づけ」と「意思決定」は、「強みと弱みの分析」と「むこう3ヶ月を5段階程度で計画立案」でクリアできそうだからです。
一番のポイントは、「強みと弱みの分析」を過去の「実績の評価」だと考えて、「5段階程度で計画立案」の際、「弱みの解消」より「強みの促進」を優先させるという点です。これなら、「過去の実績を合理的にふまえている」と言って良いのではないかと思います。
「もうソーシャルゲーム辛い(泣)」
「費用対効果ですねぇ…」