ケアプランに活かす! 病気と薬の知識
【脳梗塞・脳出血】薬の効果&副作用は? ケアマネが押さえたいポイントを徹底解説!【医師監修】
脳梗塞・脳出血でよく使われる薬について、副作用や飲み合わせ、いつまで服用すればよいかなど、ケアマネジャーが押さえておきたい留意点を詳しく解説します。
【監修】
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士
- 目次
1.脳梗塞・脳出血(脳血管障害)ってどんな病気?
脳血管障害とは、脳の血管が詰まったり、破れたりして、脳の働きに障害が起きることをいい、脳梗塞は脳の血管が詰まることを、脳出血は脳の血管が破れることを指します。
脳梗塞は、以下の3種類に分けられます。
アテローム血栓性脳梗塞
脳血管の動脈硬化により血管が狭くなることで起こる
心原性脳塞栓
脳血管に心臓などでできた血のかたまりが詰まる
ラクナ梗塞
小さな血管が詰まる。梗塞巣も1.5cm以下である
脳梗塞、脳出血の発症は突然で、命にかかわります。また、治療しても後遺症が残ることがあり、退院時には、医療的ケアも念頭にアセスメントを行う必要があります。
2.脳梗塞・脳出血でよく使われる薬
抗血小板薬
アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞の再発予防として使われます。
バイアスピリン、パナルジン、プラビックス、バファリン、エフィエント
抗凝固薬
心原性脳塞栓および全身性塞栓症の再発予防として使われます。
ワーファリン、プラザキサ、リクシアナ、イグザレルト、エリキュース
脳循環・代謝改善薬
脳の血流をよくして、脳梗塞の後遺症であるめまいや意欲低下を改善します。
セロクラール、サアミオン、ケタス、シンメトレル、アデホスコーワ
生活習慣病の治療薬
脳梗塞・脳出血の原因となる糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の薬が使われます
。3.脳梗塞・脳出血の薬の副作用
抗血小板薬や抗凝固薬といった血液をサラサラにする薬には、出血しやすいという副作用があります。
けがで出血がなかなか止まらない、尿管カテーテルからの出血が止まらないといった場合には、診察をする医師に服薬内容を伝えましょう。
4.脳梗塞・脳出血の薬はいつまで服用すればよい?
抗血小板薬や抗凝固薬の服用に「いつまで」という期限はなく、継続的に服用する必要があります。
利用者が服薬を忘れていないか、自己判断で服薬をやめていないか等に注意しましょう。副作用等が気になる場合には、主治医に相談しましょう。
5.ケアマネジャーが押さえておきたいポイント
抜歯や手術の際の服薬に注意する
脳梗塞の薬は、抜歯や手術の際に、一時的に服薬を止める場合があります。事前に歯科医や担当医に服薬情報を伝えておきましょう。
疾患予防の点から服薬を継続したほうがよい場合も多く、必ず医師と相談をしてください。ワーファリンなどの抗凝固薬服用中の患者の抜歯に関してはガイドラインがあり、原疾患が安定し凝固機能が保たれている場合は、休薬せず抜歯することもあります。
バイアスピリンは手術7~10日前から休薬、パナルジンは10~14日前から休薬など、薬剤によって期間は異なるため、医師への相談が必要です。
ワーファリン服用時の飲み合わせに注意する
ワーファリンは、ビタミンKを摂取すると効き目が弱くなります。
ワーファリンを服用する場合、ビタミンKを多く含む納豆や青汁、クロレラなどを摂らない、緑黄色野菜は過剰摂取しないようにします。
カルシウム(Ca)拮抗薬服用時の飲み合わせに注意する
高血圧の治療薬としてよく使われるカルシウム(Ca)拮抗薬は、グレープフルーツやその加工品(ジュースなど)と同時に摂取すると、頭痛、めまい、ほてりなどの症状が出ることがあります。
これは、グレープフルーツの中に含まれる成分により、血液中の薬の濃度が上がり、通常よりも薬の効果が強く出るためと考えられています。
アダラート、ノルバスク、アムロジピン、ペルジピン、バイミカード、ニバジール、ヒポカ、ヘルベッサー、カルブロック
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本記事の内容は、苛原実『改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり』の内容をもとに編集・作成しております。改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり
この記事を監修した人
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士。1994年千葉県柏市でいらはら整形外科を開業。1997年千葉県松戸市に「いらはら診療所」を開設。入院を嫌がる骨折患者への往診をきっかけに、思いがけず在宅医療の世界へ。以降、県内で訪問看護、リハビリテーション、老人ホーム等の事業を展開しながら、訪問診療を続ける。
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