ケアプランに活かす! 病気と薬の知識
【骨粗鬆症】薬の効果&副作用は? ケアマネが押さえたいポイントを徹底解説!【医師監修】
骨粗鬆症でよく使われる薬について、効果や副作用など、ケアマネジャーが押さえておきたい留意点を詳しく解説します。
【監修】
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士
1 骨粗鬆症ってどんな病気?
骨は、破骨細胞による骨吸収(骨の破壊)と骨芽細胞による骨形成を繰り返して毎日生まれ変わります。
このバランスが崩れ、形成が吸収に追いつかず骨折の危険性が高い状態が、骨粗鬆症です。
骨量(骨に含まれるカルシウムなどの量)が低下し、骨のなかの微細構造が壊れて非常に脆くなります。
骨粗鬆症自体で痛みが出ることはなく、背中が丸くなったり(円背・亀背)、背が縮んだりします。
2 骨粗鬆症でよく使われる薬
骨粗鬆症でよく使われる薬には、主に骨吸収の抑制、骨形成の促進などの作用があります。
ビスフォスフォネート製剤
骨粗鬆症の第一選択薬で、骨吸収を抑制します。
起床時にコップ1杯の水で飲み、その後30分は横になれず食事もできないなどの制約があります。
ボナロン、フォサマック、ベネット、アクトネル、ボノテオ、リクラスト(年1回の点滴静注薬)、ボンビバ(静注薬もあり)
SERM(サーム)製剤
女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをして、骨吸収を抑制します。
閉経後の女性に適しています。
副作用として静脈血栓塞栓症があり、注意が必要です。
エビスタ、ビビアント
カルシトニン製剤
骨吸収を抑制し、痛みを抑える効果があります。
エルシトニン (注射薬)
抗RANKLモノクローナル抗体
骨吸収を抑制します。
骨から血液中へのカルシウム移行が少なくなるため、低カルシウム血症の副作用に注意します。
プラリア(半年に1回の注射薬)
抗スクレロスチン抗体
スクレロスチンの働きを抑えて、骨吸収を抑制し、骨形成を促進します。
イベニティ(月に1回、12か月)(注射薬)
遺伝子組み換えヒトPTH
骨形成を促進します。
フォルテオ、テリボン、オスタバロ (すべて注射薬)
活性型ビタミンD3製剤
破骨細胞の働きを弱めて骨吸収を抑制するとともに、腸管からのカルシウムの吸収を高め、骨形成を促進します。
腎機能が悪い場合、高カルシウム血症になることがあり、注意が必要です。
アルファロール、エディロール、ワンアルファ、ロカルトロール
カルシウム/天然型ビタミンD3/マグネシウム配合剤
「プラリア」投与患者に適応があります。
デノタス
ビタミンK2製剤
骨吸収を抑制するとともに骨形成を促進し、骨の代謝を整えます。
グラケー
カルシウム薬
体内にカルシウムを補充します。
アスパラ-CA、乳酸カルシウム
3 骨粗鬆症の薬の副作用
ビスフォスフォネート製剤で気を付けたい副作用は、吐き気、下痢、食欲不振、便秘などです。
ビスフォスフォネート製剤では、ごくまれに、顎骨壊死(がっこつえし)と呼ばれる顎の骨が腐る副作用が報告されています。
細菌の感染によって起こるため、定期的な歯科受診や、日頃から口腔衛生を保つことが重要です。
歯科受診の際には、歯科医に薬の服用について伝えておきましょう。
また、高カルシウム血症などの副作用をチェックするためには、定期的な血液検査が必要です。
4 ケアマネジャーが押さえておきたいポイント
負担軽減のため、月1回服用する薬が多く使われていますが、認知症の人などでは定期的に飲むことが難しい場合もあります。
医師に認知機能の状態のことを話しておいたほうがよいでしょう。
骨形成促進剤(遺伝子組み換えヒトPTH)の1つは、毎日自宅で行う自己注射薬です。
自己注射が正しくできていないような場合はかかりつけ医に報告して、薬剤の変更の相談をしてください。
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本記事の内容は、苛原実『改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり』の内容をもとに編集・作成しております。
改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり
この記事を監修した人
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士。1994年千葉県柏市でいらはら整形外科を開業。1997年千葉県松戸市に「いらはら診療所」を開設。入院を嫌がる骨折患者への往診をきっかけに、思いがけず在宅医療の世界へ。以降、県内で訪問看護、リハビリテーション、老人ホーム等の事業を展開しながら、訪問診療を続ける。
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