ケアプランに活かす! 病気と薬の知識
【誤嚥性肺炎】予防や食事の留意点、治療薬などケアマネが押さえたいポイントを徹底解説!【医師監修】
誤嚥性肺炎について、予防方法、食事や姿勢の留意点、治療薬など、ケアマネジャーが押さえておきたい留意点を詳しく解説します。
【監修】
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士
1 誤嚥性肺炎ってどんな病気?
誤嚥性肺炎は、飲み込みの状態が悪くなり、
*咳嗽反射:異物が気管に入ると、咳でそれを取り除こうとする反射のこと
胃では栄養となる食物も、清潔な臓器である肺の中では、細菌のかたまりとなり、肺炎を起こします。
脳梗塞後遺症の基礎疾患やアルツハイマー病末期になると、嚥下機能が低下し、発症しやすくなります。
嚥下障害が重度になると、食事とは関係なく、寝ている間などに唾液を誤嚥することで肺炎を起こすこともあります(不顕性誤嚥)。
主な症状
- ・発熱、倦怠感、食欲不振などの全身症状と、咳、胸痛、呼吸困難などの呼吸器症状があります。
- ・高熱が出ることは少なく、「いつもより元気がない」「食欲がない」などの症状の場合が多いです。
- ・嚥下状態が悪化してくると、食事中の咳き込みやむせ、食後に痰が出るなどがあります。
2 誤嚥性肺炎の予防方法は?
- ・再発防止や予防には、口腔ケアが大切です。歯や粘膜をきれいにしておくことで、口腔内の細菌を減らすことができます。
- ・舌、歯肉などを歯ブラシやスポンジブラシで刺激することで、唾液の分泌促進や嚥下反射を誘発し、誤嚥の予防にもなります。
*嚥下反射:口の中でひとかたまりとした食物を、のどから食道まで運ぶ運動を起こす反射のこと
3 食事や姿勢の留意点は?
- ・誤嚥性肺炎の予防には、食事の形態も重要です。嚥下の状態に応じて、刻み食、ペースト状、ゼリー状と形態を変えます。
- ・液体は誤嚥をしやすく、トロミをつけることも必要です。
- ・食事の際の姿勢も重要で、可能ならいすなどに腰かけて食べることが一番です。
- ・座れない場合はベッドをなるべく起こし、首がやや前屈になると誤嚥が少なくなります。
- ・食事が終わってもすぐに横にならず、しばらくは上体を上げたままにしておきます。
4 誤嚥性肺炎の治療薬は?
誤嚥性肺炎の治療では、まず食事を止めて、誤嚥の原因を少なくしてから、抗生物質の投与を行います。
食事を止めるため、多くの場合は入院をして点滴を行うことが必要です。
ペニシリン系薬
ビクシリン、ペントシリン
セフェム系薬
ケフレックス、セフゾン、バナン、フロモックス
マクロライド系薬
クラリス、クラリシッド、ジスロマック
テトラサイクリン系薬
ミノマイシン、レダマイシン、ビブラマイシン
キノロン系薬
クラビット、シプロキサン、ガチフロ、アベロックス、ジェニナック
5 チームケア・連携のポイント
歯科医との連携
誤嚥が疑われたら、歯科医と連携をとることが大切です。
嚥下状態をみる検査だけでなく、口腔ケアの介護職や看護職への指導についても相談しましょう。
栄養士との連携
嚥下状態に応じて食形態を変えていくため、管理栄養士との連携がポイントとなります。
なかには、生活の場まで来て訪問栄養指導をしてくれる管理栄養士もいます。
訪問診療に積極的な診療所などに相談をしてみてください。
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本記事の内容は、苛原実『改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり』の内容をもとに編集・作成しております。
改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり
この記事を監修した人
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士。1994年千葉県柏市でいらはら整形外科を開業。1997年千葉県松戸市に「いらはら診療所」を開設。入院を嫌がる骨折患者への往診をきっかけに、思いがけず在宅医療の世界へ。以降、県内で訪問看護、リハビリテーション、老人ホーム等の事業を展開しながら、訪問診療を続ける。
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