ケアプランに活かす! 病気と薬の知識
【狭心症・心筋梗塞】薬の効果&副作用は? ケアマネが押さえたいポイントを徹底解説!【医師監修】
狭心症・心筋梗塞の薬について、副作用や飲み合わせ、いつまで服用すればよいかなど、ケアマネジャーが押さえておきたい留意点を詳しく解説します。
【監修】
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士
- 目次
1 狭心症・心筋梗塞ってどんな病気?
心臓は、酸素の多い血液を肺から全身の臓器に届けるポンプ機能を果たしています。
心臓を動かすために酸素と栄養を供給する3つの重要な血管を冠動脈と呼びます。
狭心症
冠動脈の一部が狭くなって、血流が少なくなり、栄養が十分に行きわたらなくなった状態を狭心症といいます。
- ・胸の中央部が締めつけられるような痛みや圧迫感で、階段を上ったり、急ぎ足で歩いたりしたときに現れます。
- ・少し休むと症状がなくなるのが特徴です。
心筋梗塞
冠動脈が詰まり、血流が止まって心筋の一部が壊死した状態を心筋梗塞といいます。
- ・激しい胸痛が代表的です。
- ・高齢者では胸痛を伴わないことが多いという特徴があるため、見過ごさないよう注意が必要です。
- ・吐き気、呼吸困難、動悸、失神などもあります。
- ・心筋梗塞による放散痛で左肩痛が現れることもあります。
狭心症・心筋梗塞は、心不全を引き起こす大きな原因の1つでもあります。
2 狭心症でよく使われる薬
硝酸薬
いわゆるニトロと呼ばれる薬で、冠血管を直接拡げます。
発作時の飲み薬(舌下投与)と、発作予防の飲み薬・貼り薬があります。
発作時予防の飲み薬(主な商品名)
ニトログリセリン、ニトロペン、ニトロール
※口腔内が乾いた高齢者等では、口腔内噴霧薬(ミオコールなど)を使ったほうがよい場合もあります。
発作予防の飲み薬(主な商品名)
アイトロール、フランドル
発作予防の貼り薬(主な商品名)
フランドルテープ、ミリステープ、ニトロダームTTS
カルシウム(Ca)拮抗薬
血管を拡張させることで、発作を予防します。
主な商品名
ノルバスク、アムロジン、バイミカード、アダラート、ヘルベッサー、コニール
その他に、シグマート、ペルサンチン、ロコルナール、コメリアン等の冠血管を拡張させる薬が使用されます。
3 狭心症・心筋梗塞でよく使われる薬
抗血小板薬
血液をサラサラにして、動脈の血栓を予防します。
主な商品名
プラビックス、パナルジン、バイアスピリン、プレタール、バファリン、ソルミラン、エフィエント
β遮断薬
血圧や心拍数を抑えることで、発作を予防します。
主な商品名
セロケン、テノーミン、メインテート、インデラル、ミケラン、アドビオール
4 狭心症・心筋梗塞の薬の副作用
狭心症で使われる血管を拡張させる薬は、冠血管以外の血管にも作用するため、頭痛や頭重感、急激な血圧低下によるめまいや立ちくらみが起こることがあります。
抗血小板薬には、出血しやすく、血が止まりにくいという副作用があります。
けがで出血がなかなか止まらない場合には、診察をする医師に服薬内容を伝えましょう。
5 狭心症・心筋梗塞の薬はいつまで服用すればよい?
狭心症・心筋梗塞でよく使われる抗血小板薬は、服用に「いつまで」という期限はなく、継続的に服用する必要があります。
利用者が服薬を忘れていないか、自己判断で服薬をやめていないか等に注意しましょう。
副作用等が気になる場合には、主治医に相談しましょう。
6 ケアマネジャーが押さえておきたいポイント
事業者間で情報共有する
狭心症の既往がある利用者の場合には、サービス提供事業者にそのことを周知しておき、発作時に使うニトロの場所を確認するなど、発作が起こる前の準備をしましょう。
訪問系サービス事業者には、サービス提供の際にニトロの保管場所を確認しておくよう注意喚起します。
ニトロで効果が出なかった場合に対応する
ニトロで効果が出ずに、状態が悪化する場合には、躊躇しないで救急車の出動を要請してください。
ニトロを使っても胸痛が改善しないが、悪化もしない場合は、狭心症以外の病気の場合もあります。
かかりつけ医に、状態について報告と相談をしましょう。
カルシウム(Ca)拮抗薬服用時の飲み合わせに注意する
発作予防としてよく使われるカルシウム(Ca)拮抗薬は、グレープフルーツやその加工品(ジュースなど)と同時に摂取すると、頭痛、めまい、ほてりなどの症状が出ることがあります。
これは、グレープフルーツの中に含まれる成分により、血液中の薬の濃度が上がり、通常よりも薬の効果が強く出るためと考えられています。
もっと詳しく知りたい人にはコチラ!
本記事の内容は、苛原実『改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり』の内容をもとに編集・作成しております。
改訂 ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック 高齢者の病気とくすり
この記事を監修した人
苛原 実 先生
いらはら診療所院長、医学博士。1994年千葉県柏市でいらはら整形外科を開業。1997年千葉県松戸市に「いらはら診療所」を開設。入院を嫌がる骨折患者への往診をきっかけに、思いがけず在宅医療の世界へ。以降、県内で訪問看護、リハビリテーション、老人ホーム等の事業を展開しながら、訪問診療を続ける。
- 併せて、チェックしよう!
-
【心不全について詳しく知りたい!】
【狭心症・心筋梗塞のケアプランの書き方を知りたい!】