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子どもとの関係性に悩むパパ・ママに朗報です! 愛着(アタッチメント)のホントを教えます

子どもとの関係性に悩むパパ・ママに朗報です!
愛着(アタッチメント)のホントを教えます

 近年、共働き家庭の増加や核家族化といった社会構造の変化に伴い、親子の関わり方も変化し、子どもとの関係性に悩む親が増えています。子どもの特定の人との結びつきを「愛着(アタッチメント)」といいますが、新型コロナ感染症により子どもと過ごす時間が長くなったことから、愛着がしっかりと形成されたケースもあれば、逆に密な関係性がマイナスに働いたケースもあることでしょう。
 そこで、改めて「愛着」について考えてみたいと思います。

目次

1 愛着に関する3つの誤解

 まずは、愛着に関してよくいわれる情報について考えてみます。

その①愛着は3歳までに形成される

 これは「3歳児神話」 と呼ばれるものですが、科学的根拠はないとされています。愛着形成は乳幼児期に重要ですが、3歳以降も、保育者など特定の養育者との間で安定した愛着関係を経験することで、親子の愛着が安定することもあります。

その② 愛着の問題は、親の愛情不足だけが原因

 愛着障害は、親の愛情不足だけでなく、親との死別や、養育者の頻繁な交代、厳しいしつけ、災害や事故、家族の病気や死など、さまざまな要因が考えられます。親がつらい経験を抱えている場合でも、周囲の人がサポートすることで、子どもは情緒的に落ち着きを取り戻し、愛着を形成することができます。

その③ 一人遊びが多い子どもは、愛着が形成されていない

 乳幼児期の一人遊びは、必ずしも愛着形成の問題を示すものではありません。中には、「回避型」と呼ばれる、不安や困る場面で感情を抑制する傾向が強く、親にかまってもらおうとしない子どももいます。しかし、このような子どもでも、周囲の人の存在に注意を向けています。親は、子どものペースに合わせて遊びに誘ったり、共感しながら接することで、愛着形成を促すことができます。

2 親子の愛着形成を育むために

 現代の子育て事情として、親子のふれあいの時間が減っていること、子どもを取り巻く環境が変化し、地域社会とのつながりが希薄になっていること、デジタル機器の普及といった点が挙げられます。子どもとの愛着形成においては、一緒に過ごす時間の「長さ」よりも「質」、特に子どもが不安や危機を感じたときに、養育者である親が寄り添い、安心できる空間と時間を共有することが重要です。
 愛着がうまく形成されなかった子どもには、周囲の注目を集めようとする「アピール行動」、落ち着きのなさ、自分の非を認めない、困っていても助けを求めない、一人遊びが多い、自己否定、虚勢を張るといった行動が見られることがあります。このような行動が見られる子どもに対しては、親はまず、子どもの行動の背後にある不安やストレス、過去のつらい経験などを理解し、共感することが大切です。 子どもの言葉や行動を否定するのではなく、子どもの気持ちに寄り添い、安心感を与えられるよう、穏やかな言葉かけや態度を心がけましょう。
 愛着形成によって、子どもは失敗を恐れないで頑張る力、仲間と協力する力、感情をコントロールする力といった、社会で生きていくために必要な「非認知能力」を身につけていきます。 親は子どもと過ごす時間を楽しみながら、子どもの気持ちに寄り添い、共感しながら接することで、安定した愛着関係を築き、子どもの健やかな成長をサポートすることができます。

3 周囲のサポーターが果たす役割とは?

 子どもは親以外にも、保健師、保育者、一時預かりや子育てひろばなどの支援者、近隣住民やボランティア、祖父母や親族など、さまざまな人たちとの関わりの中で成長していきます。親以外の大人との安定した愛着関係を築くことは、子どもの社会性や情緒的な発達を促す上で重要です。
 周囲のサポーターが子どもとの愛着形成を育むために果たす役割として、以下の3つが挙げられます。

  • 保健師や助産師…妊婦健診から乳幼児健診を通して母親と継続的に関わることで、信頼関係を築き、親子の愛着形成をサポートします。 特に、乳児期における親子の様子は愛着形成を測る上で重要であるため、健診を通して親子の様子を客観的に把握し、必要があれば専門機関への橋渡しを行います。
  • 保育者…子どもが保育園で過ごす間、親に代わって子どもの安全を守り、情緒的な安定を図る役割を担います。 保育園では子ども一人ひとりと向き合いながら愛着関係を築いていくため、保育者との安定した愛着関係は、親子の愛着関係を安定させる上でも重要な役割を果たします。
  • 子育てひろばの支援者…親が安心して利用できるよう、子育てに関する相談対応や情報提供などを行います。 親は子育ての悩みを気軽に相談できる環境の中で、他の親子と交流したり、気分転換を図ったりすることで、心身ともにリフレッシュできます。 その結果、子どもと向き合う余裕が生まれ、親子の愛着形成を促進することにつながります。

書籍紹介

 最後に、愛着形成についてもっと知りたいという方にご案内。子どもの行動や心理、愛着形成の観点から、具体的な育児の場面を例に、子どもとのより良い関わり方について解説しています。

『親子の愛着形成ウソ・ホント 子どもとのかかわり方がわかる本』

倉石哲也=著