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若年性認知症とは 症状や支援のポイント、制度の活用を解説!

若年性認知症とは
症状や支援のポイント、制度の活用を解説!

 認知症は誰でもなり得る可能性があるものです。しかし、若年性認知症についてはまだまだ知られていないことも多い現状があります。

 そこで本記事では、若年性認知症の基本的な理解から支援のポイント、制度の活用について解説します。

【記事の監修者】

沖田 裕子(おきた ゆうこ)
 特定非営利活動法人認知症の人とみんなのサポートセンター代表

杉原 久仁子(すぎはら くにこ)
 特定非営利活動法人認知症の人とみんなのサポートセンター副代表、桃山学院大学社会学部ソーシャルデザイン学科教授

目次

1. 若年性認知症とは

 若年性認知症とは、厚生労働省などでは「65歳未満で発症する認知症」と定義されています。働き盛りや子育て世代での発症となるため、経済的な問題、就労、子育てなど、高齢者の認知症とは異なる課題に直面します。 人生の半ばで思いがけない病気を抱え、人生の舵を大きく切らなければいけない事態に遭遇することになります。

2. 若年性認知症の初期によくみられる症状

 若年性認知症と診断される初期にみられる症状として、仕事や生活の場面での変化があげられます。

  • ・スケジュール管理が適切にできず、段取りが悪くなる
  • ・会話のなかの意味を取り違えて家族と険悪になる
  • ・お金を無計画に使うようになる  など

3. 職場での変化から受診まで

 若年性認知症の場合、以下のような仕事上のミスや変化が受診のきっかけとなることが多いです。周りの人が気づき、産業医などの専門職から受診を勧められるケースも増えています。

 これらの変化に気づいたら、早期に医療機関を受診したり、都道府県(一部指定都市)のほとんどに配置されている若年性認知症支援コーディネーターに相談してみることが重要です。

  • ・以前はできていた仕事に支障が出てくる、ミスが増える
  • ・うつのような症状(倦怠感、意欲低下、不安感など)が現れる
  • ・仕事への焦りから出社時間が早くなったり、休日に出社するようになる
  • ・仕事上のミスを周りの人のせいだと思うようになる
  • ・勝手な人と思われる行動をとるようになる
  • ・道に迷い、会社に行けなくなる など

4. 若年性認知症の人の就労支援

 若年性認知症と診断された人にとって、就労は経済的な安定だけでなく、社会参加や自己肯定感の維持にも重要です。しかし、判断力の低下や周囲の理解不足など、就労継続にはさまざまな課題があります。

 そのため支援者は、本人の働きたいという気持ちを尊重し、会社との調整や職場環境の整備 、必要な制度の活用など、多岐にわたるサポートを行うことが求められます。

同じ職場での就労継続(復職)

 復職に不安を抱えていたり、どんな仕事なら続けられるのか悩んでいたりする人は、地域障害者職業センターを利用することができます。
 ここでは、仕事の能力を評価する「職業評価」や、苦手な作業をサポートする「職業準備支援」「ジョブコーチ」を受けることができます。
 地域障害者職業センターなどを利用する際には、専門家として若年性認知症支援コーディネーターに一緒に行ってもらうようにしましょう。

ケース①
アルツハイマー型認知症の疑いがあると診断された50代半ばの男性は、復職に向けて若年性認知症支援コーディネーターのサポートのもと、地域障害者職業センターを利用しました。センターに配置されているジョブコーチは会社と連携し、働きやすい条件や配慮がなされているかを調整することで、復職に向けた支援を行っていきました。

新たな職場へ(福祉現場での就労)

 すでに退職している場合、失業給付を受ける間にハローワーク(公共職業安定所)で仕事を探すことになります。しかし、仕事を見つけるのは簡単なことではありません。 そこで注目されているのが福祉現場での就労です。認知症ケアに熱心に取り組んでいる社会福祉法人が就労もサポートしており、認知症への理解があることがポイントです。

ケース②
MCI(軽度認知障害)と診断された50代後半の男性は、MCI診断後に退職しました。その後、他の会社に再就職するも症状の影響があり続きませんでしたが、本人は仕事に就くことを希望していたため、職業評価もふまえて高齢者施設で就労することになりました。事業所側もかかわり方について戸惑いなどはありましたが、若年性認知症支援コーディネーターなどがカンファレンスを行い、業務の確認方法を考えていくことで、双方にとってよい環境がつくられていきました。

 また、精神障害者保健福祉手帳を取得している場合、障害者就業生活支援センターのサポートや障害者雇用の枠で仕事を探すことができます。それによって、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所についても、住まいの近くで本人に合った事業所を案内してもらえることがあります。

5. 若年性認知症の人に役立つさまざまな制度

 若年性認知症の人に役立つ制度はさまざまあります。本人の状況やニーズに応じて組み合わせて利用することが重要です。支援者は、制度に関する正しい知識を持ち、適切な情報提供と申請のサポートを行うようにしましょう

●医療

自立支援医療制度、指定難病医療費助成

●障害福祉

介護給付、訓練等給付(①就労移行支援、②就労継続支援A型、③就労継続支援B型)、地域生活支援事業

●介護保険

介護保険:65歳以下でも特定疾病に該当する場合、利用できる
子育て中の母親が認知症になったときは、訪問介護を利用し、家事をヘルパーに手伝ってもらうなどの利用が考えられる

●経済的支援

障害者手帳:障害福祉サービスを受けられる、美術館・博物館などの入場料、交通費などの減免を受けられる

障害年金 :65歳までは障害年金を受給できるが、65歳からは障害年金か老齢年金のどちらかを選択する必要がある

傷病手当金:若年性認知症で働けなくなり、十分な給与が支払われなくなったときに支給を受けられるが、要件があるので注意する

もっと知りたい方に! おすすめ書籍

本記事の内容は、下記書籍の内容をもとに編集・作成しております。

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