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ルポ・いのちの糧となる「食事」

下平貴子(出版プロデューサー・ライター)

食べること、好きですか? 食いしん坊な私は、食べることが辛く、苦しい場合があるなんて考えたことがありませんでした。けれどそれは自分や身近な人が病気になったり、老い衰えたりしたとき、誰にも、ふいに起こり得ることでした。そこで「介護食」と「終末期の食事」にまつわる取り組みをルポすることにしました。

プロフィール下平貴子(出版プロデューサー・ライター)

出版社勤務を経て、1994年より公衆衛生並びに健康・美容分野の書籍、雑誌の企画編集を行うチームSAMOA主宰。構成した近著は「疲れない身体の作り方」(小笠原清基著)、「精神科医が教える『うつ』を自分で治す本」(宮島賢也著)、ほか。書籍外では、企業広報誌、ウェブサイト等に健康情報連載。

第140回 MED Japan初体験
醒めない!

はじめに

 さる10月14日、10年目を迎え「MEDプレゼン」改め「MED Japan」となった、「SHIN-SEI MED Japan 2018」が開催され、筆者は初めて会場に足を運び、生のプレゼンを聴くことができました。
 これまでYouTubeで配信されている過去のMEDプレゼンを何本も見てきましたが、ライブで視聴する迫力は想像していた以上でした。
 そして、それぞれ個性的で、異なる15のプレゼンと、特別講演(田坂広志先生による「生命論パラダイムの時代 ~21世紀、人類の文明は、どこに向かうか」)を聞き終えた後、不思議な感覚を味わい、この場に参加できて本当によかったと思いました。
 医療・介護に携わる多くの方にもぜひ、然るべきタイミングでMED Japanに臨場していただきたい! 熱が醒めない心から、ご紹介させていただきます。

登壇しなくてもワタシのMED
記念すべき2018.10.14動画公開も待ち遠し!

 一般社団法人チーム医療フォーラム主催のMED Japanは主に、いのちのケアに従事する人らが、自身の思いや活動、着想や挑戦、未来予想を聴衆にプレゼンするイベントです。
 これまで東京はじめ仙台、秋田、群馬で開催されており、既に200名を超えるプレゼンターが登壇し、熱い語りを残していて、先述の通り、過去のプレゼンの動画はYouTubeで見ることができます。
 つまり少し待てば、MED Japan 2018の動画も公開されるでしょう。それはそれでとても楽しみです。そのときは隙間時間に、一覧から選んで、ゆっくり追体験できる。とても便利で、ありがたいことです。とはいえ筆者は今回、会場に足を運ぶことができた縁に何より感動しています。

 なぜかといえば、15のプレゼンは(動画で見るときのように)選べず、もとより登壇者に興味を持っていたかどうかにかかわらず強烈な思いが(動画で見る以上に)迫ってきます。その偶然の、否応ない全体が、今、自分自身の「問い」と無縁ではないと気づいたからです。
 きっとワタシにだけ特別な縁があったわけではありません。
 おそらくMED Japan自体が有機的で、その場に居合わせるワタシを放っておかないのです。
 プレゼンされた個々の事象や意思は「いろんなことに熱心に取り組んでいる人がいる」という事実だけれど、それらはワタシと見事にリンクしています。
 そしてワタシのいのちを、限られた時間を、どう使うかという大きな問いが根底にありました。
 このような大きな問いは、生涯、問い続けるタイプの問いですが、ときどき問われる経験がないと、見失ってしまいます。いい意味で刺激となり、わくわくする機会に問われるなんて、とてもハッピー。往々にして、こうした問いに向き合うのは、人生で難しい局面に立たされたときですから、本当にラッキーだと思いました。

 主催者の秋山和宏先生は、MEDの場で「語り、活動する人」「聞き、語り継ぎ、活動する人」が増え、つながり、社会をよく変えていくことを確信されていて、その存在を「MED Mafia」と名付けていました。
 地道に、よきことをスタンダードに変えていく、影響力の強い人々の集団に“マフィア”とはぴったり、かっこいい。
 筆者もマフィアの一員であるべく、大きな問いの中にある、目の前の“中くらいの問い”“小さな問い”と真摯に向き合い、一つひとつに今也の答えを出し、行動しなければ! この感動が醒めない人生を送りたいです。

 まずはプレゼンを聞いた中で、とくに本欄で紹介したいと思う「食支援」「排泄ケア」関連のプレゼンターに改めてアポをとり、その活動について取材したい。十数分のプレゼンで話し切れなかったことをうかがい、広く伝えたい。筆者がより深く知りたいわけですが、同時に、プレゼンターがより自由に活動する一助となることを願います。

 ぜひ、今後も各地で開催されるMED Japanにご注目を。今後の開催予定はウェブサイトで確認して、ぜひ臨場体験を!
(直近では、10月28日、秋田にて開催されます)
 もし主催者のコメントに気持ちが動いたら、気になるプレゼンターを見つけたら、当日時間が合ったら……そのときがワタシにふさわしいタイミング、ワタシの縁がきっとあります。

 なお、先の連載137回にて、過去のプレゼンをテキスト化するボランティアが募集されていることを紹介しました。現在も「MED Japan テキスト化プロジェクト」は継続中です(*)。
 筆者もテキスト化を経験し、ただ視聴する以上にプレゼンターの言葉を味わう機会となった体験でした。
 自分が感動したプレゼン。「こんな素敵な話を聞いた」と誰かに伝えたくなるものです。テキスト化すると、ネット検索されやすくなり、より多くの人に視聴してもらえる可能性が増えるそうですから、無限大に伝えられる。テキスト化にはそれなりに時間を使いますが、自分のためになり、人のためにもなる、満足な時間の使い方ができます。こちらもトライしてみませんか? 詳細はMED Japanサイトでご確認ください。

  • * 「テキスト化ボランティアの報酬について
    MED Japan 2018は終了しましたので、「MED @ ボランティア」としてMED Japanへの無料招待は終わりました。テキスト化担当者として、テキスト文末に名前のクレジットが掲載されます。