ルポ・いのちの糧となる「食事」
食べること、好きですか? 食いしん坊な私は、食べることが辛く、苦しい場合があるなんて考えたことがありませんでした。けれどそれは自分や身近な人が病気になったり、老い衰えたりしたとき、誰にも、ふいに起こり得ることでした。そこで「介護食」と「終末期の食事」にまつわる取り組みをルポすることにしました。
- プロフィール下平貴子(出版プロデューサー・ライター)
-
出版社勤務を経て、1994年より公衆衛生並びに健康・美容分野の書籍、雑誌の企画編集を行うチームSAMOA主宰。構成した近著は「疲れない身体の作り方」(小笠原清基著)、「精神科医が教える『うつ』を自分で治す本」(宮島賢也著)、ほか。書籍外では、企業広報誌、ウェブサイト等に健康情報連載。
第112回 奇跡の神講師がそろう
2週間 在宅訪問栄養指導のスキルアップができる!
はじめに
大妻女子大学家政学部は、在宅訪問栄養指導を行う(または志す)管理栄養士の実践的教育の機関として「管理栄養士スキルアップセンター」を開設(2016年7月)。現在、2017年8月開催の研修会参加者を募集しています。
開会準備に心血を注ぐ川口美喜子先生(同教授)にお話をうかがいました。
めざすは“地域の栄養、引っ張る人材”育成
そのために特別贅沢なプログラムをコーデ
論より証拠! この記事を読む前に、ぜひ管理栄養士スキルアップセンターのサイトをご覧ください。
食支援に関心がある人なら、講師・協力者一覧やカリキュラムを見れば、この研修会がどれほど濃密な内容になるか察し、わくわくすることでしょう。
2016年の春よりこの企画を実現するために準備を進めてきた川口美喜子先生ご自身が、プログラムに対して次のように歓喜の声を上げています。
「在宅の現場に出る管理栄養士が学ぶ場として、最高の機会をコーディネートできたのではないかと思っています。多忙を極める先生方がこの5日間に集結してくださるなんて、奇跡的なこと! 大感謝です。
管理栄養士として学び舎を出て行く学生たちを見ていて、卒後の教育を受けられるよき指導者に出会える職場に行ければよいのですが、先輩がいない職場や、学ぶ余裕なく実務に入る場合には、自信がもてないまま苦しむ人、在宅へ出て行く必要を感じていても踏み切れない人が少なくありません。卒後教育の必要を感じたのはそのためです。
また栄養問題に関わる研究をより推進し、その成果を地元千代田区などに社会還元する素地をつくることも目的です。
研修を受ける方には、1週間の集中講義を経て、管理栄養士として目の前の患者に寄り添うことができるスキルを上げることはもとより、地域丸ごとの栄養管理・健康寿命増進を牽引する指導者としてどうあるべきかをつかんでいただきたい」(川口先生)
コースは、次の2つ(開催はいずれも8月17日<木>~21日<月>の5日間、各25名を選考)。
- ベーシック
卒後1、2年の在宅訪問栄養指導経験が浅い人、または復職する人、卒後に在宅訪問栄養指導をめざす受講時4年生の大学生が対象。 - エキスパート
在宅訪問栄養指導に携わってほぼ3年以上で、より実践的な臨床栄養講座(検査データを読み、栄養アセスメントする)と症例検討によってスキルアップをめざす人が対象。
プログラムのひとつの特長は、両コースとも初日と最終日に「調理実習」が組まれていること。
「在宅ではさまざまな問題を抱えた患者さんに対応して調理ができなければなりません。講義で聞いたことを、調理で示せなければ学んだ甲斐がない。そこで初日と最終日に調理を行って、学んだことによって自分がどのように変わったか、変化を感じてもらいたい」(川口先生)
座学&グループワーク(試験)と調理の5日間研修の後、それぞれが訪問看護ステーション、在宅療養支援診療所、介護施設で40時間の実習を行い、
- ベーシックコース 実習先で学んだことをレポート提出。
(実習先は地元に帰って見つけていただく、とのこと。センターでも全国での受け入れ先を準備しているとのことで、その利用も可能。半年間の間に40時間の見学、会議への参加、訪問、指導などの実践をするという内容です) - エキスパートコース 症例あるいは実際の活動報告と成果をレポートにまとめ、提出。
を経て、2018年春予定のフォローアップ研修での発表審査によって修了書が発行される予定です。
フォローアップは研修のほか、独自(研修生、修了者、関係者のみ) SNS、栄養相談、情報交換、求人情報提供などが予定されています。
「研修後はきっと勇気凛々になって自分のフィールドに帰っていけるはず。
1週間で必要な知識を全て習得することはできません。しかし、大切なことは何か、今後どのように勉強を進めるべきか、将来の自分の進むべき道に向けて、目標を描けるようになると思います。
知識と実力と人脈を得て、必ず『来てよかった!』と思ってもらえる講義になるし、また、そう思ってもらえるよう、十分に学べるように学習環境を整えたい」(川口先生)
研修生に実り大きい学びの場となるように、研修中の朝食・お弁当や栄養補給、休養なども工夫したいと川口先生は“親心”を語っておられました。
募集は4月8日から2ヶ月間で、研修生の決定は6月を予定しています。先着順ではないとのことですが、関心のある管理栄養士の方はぜひウェブサイトを見て日程調整などし、お早めにお申し込みください。