介護で幸せになる―介護ストレスを減らすヒント―
介護ストレスを感じている人たちが、明日からの介護に希望がもてるようなヒントを渡辺先生が送ります。
- プロフィール渡辺 俊之 (わたなべ としゆき)
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1959年群馬県で生まれ、介護家族のなかで育つ。高校時代に町医者の祖父を認知症で亡くしたことをきっかけに医師を志す。1986年に東海大学医学部を卒業後、精神科学教室で精神分析的精神療法と家族療法を学ぶ。
介護家族体験が忘れられず、いつの間にか介護家族のこころの問題に没頭する。2000年介護家族の心理的問題に関する研究で医学博士。同年より東海大学医学部附属病院にて、介護者・介護家族のこころのケアを始める。
現在、介護におけるこころのケアに関する講演やTVコメントを行っている。
日本家族研究・家族療法学会会長。高崎健康福祉大学健康福祉学部社会福祉学科教授・同大学院専攻科長/学科長。東海大学医学部非常勤教授。精神分析学会認定精神療法医、同認定スーパーバイザー。
藤村邦名義で執筆した「Afterglow-最後の輝き-」(文芸社)で、第51回(平成25年)群馬県文学賞(小説部門)を受賞。
第40回 眠れない介護
介護者にとって一番辛いのは、夜眠れないことだと言います。あなたはどうでしょうか。睡眠は十分にとれていますか。
睡眠障害は、入眠障害、熟眠障害(中途覚醒)、早期覚醒に分類されます。
入眠障害は、床についてから寝るまでに時間がかかります。この不眠は、昼間に心配事が多い時に出現します。床についても、あれこれ悩んで眠りにつけません。介護者は「夜になると、いろんなことを考えて眠れなくなってしまう」と訴えます。
熟眠障害は、なんとか寝つけるのですが、寝た気がしないタイプの不眠です。睡眠の深さと睡眠の継続時間が障害されます。夜中に頻繁に目が覚めてしまうので眠った気がしません。介護を受ける人が夜中に騒ぎ出したり、トイレの要求などで睡眠を妨げられているうちに、いつも緊張して寝た気がしないといった状態になることがあります。
早期覚醒では、寝つきは良いのですが、睡眠時間が短く、夜半2時とか3時に目が覚めたりします。うつに多いタイプの不眠です。通常、いつもの時間より2時間くらい早く目が覚めます。目覚めた時に周囲は真っ暗で、いろんな悩み事を考えていたりします。
不眠症は神経症やうつ病などを合併していることが多いので注意が必要です。また睡眠時無呼吸症候群などの身体の病気が原因のこともあります。うつが背景にあると早期覚醒が生じます。朝早くから目が覚めて、あれこれ考えて落ち込んでいたり、時には「生きていても仕方ない」と思ったりしていたら要注意です。いずれにしても医師に一度相談しましょう。睡眠剤は適切に使用すれば、問題のない薬物です。
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不眠のタイプを知りましょう