メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第46回 夏休みスペシャル企画!【ほじょ犬、動物園に行く!!!(2)】

 台風の復旧が完全でない中、お盆以降に襲った各地での豪雨の被害は想像を超えるものでした。引き続き復旧に努められていることと存じますが、お身体をお大事になさってください。一日も早く日常を取り戻されることを願っております。

 さて、今回は先週に引き続き動物園特集です! 前回は、「犬猿の仲」というのは、本当であるという実証(!?)をご紹介しましたが、猿の次はライオンゾーンに行きました……さて、ほじょ犬の反応はどうだったのでしょう???

*  *  *

 検証を実施した動物園は、ライオンがいわゆる「檻」ではなく、ガラスで仕切られた展示がされており、ガラスを隔てたすぐ傍までライオンたちが来ます! 迫力満点! ライオンの反応も、犬の反応も、双方どうなることやらと行ってみると……案外アッサリと通過……「あれ? 気付いてます?」と双方に聞きたくなりました。ということで、動物園担当者とともに、胸をなでおろしたのを覚えています。(笑)

 しかし、その瞬間! 何かが追いかけてきた!と思ったら、子ライオンたちが、犬に「遊ぼう遊ぼう♪」と誘うようにガラス越しにじゃれてきました。とにかくかわいかったです♪ 一瞬の緊張の後の微笑ましい様子に、ニコニコと進んでいると……急に、ほじょ犬の歩みが止まりました。ビクッと数センチ後ずさり。その先には……

検証時に、ほじょ犬が最も驚いた瞬間!
茂みに隠れるように置かれていたトラの置物……(苦笑)※実際の検証時の画像ではありません。

 ということで、補助犬が動物園検証時に最も反応したのは、『トラの置物』でした~♪(笑) 確かに、大きい動物の形をしているのに、匂いも動きもしないものが急に目前に現れた!!! これは、犬にとって【異様】だったのだと思います。「さすがほじょ犬! 色々な経験を積んできてたいてい動じないが、やはり本能的に異様なものは嫌なのだな~」と感じました。少しビビった後、若干足早に、そそくさとその場を通過した様子が何とも可愛らしく、思わず周りは大爆笑♪(ただ、適性がない犬なら、このような時にパニックになって吠えてしまったり、逃げ出したくなってユーザーさんを引っ張ってしまうことも考えられるでしょう。スムーズに進めたのは、適性のあるほじょ犬だからこそだったかと)

*  *  *

 さて、検証した動物園にも、人間と動物たちとの『触れ合いエリア』がありました。私たちは入口までは行きましたが、中には入りませんでした。というのも、やはり、【感染症】の問題があるからです。もちろん、そこに入っただけで必ず感染する、というモノではありません(空気感染するようなことはほとんどありません)。多くは、感染した動物が排出した糞にある菌が、土や動物の身体を経由して人の手などに不着し、それが口から入るという経路です。ほとんどの場合、人間は『手洗い』で予防できるものの、犬はそうはいきません。犬にしても「他の動物と触れ合いたい~」と思っているわけではないので、当会としては補助犬を同伴することのリスクを考えると、避けることをおすすめしております。
 感染症に関しては、人間がうつるということだけでなく、人間が病原菌を持ちこむ可能性もあり、人と動物双方が加害者にも被害者にもなりうるのです!

 日常的に私達の生活の周りに存在する菌は、食中毒菌です。その他、野生動物にはまだまだ未知の病原菌がたくさんあります。今話題になっているエボラ出血熱も、最初はアフリカのサルから人間にうつりました。ですので、密輸などはもってのほか!なんです。
 ほじょ犬を守る保護者であるユーザーさんは、状況を的確に把握して、行動面だけでなく、公衆衛生面でもリスク管理をしっかりと行っています。ちなみに、うちの子どもたちは猫を飼うようになってから、帰宅時の手洗いが、「猫ちゃんにお病気をうつさないため」と念入りになりました♪

 動物園のほか、様々な種別の事業者での受け入れ方についてまとめたものが、当会HPよりダウンロードできます。是非、ご覧になってみてください(その他、医療機関編もございます)。  さらにくわしく知りたいという方は、当会監修のこちらの本が超おすすめです!

*  *  *

 さて、次週は夏休みスペシャル企画最終回! 「ほじょ犬、花火大会に行く!!!」です。お楽しみに~♪

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

JSDRC(日本補助犬情報センター)ロゴ