ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
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NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第279回【新型コロナウイルスにどう立ち向かうのか? 補助犬への感染は?~1人1人ができることを~】
ついに、全国の公立小中高校が休校という異常事態になってしまいました…。私も2人の小学生の子どもをもつ親として、困惑しています。特に、上の子は小学校6年生で、卒業式までのカウントダウンが始まっていました。残り少ない小学生生活を、クラスの仲間達や先生と、どのように過ごしていこうか? いろいろと議論して計画して、悔いなく過ごす準備をし始めた矢先の事態・・・。もう、卒業までの想い出を作れないのかと思うと、胸が締め付けられる思いです。
昨夜の報道から、子ども達はクラスの仲間Lineで相談を始め、「明日が登校最後になるから、○○先生(担任)宛ての手紙を書こう! 何とかクラスの人数分の紙は持っていくから、明日書いてね!」という相談がまとまったようです…。こういう部分でのクラスの結束、とっても素敵だな~と感動しました。こういうピンチの時にこそ、仲間との結束力が発揮される! これは、のちのち、彼らにとっての良き想い出になるでしょう。それにしても、やはり、充実した残りの学校生活は送らせてあげたかった・・・
もちろん、子ども達を守る、そして子どもを媒介として高齢者や持病のある方々の重篤化を防ぐことの重要性については理解できるので、そういう意味では受け入れようとは思っています。が…
そんな私の心配ごとはまだかわいいものです。さまざまな事情で仕事が休めない方々は大勢おられます。その方々の生活の保障はどうされるのか? 子ども達の居場所は? 本当に大変なことになりました。学童保育や、こんな時こそ地域コミュニティを利活用し、力をあわせて乗り越えるしかありませんね。
さて、こうなると日本のどこにいても、一律のリスクはあるのではないか? と思わざるを得ないと感じます。あとは自分自身で、自分をそして家族を、周囲の大切な人々をどう守るのか、1人1人が考えるしかありません。
特に、補助犬ユーザーさんの中には、持病があったり、免疫力が低下している方もいらっしゃるため、不安に思っている人も多いかと思います。例えば、介助犬ユーザーである肢体不自由のある方々は、エレベーター利用しか手段がない場合が多く、エレベーターのボタンをどうしても押す=接触する、というリスクがあります。また、盲導犬ユーザーである視覚障害のある方々は、さまざまなものを触る=接触する、ということで確認をしています。その分リスクが多いわけです。
とにかく、今は手洗いをしっかりと行い、自分が罹患することの予防だけではなく、自分がウイルスを伝播しない意識をもつことが重要です。とはいえ、障がいがある方々は、日頃から触れること等ご自身の行動に対する意識は高く持っていらっしゃるので、すでにリスク管理はしっかりとされています。逆に、日頃あまり意識することなく生活している、障がいがない方々が、むやみに手すりやつり革につかまり、そのまま顔を触ったり、他の方に接触したり・・・という行為の方が、リスク管理の意識が低い気がしています。是非、皆さんご自身ができること、やるべきことを意識しての生活を、しばらくは気を引き締めて行っていただきたく思います。
さて、ここ最近、SNS上でも不安視されている「ペットの犬や猫への感染は?」について調べました。現状、東京都獣医師会の見解はこちら(https://www.tvma.or.jp/public/2020/02/post-66.html )理事の中川先生も「どんなウイルスでも進化する可能性がある。その意味では、感染の可能性を完全に否定することはできません。とはいえ、獣医師会としては、現時点ではペットに感染するとは考えていない」と発信されています。
補助犬たちも含め、犬や猫などの動物との接触時の注意点は以下の通り。
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<この時期、飼い主はどんなことに気をつければいいの?>
・十分に衛生状態を保って、犬や猫と暮らす。
・猫は完全に屋内飼いにする。
・不安がある場合は速やかに獣医師に相談する。
・デマなどにとらわれることがないように、科学的に正しい獣医師会のホームページなどを見る。
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今、一番懸念されているのが、デマや誤解により犬や猫が遺棄されることです。是非とも、パニックを起こさず、正しい情報に従って、対応したいものです。
参照)WSAVA による「新型コロナウイルスと伴侶動物についてのガイドライン」
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/02/WSAVA-Issues-Guidance-on-Pets-and-the-New-Coronavirus-Japanese.pdf
また、万が一、飼い主がコロナウイルスに罹患した場合、補助犬やペットを誰かに預けないといけない場合もあるかと思います。その際の注意点としては、その固体を清潔にして、受け渡し時にウイルスを伝播させないような配慮(マスク・手袋は必須)を十分に実施の上、受け渡すようにしてください。
最後に、新型コロナウイルスに関する世界の状況が日々変化していくなか、感染症対応関係の情報発信が錯綜しています。子ども、学生、社会人、主婦、高齢者・・・さまざまなカテゴリーで情報の収集レベルが全く違っていると感じています。特に、聴覚障がいや視覚障がいがある方々は、それぞれに情報の入りづらさがあります。また、外国語話者もそうです、彼らにとっては、タイムリーな情報が、日本語での情報しかない状況は非常に恐怖です。そして、子どももそうですよね。子どもにとってわかりやすいレベルの情報がないと、理解しづらく感じます。理解していないことから感染対策不足や誤解につながるので、「正しい情報を正しく伝える」配慮を、是非とも皆さん1人1人が周囲の方々に心がけてみてください。
政府から「この1~2週間が極めて重要な時期」との発表がありました。Japan Deaf Information ServicesがYoutube手話動画で配信されましたので、シェアいたします。手話通訳士の青山氏は「SNS上でコロナウイルス関連の情報が錯綜しているのを見て、聴覚障がいの方々はもっと混乱しているのではないか? という思いで作った」とのこと。
【手話通訳】加藤厚労相 記者会見 「極めて重要な時期」 2020.2.25
また、こちらも是非参照されてください。子どもにわかりやすいイラストを交えて端的に表現された情報は、大人も含め、全ての人にわかりやすい情報となっています。
新型コロナウイルス、情報が届きにくい方(子ども・外国語話者・視覚/聴覚障害等)のサポート・不安のケア
今後も、必要な情報発信は、本ブログのほか、日々のSNSでも実施してまいります。日本国民全員で力を合わせて、乗り切りましょう!
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<TOKYO応援宣言 人も犬もハッピー!補助犬を知ってほしい!>
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=QWBC_9jWAi4&feature=emb_title
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【障害者支援】補助犬を知っていますか 差別解消に向け理解を広げたい
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#補助犬 #ほじょ犬 #盲導犬 #介助犬 #聴導犬 #がんばれ補助犬 #当たり前 #補助犬同伴拒否0
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