ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
-
NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第272回【補助犬同伴避難とペット同行避難~飼い主の責務と社会の責任~】
この度の台風被害に遭われた皆様へ、心よりお見舞い申し上げますと共に、皆様のご無事と一日も早い復興をお祈りいたします。広範囲で水害の地域が多くあるようです。引き続き、重要なのは自助→共助→公助です。ご自身の無事を確保した上で、周囲にサポートが必要な方がいないか? 情報共有しながら、助け合いましょう。
朝のニュースで、避難所に避難していた高齢の女性が涙を流しながら「大切な家族だった犬を、避難所では受け入れられないと言われてしまい、置いてきました…」と話しておられました。また、多摩川氾濫で死亡された男性は「複数のペットを飼っていたので、避難所に行けなかったからではないか?」と同じマンションの方が話しておられました。それ以外にも「ペット同行避難を拒否された」というSNS上のコメントが多数出ていて、インタビューに答えたとある自治体関係者からは「原則禁止とさせていただきました。犬嫌いの方もアレルギーの方もいらっしゃるので」…これは、日常の補助犬同伴拒否と全く同じ理由です。
どうして、断る理由を探すことしかできないのでしょうか? “どうすれば安心して受け入れられるか?”という建設的な話し合いはいつになったらできるのでしょうか? その始まりがなければ、いつまでたっても何も変わりません。
環境省が災害時のガイドラインを発表しています。ペットの飼い主さん、また、動物に関わる仕事に従事している方々、そして自治体関係者を初めとする地域の避難所運営関係者の皆さんも、必ず目を通しておいてください!“動物の命と人の命”を助けるためのルールが記載されています。
環境省「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」
(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html)平成25年6月の中でも、「原則ペットとの同行避難」が明記されました。これは大きな進歩です! (※ 補助犬に関しては、本編Ⅲ内P73~74「「身体障害者補助犬」と避難所などへの同伴について」を参照)
この「原則ペットとの同行避難」の流れは、2005年に米国で発生したハリケーン・カトリーナ時の被災現場から多くの教訓を得ました。当時、ペット同行避難が拒否されたため、ペットを置き去りにして自分たちだけ安全な場所に避難することを拒む人が続出しました。その結果、アメリカ連邦政府はPETS法の施行に踏み切り、“大規模な災害や緊急時の州や地元の緊急避難対策計画には、個人のペットや補助犬等のニーズについての対応を含むことを保障する”こととなりました。
「同行避難・動物救護はなぜ必要?」ということを考えたとき、「命ある動物のいのちを守る」ことは当然ですが、それと同時に「動物を助けることは人を助けること」になるのです。また、地域社会にとっても、重要な意味があります。例えば、
- ・ 残された動物が多ければ多いほど、救護には多くの人手と時間と費用がかかる
- ・ 災害時の放浪・徘徊動物は疾患伝搬や人に対する危険・迷惑の可能性
- ・ 死体放置等による公衆衛生上の問題
などです。
同行避難・動物救護に関しては、飼い主との絆を大切にした動物救護活動が重要視されています。同行避難→避難所→残された動物の救護活動→仮設住宅→シェルター→復興住宅それぞれのステージでの対応が必要になってきます。
そして、何より大切なのは、「災害時の準備は普段の適切な飼育管理から」です。 適切な飼育管理とは
- ・ 動物たちの基本的ニーズを満たす
- ・ 動物福祉の確保(肉体的・精神的に十分健康であり環境とも調和している状態)
- ・ 飼い主責任の遂行
また、絶えず基本にあるのが、【5つの自由(動物福祉の国際的概念)】です。
- (1)飢えと渇きからの自由
- (2)不快からの自由
- (3)痛み・怪我・病気からの自由
- (4)恐怖や抑圧からの自由
- (5)正常な行動をする自由
動物福祉は動物の生命の質に関係しているのです。
災害時の心得として、よく、「自助、共助、公助」という言葉があります。まず、何よりも自助が先決、その後に共助、そして最後が公助です。これは、災害時の人間に対する支援でも、動物に対する援助でも言えることです。
補助犬だけでなく、動物を家族に迎え入れている飼い主として、普段からしておくべき責務は
- ・ 健康管理 (狂犬病予防接種、ワクチン接種、駆虫、病気の治療、健康手帳、不妊去勢手術等)
- ・ 飼育管理 (登録、動物のニーズを満たした飼育管理、個体識別(マイクロチップ)、しつけ(クレートトレーニングも)等)
- ・ 動物用避難袋、人用避難袋の準備
普段からできることとして、
- ・ 近所とのコミュニケーションを良くする。
- ・ 自分の地域にはどんな緊急災害の危険性があるのか調べ、その対応を考えておく。
- ・ 避難所の場所やルートを確認し、補助犬と共に実際にやってみる。
- ・ 家族全員の防災対策
- ・ 地域防災計画(同行避難を基本-市区町村の理解)の確認
- ・ 人と動物双方の専門部局(医療・獣医療・公衆衛生・人及び動物の福祉・防疫等)や消防・警察等との連携・チームワーク → 平時からのコミュニケーション
- ・ マニュアルを作成し、関係者全員でのシミュレーション
- ・ 平時からの対策・準備(公的機関や公益団体、避難所運営体、自治会等)
- ・ ボランティアの登録と教育・トレーニング
- ・ 市民啓発<健康管理(人と動物の共通感染症を含む)、適切な飼育管理、固体識別、同行避難及びその準備>
が挙げられます。
そして、特に補助犬ユーザーだからこそ、しておくべきことは、
- ・ 普段から居住地域の自治体、社会福祉協議会や避難所運営者に補助犬使用者がいることを伝え、避難した時の受け入れ準備をお願いする。
- ・ 一般ペットとは異なり、身体障害者補助犬法及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)に基づいた受け入れであることの周知徹底。
- ・ 補助犬育成団体は、自治体、社会福祉協議会、避難所運営者、地域の獣医師会等に避難所での補助犬受け入れ準備の指導、支援をする。(対応マニュアルの作成等含む)
*********************************
インクルーシブ防災=誰一人取り残さない防災に含まれるのは、我々全ての命(人も動物も)を守るための防災です。その意識が少しでも当たり前になるために、皆さん今一度、自分の住んでいる地域の防災状況やルールの確認をお願い致します。それが結果的に、自分や自分の家族を守ることにもなるのです。
どうしても、「いざその時!」にならないと実感が沸かないのが防災の難しさでもありますが、災害が発生してからでは遅いのです。是非、家族や職場、学校などでも防災に関する情報共有をしてみてください。最近では、防災ゲームや防災イベントなども開催されています。それらに参加するもの良いきっかけになると思います。
最後に、現在各被災地ではボランティア活動をしてくださる方々の受け入れが始まっております。ただ、誰でもどこでも受け付けるわけではありませんので、必ず事前に、各地域のボランティア窓口情報を調べた上で、活動に参加するようにしてください。以下のサイトを参考にしてください。↓
<台風19号災害ボランティア情報[特設サイト]>
https://typhoon201919.shienp.net/?fbclid=IwAR1-YLOoLu0PvEsZhef8OlRCjQ_WUeEfb-dALyX4CSOz1CpEYeFiihJN5vM
<ご寄付に関しまして>
寄付サイトをご覧下さい。
TOKYO応援宣言 人も犬もハッピー!補助犬を知ってほしい!
https://www.youtube.com/watch?time_continue=6&v=QWBC_9jWAi4
*********************************
【障害者支援】補助犬を知っていますか 差別解消に向け理解を広げたい
*********************************
#補助犬 #ほじょ犬 #盲導犬 #介助犬 #聴導犬 #がんばれ補助犬 #当たり前 #補助犬同伴拒否0
是非、皆さんの様々なお声を、お寄せください。当会では、一緒に社会を更に更にステキに変えて行って下さるサポーターの皆さんを募集しております。お気軽にご連絡ください♪
- ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より
-
当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。