ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
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NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第36回 2020年東京オリンピック・パラリンピックと補助犬
「オリンピック・パラリンピックと補助犬って、何の関係があるの?」とお思いの方もいるかもしれませんが、オリンピック・パラリンピックには、世界中から沢山の方が来られます! 特に、パラリンピックは出場者を含め、多くの障がい者がその国を訪れることになります!
総理官邸を表敬訪問した5月22日、午後5時からは、補助犬議連主催「ほじょ犬の日」啓発シンポジウムが開催されました。予想を超える約120名のご参加を賜り、会場は満員でした。盲導犬は5頭、介助犬2頭、聴導犬4頭のご参加もあり、大変にぎわいました♪
ご来賓の挨拶のあと、全日本盲導犬使用者の会より、最近の受け入れ事例に関して報告がありました。報告者F氏から、自らの体験として、【病院での受け入れ拒否事例】の紹介があり、「現況のままでは、ひょっとしたら自分は親の死に目に会えないのではないかと不安に思っている」とのお話がありました。また、「パラリンピックでは、補助犬がもしかしたら『おもてなし』の基本になるかもしれない」との言葉に、多くの方が頷いておられました。続けて厚労省からも現状報告がありました。
今回のメインスピーカーはお二人。まずは、日本パラリンピック委員会事務局長の中森邦男氏より、2012年に開催され大成功を収めた【ロンドンオリンピック】がどのように凄かったのかをご紹介いただきました。なんとロンドンでは、『子ども達に対し徹底した教育プログラムが行われた』そうです! どんな教育が実施され、その多くをどうやって大会会場へ連れてきたのか等の報告があり、いかに2020年までの準備期間が重要か、どのような意味があるのか、何が実現できるのか…など、まさに目から鱗のお話が沢山ありました。
続けて、日本パラリンピアンズ協会会長の河合純一氏からのお話です。河合氏のプロフィールは下記の通りです。(公式サイト)
- 1990年 15歳のとき全盲となる
- 1992年 バルセロナパラリンピック(銀2、銅3)
- 1996年 アトランタパラリンピック(金2、銀1、銅1)
- 1998年 早稲田大学教育学部卒業 舞阪中学校に教師に着任
- 2000年 シドニーパラリンピック(金2、銀3)
- 2004年 アテネパラリンピック(金1、銀2、銅2)
- 2008年 静岡県総合教育センター指導主事に着任 北京パラリンピック(銀1、銅1)
- 2012年 ロンドンパラリンピック(二種目入賞 4位、6位)
このように、もの凄い実績をお持ちの方なのですが、全く偉ぶること事なく、非常に明るくとても元気な方で、すぐにファンになりました♪ 何と言っても、教師でいらっしゃるだけあって、お話がお上手でした!
お話の中で、「パラリンピックを、世界で初めて2度目に開催する都市が東京であることは、誇れることです!」と教えてくださいました。また、「障害のある方々は、一般的に、国際的なところでは、WHOでは「10in1」と言われています。10人に1人が何らかの障害があるのではと言われているからです。さらに、病気、怪我、妊娠中、子育て中のお母さんも含めて、アクセシビリティに、一時的にも含めて困難さを抱えている人たちは、約2割いるだろうと言われています。日本で言えば2000万人。一部ではないどころか、さらに家族もいて、関係者も入れると、他人事ではないということになります。であるにも関わらず、『自分とは違う』という意識がなかなかぬぐえないのが課題だと思います」
「2020年に向けてよく言われるのが、レガシー(遺産)です。建物などのレガシーもありますが、我々が2度目のパラリンピックを考えるときには、心を含めたレガシーを考えねばなりません。そしてそれを世界、アジアへ発信できるかが問われています。2020東京パラリンピックは、大変シンボリックなものになるだろうと言われています。我々の心や思いに残していくために、今から準備をし、レガシーを作るという作業に参画してくださる人が多ければ多いほど、きちんと次世代につないでいけるということです」…とても、貴重なお話しの数々でした。
私自身、2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催されることは知っていても、どこか他人事のような気がしていたのですが、「国民全員がそれぞれに考え、参画しようと思う人が多ければ多いほど、意義あるものになるのだ!」と知ることができ、非常に勉強になりました。障がい者を支え、新たな希望をもたらし、生活を豊かにしてくれる『障害者スポーツ』の存在は、補助犬とも通じる所が多く思いました♪
終了後、お帰りになる多くの参加者の方が、「有意義な時間でした」「貴重なお話が聞けた」と満足していただけた様子でしたので、事務局サイドとしましては、ホッと致しました。。。
このように、長―い、濃い1日は過ぎて行きました。。。
次回は、「盲導犬60組大集合~!!!」です。お楽しみに~♪
- ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より
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