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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第207回 続・とてもシンプルな「当たり前」・・・

 横浜市内の小学校で、4年生の総合学習の時間に『補助犬介在UD授業』を実施してきました。その報告続編です。
 私が子ども達の授業をする時に、一番大切にしているのが、『自主的な気づき』です。障害者はこれが困るよ~、大変なんだよ~、サポートが必要だよ~、助けてね~、と一方的な伝え方では、残念ながら『気づき』には到りません。知識としては知ることができても、心に届いていなければ、すぐに無意識の中に追いやられてしまうと感じています。なので、できる限り子ども達が自分で、「そうか、この人はこういう時に困るから、そんな時、自分にはこんなことできる!」と考えてもらえるような語りかけを意識しています。

補助犬達の存在は、子ども達の関心を一挙に引き寄せてくれる力があります!

 授業のなかで、必ず「当たり前」についてのお話をします。「みんなにとっての『当たり前』ってなに?その『当たり前』のことが『当たり前にできない』人たちが居るんだよ。」と話します。その時に使う事例がこういうものです。

<授業の中で話す内容の一例>
私「夏の暑い日、お母さんが買い物に出かける間、留守番を頼まれました。その間にのどが渇きました。みんなならどうする?」
子ども達「冷蔵庫から冷たい飲み物を出して飲む~」
私「そうだよね、暑い日に冷たい物を飲みたい!って、当たり前だよね! じゃ、車椅子で生活する人の一例を紹介します。その人は自分で冷蔵庫から飲み物を取り出すという作業が、手に障害がある関係で難しいです。夏の暑い日、留守番する時、どうしてると思う?お母さんはお出かけする時に、冷蔵庫から飲み物を出し、コップに移し、テーブルの上に置き、ストローを差していつでも飲めるようにしておきます。さて、1時間後、すごく暑~い日、飲み物はどうなってる?」
子ども達「冷たくなくなってる~」
私「みんなだったら、どう思う?」
子ども達「いやだ~」
私「そうだよね、でも、障害のある方々の中の多くの人は、このような『みんなが当たり前』にできていることが、できない生活を送っているんだよ。そんな『当たり前』の事を『当たり前』にしてくれているのが、補助犬達の存在なんだ♪ 後で介助犬が冷蔵庫から冷たい飲み物を持ってきてくれる様子を見てもらいますね♪」
子ども達「ジュースとかビールとか、わかるの~?」
私「(笑)いい質問ですね~♪ 残念ながら犬に飲み物の種類まではちょっと難しいので(笑)最初に取ってほしい飲み物には家族やボランティアさんが紐をつけておくとか、取る場所を決めておいてそこに入れておくなど、犬がわかるような工夫をしているんだよ♪」
・・・

 ここから、子ども達の想像力は一気に加速し、「じゃぁ、こうしたらどう?」とさまざまなアイデアが飛び出したり、質問が広がっていきます!

 そして、やはり一番大切なことは、実際のユーザーさんである障害がある人たちの話を聞く、その方とコミュニケーションをとる!ことだと思っています。今回も、小学校の近隣の盲導犬ユーザーさんにご協力をいただきました。最後の質問コーナーで今回も、素敵な質問がたくさん出てきたので、ご紹介します♪

  • Q「盲導犬がいても怖い!と思ったことは?」
  • Q「目が見えない生活の中で一番大変なことは?」
  • Q「目が見えなくなったのはいつから?」
  • Q「お料理はどのようにしているの?火を使うのは怖くない?」
  • Q「字は書けるの?」
  • Q「洋服を選ぶのはどうしてるの?」
  • Q「テレビは見ないの?」

 こんな、素敵な質問がたくさん飛び出しました!ユーザーさんも一つ一つ丁寧に答えてくださり、とっても良い時間と成りました♪
 みなさん、ご覧になってどうでしょう?「え!そんなこと聞いて失礼じゃないの?」って思われた方もいらっしゃるのでは? いえいえ、私はこんな質問こそしていただきたい!って思うんです。「障害がある人に障害のこと聞いたら失礼では?」なんて気持ちがあるから、失礼なんです。目の前に居る『その人』とコミュニケーションをとるためには、『その人』のことを知らないとです。そして同時に『私はこういう事がわかっていないから教えてほしい』と、自分を伝えることも大切です。それができて、初めて『相互コミュニケーション』が成立するのだと思います。

 子ども達にはその『変なバリア』がありませんから、ストレートに直感的に疑問に思ったこと、知りたいことを言葉にしてくれます。ですから、当事者もストレートに答えやすいのだと思います♪今回、「洋服を選ぶのはどうしてるの?」と言ってくれた女の子、とってもオシャレさんでした。自分が一番興味のあること、だからこそ「目が見えない人はどうしてるの?」と純粋に聞きたかったのだと思います。とっても素敵な質問でしたし、そんな疑問と気づきを持たせてくださったユーザーさんの、優しく親しみやすい雰囲気のおかげで、本当に素敵な授業となりました♪ありがとうございました♪

 ユーザーさんのお言葉の中で、とても印象的だったのが、「視覚障害者は特別な人、なんかじゃないんだよ。情報が足りない時があるから、周りの人がサポートしてくださいね♪」という言葉でした。きっと子ども達はしっかりとこの言葉を受け止めてくれたと思います。

 今後、もっともっと、子ども達に沢山の『気づき』を提供できるような授業を展開して行きたいと思っております。2020年に向けてオリンピック・パラリンピック教育にも、力が入れられております。しかし、2020年をゴールにするのではなく、2020年までに準備を進め、2020年以降ずーっと続くレガシーとして残る教育が重要だと感じています。そんなプログラムを提供できるよう、これからも頑張ります!!!

#補助犬 #ほじょ犬 #盲導犬 #介助犬 #聴導犬 #がんばれ補助犬 #当たり前

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 是非、皆さんの様々なお声を、お寄せください。当会では、一緒に社会を更に更にステキに変えて行って下さるサポーターの皆さんを募集しております。お気軽にご連絡ください♪

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
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