ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
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NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第185回 空の旅と車椅子・・・
今日は七夕、今年はヒコボシさまとオリヒメさまは会えるのでしょうか・・・是非、帰り道、空を見上げてみて下さい♪
さて、皆さんご存知の方も多いかと思います、とても残念な報道がありました。とある空路における車椅子利用者に対する搭乗拒否問題。ネット上で炎上する騒ぎになりました。
今回の報道のされ方に対し、ずっと違和感を感じてきておりましたが、ようやく、報道でも「この問題の本質は?社会全体で考えるべきポイントは?」が取り上げられ始めました。
問題となった路線は、以前から“事前連絡をしても歩行困難者は搭乗を断られてきた路線”だったそうです。何人もの人が断られ、交渉するも聞き入れられず、利用を諦めてきた路線です。。。
が、今回、搭乗拒否を受けた男性が航空会社に異議申し立てをするとともに、鹿児島県と大阪府の障害者差別解消法担当部署も動いたことで、1週間で解決。車椅子の方でも利用できる機材が導入されることとなりました。。。
誤解しないでいただきたいのは、全ての航空会社が!ということではない点です。大手航空会社はもちろんのこと、小さな会社であっても努力・工夫をしてきちんと対応しているところもある、ということは忘れないでいただきたいです。
さて、昨年4月に障害者差別解消法が施行され1年以上経過しますが、皆さんの周りで、この法律のことを知っている方はどのくらいおられるでしょうか? この法律では「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めることで、障がいのある人もない人も共に暮らせる社会を目指しています。
今回の問題は「車椅子利用者に対する搭乗拒否」でしたが、「補助犬同伴の拒否」も未だに無くなりません。「補助犬同伴拒否」も、障害者差別解消法上の「障がいを理由とする差別」に該当する場合があると考えられます。しかし、差別解消法はもとより、補助犬法の周知もまだまだなため、補助犬同伴に関しても、事前連絡が求められることもしばしばあります。事前連絡のルールが「受入れないための理由探し」ではなく、「必要なサービスを提供するため」のルールであって欲しい!と切に願います…
そして、せっかくのチャンスですから、そのルールに関しても、今一度当事者を交えての検証等を実施してみていただきたいと思っています。
障害者であっても、急な移動が必要になることもあるわけです。その際にどこまで合理的配慮を提供できるのか? これは想像力と臨機応変な行動力にかかっています。是非、日頃からの定期的なシミュレーションや当事者へのヒアリングを継続実施して頂きたく思っております。
数年前の補助犬ユーザーさんの同伴拒否報道の際、同様にネット上で炎上したため、当会にも連日メディアの方からご連絡があり、「自分が指名手配されている?」ような錯覚に陥った事を思い出します。とてもしんどい日々でした。そして声をあげた当事者に対しても、心無いバッシングがSNS上で投げつけられた事を、昨日の事の様に思い出します。。。その当事者の方の真意がどこにあったか?近くにいればわかるからこそ、それを社会の全ての方に伝えることの難しさを改めて再認識しました。その際にも皆さんに発信させて頂きましたが、これは日本中どこにでも起こり得ることなのです。今回の報道を、「その企業がダメだったね」という犯人探しで終らせるのではなく、「今後、同様の事が起こらないためには、それぞれの立場で何ができるか?何をすべきか?」を考えていただきたいのです!
ちなみに、奄美空港路線で、LCC利用ではなく大手航空会社を利用すると、料金は4倍になるそうです・・・ あなたが当事者だったら、どう感じますか?
追伸:継続してお伝えしておりましたFM-radio JAM THE WORDのツイッターQ&Aですが、最終回は次回に掲載いたします。
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