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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第182回 【FM radio J-WAVEで補助犬特集!】全文テキスト掲載!

堀:続いてはブレイクスルーのコーナーです。去年4月に障害者差別解消法が施行されてから1年。どんな事が差別に当たるのか、知らないと改善することができませんよね。そこで今夜は様々な差別がある中で、補助犬に対する差別解消に向けてこの方にお話を伺います。
NPO法人日本補助犬情報センターの専務理事兼事務局長、橋爪智子さんにお話を伺います。橋爪さん、こんばんは。

橋:こんばんは、よろしくお願いします。

堀:橋爪さんと僕が出会って、取材をさせていただくまでは、正直、補助犬と言えば○○であるってスパンと言えたかっていうと、やっぱりそんなこと無かったんですよ。補助犬って、例えば盲導犬とか…ですよね、みたいな。割と存在はぼやけながら知っていても、それで例えばどういう差別があるのか、とか逆に言うとどういう訓練を受けた犬なのかとか、使っている方々、周りの方々どんな思いがあるのかとか。あまり、直接触れる機会が無かったんですよね。橋爪さんたちが啓蒙活動や、色々な団体を結びつけていったりとか。あとは、お店の皆さんに対して、補助犬ってこうなんですよってことを伝えて回ったりとか。
実際どうですか?障害者差別解消法施行から1年。現状としては?

橋:そうですね、私たち、障害者を支援している人たちからは、ものすごい法律ができた!悲願の法律だ!って喜んではいたんですけど、いざできて一年経って、社会のみんなが知ってくれているかと言うと、多分ほとんどの方が知らないんじゃないかなって思うんですね。なので、普段障害者に接する機会がない方だったり、自分とは全く関係の無い世界のことと思っている方達に、ぜひ知ってもらいたいなっていうことを常々思いながら活動しています。

堀:しかも、補助犬に関しては先行して法律が整備されていて、身体障害者補助犬法という補助犬に関する法律が、15年前の2002年から施行されていると。この法律の第1条、こんな記述があります。
「身体障害者の施設の利用の円滑化を図り、持って身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与することを目的とする 」と。
施設利用の円滑化、これはすなわち、誰もが色々なお店であったり、施設というのを気持ちよく利用できるような環境を整備していきましょうね、っていう法律ですよね。

橋:はい。

堀:進んでますか?

橋:まさに、障害者のアクセス権を認めた、実は画期的な法律だったんですけれども、それまでアクセス権が無かったのか!という所に驚くんですが、それを保障するものが何も無かった中で、15年前に初めてできたんですね。

堀:法的根拠なく、それぞれの現場の皆さんの気持ちによって、って言うことだったんですね。

橋:そうなんです。なので、断られてもしょうがない。なんの法律の後ろ盾もない状況で、障害者当事者の皆さんが、各自先頭で戦ってこられたというところで、初めてできた法律なんですけれども、実は15 年たった今も、法律のことを知らないが故の同伴拒否が全国で無くなっていないのが現状なんです。

堀:同伴拒否というのは、いわゆる、補助犬たちと一緒にどなたかお店に入られた時に、ちょっとウチは…こまるんですよ、とか。洋服屋さんなのか、喫茶店なのか。病院とかそういうケースもあるんですか?

橋:そうですね。まだまだ犬に対する理解というのも、日本は特に遅れているんじゃないかなと思うんですけれども、病院というのは公衆衛生観念が一番高い機関でもあるので、みなさんやはりピリピリしているというか、わからないが故の、犬って汚いんじゃないの、とか、障害者方が連れてくる犬、ちゃんと管理できていないんじゃないの?とか、わからないから来る不安、そしてリスク管理ということで断ってしまうという、間違った問題が起きているのが現状です。

堀:今日もいろんな質問がたくさん来ていて、例えば、私は犬アレルギーがあるので、とか、さきほど出てきた衛生面はどうなんでしょう、とか、あとは物音ですね。吠えるとか、そういうのはどうなんでしょうかとか、色々あったんですけど、そもそも補助犬たちは訓練を受けた専門の犬たちなんですよね。

橋:そうです。

堀:説明をされる時にはどんな風におっしゃってるんですか?そういう懸念に対して。

橋:そうですね。まず断られるセリフの三大名台詞というか、ありまして。まず一つ目は「ほかのお客様に迷惑なので」、ということを言われるんですね。今、おっしゃった「アレルギーとか、犬嫌いの方」がこの社会に、私たちと同じ社会にいらっしゃるということは、もう当然のことなので。私達もそこを無理してまで、いや、障害者の権利だ!犬を連れて入るんだ!ということを言うつもりは無いんですね。どちらも大切なお客様、患者様だと思うので、どちらも気持ちよく共存できるような方法で、ということで、私どもの場合は例えば、飲食店で席が空いていて、そこに誘導していただく際に、まずお店の方に、両隣のお客様に聞いていただくんですね。「今から補助犬をお連れのお客様がお見えですけど、こちらにお通ししていいですか?」と一声聞いていただければ、ほとんどの場合、「いいですよー」と言っていただけているのが、私の実感です。ただ、今言ったみたいに、アレルギーの方、犬嫌いの方、必ずいらっしゃるので、その時は無理せずに、「ちょっとごめんなさい」って言っていただきたいんですね。障害者の方も、ほかのお客様に嫌な思いをさせてまで、お店の利用をしたいとは思ってはいらっしゃらないので。そういう場合は、「じゃあ、ほかの離れた席に」となります。

堀:そうなんですよね。

橋:ということで、うまく対応頂けると思います。

堀:コミュニケーションのあるなしですよね。そこを、入店する入口のところで、いやちょっと…じゃなくて、ちょっとお店の方々にも。この間、橋爪さんとTBS元キャスターの下村健一さんとお話をしている時に、「ほかのお客様」が、って言った時に?周りの方が?

橋:そうなんです。「周りのお客様?僕、嫌がってないよー、どうぞどうぞ」って、言ってくださったのがものすごい助け舟になった事例もあるんですね。

堀:そうなんですね。まず一つ、コミュニケーションありきですよね。

橋:そうですね。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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