ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
-
NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第180回 続・障害の社会モデルの本当の意味・・・
子ども達の運動会が先週末終りました。いや~暑かったです・・・。そして、今年は下の息子が小学校1年生になったので、1年生と4年生の2学年の競技を撮影しなくてはいけません・・・う~む、これが大変。休憩無しです。とにかく、次のプログラムを常に意識し、撮影するためのベストポジションを取るために、走り回りました・・・(汗)母まで運動会に出ている気分でした。(笑)でも、やはり子ども達の頑張る姿は感動の連続です♪皆さんお疲れ様でした♪
・・・そろそろ卒業しませんか?
さて、前回【障害の社会モデルの本当の意味・・・】と題して、左利きの方の苦労についてご紹介をしました。普段、近くに左利きの方が居ない人からすると、「今まで知らなかった苦労を知り」ドキッとされたのでは無いでしょうか? そう、そのドキッとする事が、まだまだ私達の周りには溢れており、そしてその状況を作り出しているのが、私達1人1人だったりするのです…
今回は、その続編として、更に深堀りしてみたいと思います。
5月22日の星加先生の基調講演(下記にて動画配信案内あり)の中で、フィンケルシュタイン[Finkelstein:1981]の寓話「障害者の村」のお話がありました。その中で、「社会モデル」が説明されています。
とてもかいつまんでご説明をすると、仮想の「障害者の村」では、車椅子利用者が基準の構造で家が立てられます。段差や階段が無いのは当然のことで、さらに電機のスイッチ、コンセントの位置、天井の高さに到るまで、全て車椅子利用者の高さにあった作りになっています・・・。この村では、現実社会の「健常者」と呼ばれる人間が、たちまち「障害者」となる逆転現象が起こるのです。
が、しかし、そこには新たな問題が発生します。車椅子利用が基準となれば、「杖歩行の方」や「視覚障害者」などのほかの障害者も、その想定の村では「障害者」として不便を被ることになります・・・。
知れば知るほど、奥が深いな~と感じてしまいました。
ある1つの側面のバリアをフラットにしようと思うと、また別の面のバリアが強調されたり生まれたりします。それは、障害者の中でも、種別や状況に応じて、当事者にもなりうるし、捉え方によっては被当事者にもなりうる・・・
全ての人が平等で満足できる社会・・・言葉にするのは簡単ですが、実現するための困難は想像を絶します。ただ、だから無理だよね、ではなく、1人1人ができることから始めるしかないのだと思います。例えば、段差を完全に無くすことは出来なくても、車椅子の方が段差を乗り越えるお手伝いはできますよね? 視覚障害者が得ることが出来ない視覚的情報(信号の色など)を、言葉の音声情報に変えて伝えることは出来ますよね? 聴覚障害者が得ることが出来ない音声情報(電車内の緊急アナウンスなど)を、スマホで文字情報に変えて伝えることは出来ますよね?
そんなことを考えながら、改めて星加先生の講演の中のお言葉が印象深く残っています。「目の前に特定の人だけに対するバリアがある事に気付いたのに、解消しないのは、不正義である。」とてもシンプルだと思いませんか? できることから、始めればよいのです。
そんな社会を、是非とも一緒に実現していきましょう!
そのためにも、まずは知ってください。身体障害者のかけがえの無いパートナーとして、3種の補助犬たち(盲導犬・介助犬・聴導犬)がともに社会参加していることを・・・
******************************************************
動画配信!2017年5月22日 身体障害者補助犬法成立15周年記念【ほじょ犬の日】啓発シンポジウム「障害者理解の最前線 ~障害の社会モデルを知る~」
- 基調講演:星加 良司 東京大学 大学院教育学研究科付属 バリアフリー教育開発研究センター専任講師
******************************************************
- ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より
-
当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。