ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
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NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第179回 障害の社会モデルの本当の意味・・・
5月22日(月)無事に『ほじょ犬の日』啓発シンポジウム終了しました。全国各地から多くの補助犬ユーザーさんや様々なお立場の方がご参加くださいまして、非常に有意義な1日となりました。毎年恒例になりました終了後の交流会も、とっても賑やかに、部屋中が笑い声に溢れ、みなさんのコミュニケーションが広がりました♪ 視覚障害者と聴覚障害者が、手話通訳を介さずに会話しておられる様子を見ながら、『これぞ!真のインクルーシブコミュニケーションだわ~』と、とても嬉しい気持ちになりました♪
・・・そろそろ卒業しませんか?
今回、初の試みとして、午前中の基調講演を“動画配信”しております。当日は、星加先生のご承諾もいただき、ライブ中継をさせていただきました♪是非とも、全国の障害当事者の皆様、障害者支援に関わる皆様、また、受入れ事業者等あらゆるお立場の方に、それぞれの立場での『障害の社会モデル』を考えて頂けるきっかけになりますように・・・
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- 基調講演:星加 良司
東京大学 大学院教育学研究科付属 バリアフリー教育開発研究センター専任講師
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星加先生のお話の中で、とても興味深かった、『障害者の村』の話。衝撃的ではありましたが、ようは、考え方の根底にあるスタート部分からの転換が必要なのだ!と改めて考えさせられました。星加先生の「最近の風潮から、社会モデルという言葉が一人歩きする事で、真の理解に繋がらず、逆に今までの個人モデルを強調してしまうのではないか?と危惧している」というお言葉に、頭ではわかっているつもりでしたが、やはり、心まで真に理解するためには、もっと正しく深く知らなければいけない!と感じました。
突然ですが、みなさんは右利きですか?左利きですか?
普段使っているハサミ。基本的に右利き用が多いってご存知でしたか?持ち手の問題ではなく、刃先の構造が基本的に右利き用にできているんです。だから、左利きの方が使うと・・・上手く切れないことが多々あります。
そのほか、ファミレスやホテルビュッフェなどに行かれた際に、スープバーを利用したことがある方はご存知かと思いますが、スープを注ぐおたま、片方だけ注ぎ口がありますよね。あれって、基本的に右利き用なんです。だから、左利きの人はとても苦労をされています。(私の友人などはしょっちゅうヤケドをすると言っていました。)
ではそこで、「左利きの人は数も少ないのだから、我慢して」と言ってよいのでしょうか?
最近では両利き様のハサミやおたまが作られています。それが当たり前になれば、苦労する人が減りますよね。
ようは、障害の社会モデルとは、障害に関することだけじゃないと思うのです。同じ社会に様々な人が居る。右利き、左利き、メガネをかけている人、かけていない人、障害のあるない、国籍の違い、ジェンダーの違い・・・様々な違いが世の中にあって当たり前なのです。そして、社会モデルでは、「目の前に特定の人だけに対するバリアがある事に気付いたのに、解消しないのは、不正義である」という考え方。とてもシンプルだと思いませんか?
そんな社会を、是非とも一緒に実現していきましょう!
- ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より
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当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。