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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第153回 リハビリテーション関連職種の理解・協力を求む!!

 当会は、良質な身体障害者補助犬の育成普及、および補助犬ユーザーである身体障害者の自立および社会参加の促進に寄与することを目的として活動をしています。補助犬はご存知の通り、3種(盲導犬、介助犬、聴導犬)が活動していますが、それぞれに、視覚障害、肢体不自由、聴覚障害の専門職との連携が不可欠です。そのため、当会の理事達は、さまざまな分野の専門職が、それぞれの専門分野における活動を展開しております。

 今回は、理事の中の1人である野口裕美(理学療法士・作業療法士)からのメッセージをご紹介いたします。

補助犬の中でも特に、介助犬は「肢体不自由者のリハビリテーション」と密接な関係があります!

 私が介助犬に関わるようになってから、あっという間の15年でしたが、冷静に考えると決して短い時間ではありません。それでは現状、補助犬を取り巻く社会の環境がどれだけ変化したのだろうか? そして自分自身がこの事業に対してどれだけ貢献することができ、社会に対して有益な情報をどれだけ提供することができたのだろうか? そのような問いかけは尽きることがありません。

 私は、15年前に日本全薬工業(株)(ゼノアック)が助成する理学療法士、作業療法士を対象にした「介助犬トレーナー研修生」に応募し、参加をしたのが介助犬に関する最初の大きな関わりでした。その時の報告はゼノアックのHPに掲載されていますので、是非、ご参考にして下さい。


 研修後には、「理学療法士として、客観的なデータに基づく、介助犬の身体介助機能面に関する研究を積み重ね、介助犬による身体介助効果について明らかにしていきたい」という掲げた目標に邁進して参りました。

 その後、大学院において作業療法士の恩師より多大なる影響を受け、機能面における研究のみならず、介助犬と生活することによってもたらされるライフスタイルや自己効力感の変化に興味を持ち、作業療法を学ぶ機会を得て、現在は作業療法学的な分野で研究活動を進めております。

 一人でも多くの理学療法士、作業療法士に介助犬の存在を知ってもらい、一般的な装具と同様に介助犬に関しても知識を蓄えていただきたい思いで、個人的には地道に、啓発活動、研究活動、さまざまな活動を続けてまいりました。

 しかし、ふと立ち止まってみると医療従事者の介助犬に対する認識がまだまだ低く、そして、受け入れに関しても医療機関で同伴拒否に会うケースがいまだ多いのが現状です。そして、特にこの分野に関して興味を持って、共に関与する医療従事者を育成できていない現状に気が付かされます。

 今後、自立の手段として介助犬との生活が適応となる障碍者に対して、日々の臨床現場の中で情報提供し、一人でも多くの障碍者が介助犬の効果を最大限に引き出しながら、充実した生活が送れるような環境を作りだすためには、引き続き、そして益々、理学療法士、作業療法士に対して介助犬の存在、効果について、情報提供する必要性を感じております。

 そして、特に、次世代に向けて、この補助犬事業の一部を支えてもらうためにも、若い世代のセラピストが補助犬に興味を持ち、効果について共に考えてもらえるような体制を整えていくことが必須であると感じております。この体制構築が私にとっては、当面、一番の課題であると考えています。

 当センターとしてもリハビリテーション専門職を対象に介助犬の情報提供するセミナーなどを計画するなど、具体的に事業を展開して参りたいと思います。

 是非、少しでもご興味、関心を持たれたリハビリテーション専門職の方々、当センターまで、ご連絡ください。リハビリテーション専門職としてできることを色々な側面から一緒に検討していきませんか。ご連絡をお待ちしております。

理事 野口裕美 
(四條畷学園大学リハビリテーション学部作業療法学専攻講師・理学療法士/作業療法士)

 是非、これをお読みになって、「自分も専門職の立場から何かできるのではないか?」とか、「まずは何ができるか? 知ってみたい。」等思われた方、おられましたらお気軽にご連絡ください。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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