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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第25回 「ほじょ犬都市伝説 その5 ……ほじょ犬はトイレを我慢してるの?」

 春一番が吹き、ようやく本格的な春の訪れ。。。事務所近くの川原にも、つくしんぼうが出てきたり、桜のつぼみがふくれ始めたり、春の準備は着々と進んでいます。犬たちのお散歩にも最高の季節です!とはいえ、花粉症の方にとっては、つらい季節でもありますね。マスクなどの対策で乗り切ってください。

 さて、今回は、ほじょ犬のトイレ事情についてご紹介します♪

排泄グッズ『ワン・ツーベルト』のデモの様子。これで、排泄物は袋の中に入ってくれます♪

 「ほじょ犬のトイレ」について考えたことはありますか? 補助犬の同伴を拒否する原因の一つに、『犬は不衛生』というイメージがありますが、これは、日本のペットのマナーが、残念ながら影響していると思っています。

 ご近所で見かける、散歩中の犬たちはいかがでしょうか? 日本の昔からの飼い方では、電信柱におしっこをひっかけるイメージがありますが、これは「マーキング」といい、自分の縄張りを主張する、自分の存在を仲間に知らせるために行っています。しかしこれは、適切な時期に去勢・避妊手術をすることで、ほとんどの場合がなくなります(避妊・去勢に関しては、様々な病気から守るためにも、補助犬でなくとも適切な時期に実施してください♪)。

 もし、癖としてなくならない場合は、社会参加をする補助犬としては「適性なし」ということで、キャリアチェンジとなります。ほじょ犬たちは、国の法律に基づいて認定されているわけですから、衛生管理・行動管理はきちんとなされていることが前提です。その中には、もちろん「排泄の管理」も含まれているのです。補助犬たちは、やたらめったら、その辺で排泄してしまうことはありません!

 犬は生態学上、水分摂取の約2時間後にオシッコの量が多くなり、食餌直後や運動後にウンチが出やすいと言われています(もちろん人間と同じく個体差はあります)が、補助犬たちはそれぞれのトレーニングの中で、排泄のタイミングや仕方を覚えていきます。

 トレーナーたちは、その個体それぞれのタイミングを把握し、それに合わせた排泄指示を行います。そして、ユーザーさんにそのタイミングを覚えてもらうことで、適切な時間と場所で、指示による排泄を成功させます。決して無理強いさせることなく、その犬のタイミングで、気持ち良く排泄できる管理をユーザーさんがしているのです♪ 人間の子どもと同じですよね♪

 ちなみに、盲導犬のユーザーさんは、視覚障がい者です。ハーネスから伝わる犬の動きの変化や様子を察知し、排泄管理をしておられます(上の写真は、盲導犬ユーザーの多くが使用しておられる「ワン・ツーベルト」。簡単に装着でき、排泄物がナイロン袋に収納されるようになっているので、周囲を汚すことなく排泄物の処理ができます)

 また、介助犬ユーザーさんは、手に障がいのある方も多いので、排泄物の処理は難しい作業ですが、OT(作業療法士)・PT(理学療法士)の先生方と共同で様々な自助具を開発しておられます。そして多くのユーザーさんは、多目的トイレで、ペットシーツを敷いてその上で排泄するよう促すので、同じく周囲を汚すことなく処理が可能です。

 補助犬ユーザーさんは様々な工夫と努力をしながら、補助犬と一緒に社会参加されています。是非、応援してください♪

 次回は、「ほじょ犬都市伝説その6……ほじょ犬専用トイレってあるの?」です。お楽しみに♪

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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