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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第120回 障害者を味方につけましょう♪♪♪ ~障害者対応=怖いって思ってませんか?~

 4月から、「障害者差別解消法」が施行されます! 昨年は、「自分ごと」と思っておられない企業の方が多く、「大丈夫かな~?」と思っていましたが、何だか、にわかに盛り上がってきました。ようやくというか、何というか……。でも、「学ぼう!知ろう!」と思ってくださることは有り難く、貴重なチャンスだと捉えて、様々なところに足を運ぶようにしております。

補助犬たちもユーザーさんと一緒に出勤!
ユーザーさんがお仕事中は、「待機」という名の爆睡です♪

 つい先日も、国土交通省の差別解消法セミナーと、大手企業の事例紹介セミナーに参加してきました。なるほどね~と頭ではわかる。事例も素晴らしいものばかり。でも、周囲に座っておられる方々のお顔を見ていると、「???」な感じ。声をかけて話してみると、結局、「自分の事業体に当てはめて考えてみると、何ができるのか、何をすべきなのかが難しいです…」とのことでした。
 そうなんですよね。皆さん気持ちはあるのだけど、自分たちがどうしたら良いのかわからない……。最終的には、それぞれの現場で何ができるのか、何をすべきか、それが最大の問題です。そして、障害者差別解消法に出てくる「合理的配慮」の文字に翻弄されます。

 わからないのも、仕方ないと思います。なぜなら、【接していない】からです。当事者の声を聞いていないからです。
 「障害のあるお客様がほとんど来られませんので」と、多くの方がおっしゃいますが、これからは、それを恥ずかしいと思っていただきたいと思います。障害者の方々が「利用してみよう♪」と思えない、障害者に選ばれていない評価の裏返しでもあると……。障害者対応、高齢者対応は、今後は大きなマーケットでもあります。
 わからないのであれば、当事者のお話を聞きに行けば良いのでは?または、お呼びして、ヒアリングしてみては?と提案をしています。実際に当事者の方のコーディネートをした事例も多く、皆さん双方に喜んでいただいております。
 また、もっと身近な問題として感じたいのであれば、職員の中で、障害のある家族がいる人の声を聞くこと。そして何より効率的なのは、「職員として雇用して味方につけること」だと思います。

 ただ、悲しい現状がわが国にはあります。
 障害者雇用促進法の「法定雇用率」は、2013年4月から民間企業で2.0%、国・地方公共団体等で2.3%が課されています。しかし、実際に雇用されている障害者の割合は、2013年6月時点で、民間企業で1.76%、公的機関で2.25~2.52%。残念ながら民間企業では、これまでに一度も法定雇用率が達成されたことがありません。
 障害者の法定雇用率は、原則として5年ごとに見直しが図られます。そして、雇用義務の対象は身体障害者と知的障害者であり、精神障害者はまだ義務の対象になっていませんでしたが、2018年4月からは、法定雇用率の算定基礎の対象に、精神障害者も含まれるようになります。また、その精神障害者には、ADHDを代表とする発達障害やてんかんが含まれるようになりました。

 障害者雇用促進法は、2013年6月に改正され、2016年4月から施行されることが決まっています。この改正により、雇用における障害者への差別が禁止されます。障害者差別解消法との同時スタートというのも、大切なタイミングです。
 例えば、車椅子や人工呼吸器を利用していることを理由に障害者が働くのを拒否したり、賃金を低く設定するなどの不当な雇用差別が禁止されることになります。もちろん「補助犬」も拒否の理由にはできません。

 ただ、障害者も「人」です。健常者(このくくりは好きではありませんが)の間でも、合う・合わないがあるように、障害者の方もそれぞれのパーソナリティがおありですので、各企業のどのような部署で、どのような業務ができる人材が必要か、一人当たりの業務量や種類を組み合わせたり、切り分けたり、他の職員のキャラクター等とも鑑みながら、『欲しい人材』をクリアにして積極的に探されることが重要かと思います。ただ単に、支援団体からの紹介を受けるだけでなく、企業側もドンドンとリクエストされるとよいと思います。

 

 そして、次のステップは、面接でとにかくコミュニケーションをとることです。わが社に欲しい人材かどうか、貢献できる人材かを見極めるためには、コミュニケーションしかありません。入社が決まってからも、とにかくコミュニケーションです! 最初に時間をかけてそこをクリアできれば、あとはとてもよい相乗効果のチャンス到来です!

 続きは、来週ご紹介いたします。

 今年の4月からは、障害者差別解消法がスタートします・・・。「当たり前」について考えて行きたいと思います。(「障害者差別解消法リーフレット(わかりやすい版)」)。

お知らせ

人と動物の関係学会第22回学術大会

 http://www.hars.gr.jp/

 当会専務理事の橋爪がシンポジストとして登壇いたします!
  • ◆ 日時:2016年3月5日(土曜日)
  • ◆ 場所:東京大学弥生講堂
  • ◆ シンポジウム:
    「補助犬からアシスタンス・ドッグへ:普及と発展に向けた課題と社会の意識」
    アシスタンス・ドッグとは?!私達の良き友、犬。わが国でも補助犬たちはその最たるものとして、ヒトと社会を繋ぐ重要な役割を担っている。そして本シンポジウムでは、アシスタンス・ドッグとはなにか、概念とその社会における普及と発展について、議論を深める。
  • ・ 座長:新島 典子(ヤマザキ学園大学 動物看護学部)
  • ・ 山本 真理子( 帝京科学大学 生命環境学部)
  • ・ 鋒山 佐恵 ( 一般財団法人ヒューマニン財団)
  • ・ 橋爪 智子 (特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター)
  • ・ 星加 良司 (東京大学バリアフリー教育開発センター・東大先端科学技術センター)
  • ・ コメンテーター:甲田 菜穂子(東京農工大学 農学部)

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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