ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
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NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第104回 人間関係の中で……補助犬という「相棒」
運動会シーズンも終り、少し秋の気配も深まってきましたね。そろそろ植物や虫達も、冬支度を始め出しています。うちの猫のクルミさんも、すっかり寝る場所が変わり、今までの冷たいフローリングの上ではなく、温かい毛布に包まって、まんまるで寝ています。相変わらず、毎朝私のお腹の上に乗って、ゴロゴロと伏せてくれるのですが、二度寝には注意しないといけません…(笑)
補助犬ユーザーさん達はよく、「あなたにとって、補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)はどんな存在ですか?」と聞かれることがあります。取材やイベントでお話しいただいたりする場合は特に。
だから、そのことについて、皆さんよく考えておられます。「なくてはならない存在」とか「家族以上の存在」、「自分自身」とおっしゃる方もおられます。もちろん、価値観は人それぞれですので、これが答え!というものはないのですが……。色々考えた末、「相棒」という回答をされる方が多いです。
補助犬の効果の一つとして、「介助者の負担軽減」というものがあります。
補助犬がいてくれれば、今まで1人では行けなかった所に行くことができたり、1人でできなかったことができるようになります。
もちろんこれは、補助犬と暮らす障害者の方が偉いとか優秀ということではなく、それぞれの自立と社会参加の形であり、選択肢の1つなのです。
とはいえ、良いことばかりではありません。日々のお世話は大変! 毎日のリズムが大切ですので、食事・排泄・お散歩などのリフレッシュ等、生活の行程管理はもちろんのこと、社会参加した先での行動管理、そして何より大切な日々の健康・衛生管理の責任が課せられます。毎日ブラッシングをすることで、抜け毛を最低限に抑えたり、さらに抜け毛予防のためのマナーコートを着せたり……障害があるなかで、様々な工夫をしておられます。
- ※だから、日本中のペットの犬と暮らしている皆さんにお伝えしたいのです! 障害がある方でも、ここまで努力をして犬とのマナー向上に努めておられます。ペットの犬の一部の方のマナーの悪さが、「犬」というものに対する印象を決定づけることがあります。ぜひとも、お散歩時の排泄マナーや行動マナー等、しっかりと気をつけ、犬も飼い主さんも周囲の方々も、みんながHappyな関係を作っていただきたいと思っています。
これらの負担を、ご自身で責任を果たすことを誓い、皆さん補助犬との生活を始めておられます。だからこそ、補助犬とユーザーさんの間には、強~い絆が生まれるのです。お互いが、お互いを必要としている存在だからなのです。ただ「してもらう」だけの関係では、犬はロボットではありませんので、良い関係は続きません。お互いを認め合ってこそなのです♪ だから、「相棒」という言葉がしっくりくるのだな~と感じています。
そんな想いで、そんな努力をしながら、補助犬ユーザーさん達が社会参加しておられるんだな~と、社会全体が理解していただけると、今起こっている同伴拒否問題などはなくなると思っています。
盲ろう者として初めて東京大教授となられた福島智先生が、新聞のインタビューでこのようなお話をされていました。
****************************************************** 盲ろう者となった時、「宇宙に一人で漂っているような状態」の中で自分の存在を実感させてくれたのが、指点字を通じた他者とのコミュニケーションだった。「適応障害になり、人とのつながりは大きな喜びであると同時に、大きな苦しみの源泉にもなると分かった。でも、やっぱり人は人間関係がないと生きていけないんです」 (10月17日東京新聞)
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このお言葉が、非常に印象的でした。
これは、社会参加していれば、障害がある・なしに関わらず、言えることだと思います。家族との生活の中でもありますよね。現状の社会では、障害がある方々が社会参加する!人と繋がる!ということは、障害がない私達には想像できない勇気と努力が必要なのだと思います。
障害のある方々が、必要以上の勇気や努力がなくても済むよう、社会全体で『当たり前にすべての人が社会参加して輝ける』そんな社会にしていきたいですね……
- ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より
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