ほじょ犬って、なあに?
身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。
- プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)
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NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。
著書
『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)
第99回 「盲導犬なう」って……(涙)
今回の台風の被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復旧をお祈りしております。自然の力の前では人間が無力であることを、改めて実感した数日でした……日頃からの備えも大事だと、改めて感じました。
さて、先週末、当会のウェブサイトリニューアルにあたり、補助犬ユーザーさん&補助犬たちの写真撮影を実施してまいりました。
- 撮影の様子はこちら→<介助犬デイジーの活動日記>
実際の補助犬たちの様子をオシャレな写真で紹介し、一人でも多くの方に興味を持っていただき、理解を深めていただくことが目的です! 現在、リニューアル作業を進めておりますので、完成まで今しばらくお待ちください♪
今回は、プロのカメラマンさんにも撮影いただいたのですが、その途中途中、当会の情報発信の中で使用できる写真を撮ろうと、私も個人の携帯でパシャパシャ撮っておりました。日頃から、毎週こちらのブログに書くネタや写真を、常に探しているもので……(苦笑)。ユーザーさん達に会うと、「いつもネタを探してますからね!油断しないでください♪」と言って、笑い合っています♪
* * *
そんななか、今回も盲導犬ユーザーさんと歩く道中、歩行の様子などを撮らせていただいたのですが……地下鉄に乗った際に、“盗撮”の話になりました。
くわしく話を聞いてみると、「『盲導犬なう』とかよくツイートされたりするの。自分達は目が見えないから、どこで撮られているかわからないでしょ。でもシャッター音は聞こえるから、撮られてるんだな~と。やっぱり気持ちよいものではないの」……と。
そりゃそうです。誰だって、日常生活の中で知らない人から写真を撮られたら、気持ちよいわけがない。それはもう『日常』ではないですよね? いつ、誰から写真を撮られるかがわからない、自分がその立場だったら……と、どうして想像できないのでしょうか???
他の補助犬ユーザーさんも同様です。肢体不自由者は、背後を振り返るなどが難しい方も多くおられます。死角から撮られたりすることは日常茶飯事。聴覚障害者は、視覚での確認はできても、音の確認ができないので、やはり死角から撮られるとわからない。でも気配は感じたりするのです。振り返ると、コソコソ話されている……気持ちよくないですよね、そんな日常。
現状、まだまだ数が少ない補助犬たち。
<補助犬別実働頭数(H27.9.1現在)> 厚労省ほじょ犬情報ページより- 盲導犬:984頭
- 介助犬:74頭
- 聴導犬:60頭
見かけるとその珍しさに、つい写真を撮りたくなる気持ちもわからなくはないです。でも、その時に、マナーを考えてみませんか? それは、盗撮に類似する行為になってしまう可能性があるのです!(「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(迷惑防止条例)第5条第1項第2号 ※東京都の場合)
足下だから、犬だから、と皆さん気軽に“盗撮”しちゃっているのですが、撮られた方が不安に感じられたりすることで、犯罪行為ととられるかも!ということを、自覚いただきたいな~と思いました。ともかく、自分がされて嫌なことは、人にしないでおきましょう♪
だからといって、補助犬ユーザーとまったくかかわるな!ということではなく、温かく見守っていただきたいな~♪と思います。そして、何か困っていそうなときは、「お手伝いできることありますか?」と一声かけていただけると、何より安心できるのです♪
(例えば、補助犬法に理解がないお店で同伴拒否をされている補助犬ユーザーがいたら、「補助犬法があるので、受け入れて大丈夫なんですよ」と伝えていただけるとありがたいです♪)
先日雨の中、レインコート着用で通勤中の介助犬ペアが、途中に落とし物をして立ち往生をしてしまったとき、車を止めて駆け寄ってきてくださった方がいたそうです。「大丈夫ですか?お手伝いしましょうか?」と。きっと、この方は、普段から困っている人を見かけたら、当たり前に「大丈夫ですか?」と声がかけられる方なんじゃないかな~と感じました。
困っている人を、『当たり前』にお手伝いできるスマートな社会に、1日も早くなってほしいです。そのために、今後も情報発信に頑張っていきたい!そう思いました。
- ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より
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当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。