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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第71回 補助犬同伴の就労について考える

 さて、今回のテーマ、自分で決めておきながら、頭を抱えています。テーマが重大すぎて……。でも、考え始めないと何も始まらないので、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

補助犬達は自分のお仕事が無い時はぐっすりリラックス♪
お仕事中はデスクの下や横の邪魔にならないスペースで♪
会議の時間も空いてるスペースで問題無しです♪

 補助犬同伴の就労について考えるときに、切り離せないのが「同伴拒否」の問題です。

 「同伴拒否」というと、飲食店がダントツに多く、また目立つので話題になりやすいのですが、これはユーザーさんの利用率が高く母数も多いわけで、その捉え方は気をつけなければなりません。もちろん、すべての同伴拒否ゼロ!が理想ですが、例えば同じ同伴拒否でも、お店を変えれば食事ができる飲食店と、そう簡単に変えるわけにはいかない医療機関とでは、当事者の受けるダメージが違ってきます。

 ましてや、職場と住居に関しては、飲食店等の一時利用とは違い、日々の生活の大部分を占める場所ですから、問題はとても複雑です! あまりもめて、無理矢理受け入れてもらっても、その後の居心地が悪いだけです。キチンと正しい理解の上で、双方気持ちよく♪が理想です。

 当会でも数々のご相談を受けてきました。当事者であるユーザーさん側、受け入れ事業者側、時に所属の訓練事業者側、またその調整を図る自治体側……と、様々な立場の方の声を聞いてきました。

 当然のことながら 1つとして同じ事例はなく、それぞれの立場で重視しておられるポイントが違ったりするので、多くの場合、当事者同士の話し合いが実は噛み合わないこともしばしばです。

 そこで、重要となってくるのが、第三者的な立場から関与できる人の対応が鍵となってきます。それが、訓練事業関係者だったり、自治体だったり、当会だったりするのです。私が交渉の過程で一番意識しているのは、その方が「何を最も重要視しているのか?」をしっかりと受け止めた上で、間違った認識があれば説明させていただき、こちら側の主張も織り交ぜながら、最終的に双方気持ちよく利用できるポイントを目指していきます。

 ま、このように言葉で書くのは簡単ですが、なかなか、時間と労力はかかります……結果、うまくいくことばかりではないですが、うまくいった場合に、ユーザーさんと補助犬が生き生きと活躍できている様子を聞くと、すべてが報われ、何よりハッピーな気持ちになります。

 障害者の就労自体がまだまだ、難しい問題の中で、少しずつでも、補助犬同伴の就労が進み、生き生きと活躍するペアが増えるよう、このテーマに関しては継続的に、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 さて、超ベテラン盲導犬ユーザーさんが、おっしゃっていた印象的な言葉があります。

「同伴拒否にあっても、笑顔でこちらが対応すれば、なんとか伝わるもの! 最初からこちらの顔が強張っていたら、伝わるものも伝わらない。双方気持ち良くないもの・・・」

 最近、我が子たち(7歳&4歳)がヘビーローテーションで歌っているこの歌が頭から離れません。セカオワことSEKAI NO OWARIが歌う「Dragon Night」。が、良く聴くと、とても深い詩になっています。

「人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないのかも知れない だけど僕の嫌いな「彼」も彼なりの理由があるとおもうんだ」

 なるほど……深い……。

 次回は 第72回「飲食店の大きな誤解!」をお届けいたします。

◆参考 「障害者雇用対策」
 障害のある人が障害のない人と同様、その能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指し、障害のある人の雇用対策を総合的に推進しています。

【施策の概要】
 障害者の就労意欲は近年急速に高まっており、障害者が職業を通じ、誇りをもって自立した生活を送ることができるよう、障害者雇用対策を進めています。
 障害者の雇用対策としては、障害者雇用促進法において、まず、企業に対して、雇用する労働者の2.0%に相当する障害者を雇用することを義務付けています(障害者雇用率制度)。
 これを満たさない企業からは納付金を徴収しており、この納付金をもとに雇用義務数より多く障害者を雇用する企業に対して調整金を支払ったり、障害者を雇用するために必要な施設設備費等に助成したりしています(障害者雇用納付金制度)。
 また、障害者本人に対しては、職業訓練や職業紹介、職場適応援助者等の職業リハビリテーションを実施し、それぞれの障害特性に応じたきめ細かな支援がなされるよう配慮しています。

◆参考 「障害者雇用率制度」
 従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)
 また精神障害者については雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます。

※障害者の法定雇用率の引き上げ
 障害者雇用促進法施行令の改正により、法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられました(平成25年4月1日より施行)。これによって、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が、従業員規模56人以上から50人以上となります。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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