パラリンピック優勝で、金より輝く私たち!
――日本初・障害者女子ソフトボールチームの挑戦
まだ日本中を探しても対戦相手がいない。パラリンピックの正式競技にもなっていない。それでも、パラリンピックの金メダルを獲ることに挑戦します!
- プロフィール工藤 陽介(くどう ようすけ)
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知的障害のある女性のソフトボールチーム「武蔵野プリティープリンセス」代表・監督。1977年、埼玉県坂戸市生まれ。高校卒業後オーストラリアに渡り、ソフトボールと障害者スポーツのコーチングを学ぶ。留学中、シドニー五輪のソフトボール女子日本代表(監督:宇津木妙子(当時))の通訳を務める。2002年より、NPO法人(当時)スペシャルオリンピックス日本で、知的障害者へのスポーツ指導に携わる。2011年より、社会福祉法人 昴の職員。武蔵丘短期大学で「障害者スポーツ」についての講義を担当。一般社団法人日本障害者女子ソフトボール協会 代表理事。
第11回 練習試合と大会について
私たちはこれまで、練習の成果を出す場である試合をこなしてきました。練習試合は3回、それと武蔵野プリティープリンセスのサポーターズクラブが主催した「宇津木妙子杯ソフトボール交流大会」を2回行いました。
これまでの試合相手は、中学生・高校生・社会人の健常者の女性ソフトボールチームでした。私たちは日本初で、現在でも唯一の障害のある女子だけのソフトボールチームです。したがって同じ障害者女子チームを相手にした試合ができません。
同じ障害者というくくりでは、障害者の男子チームは全国的にも数多くあり、埼玉県内にも数チームあります。そのチームと試合してはとも思うのですが、以下のような懸案事項があり、これまでは行っていません。
(1)性別の違いによる力の差がある
男性と女性では、体格が違ったり、パワーやスピードも違うので、どうしても力の差が出てしまいます。特に男性バッターが打つ打球のスピードは女性バッターが打つそれとは比べ物にならないくらい速く、危険があります。
(2)ルールが違う
障害者の男子チームの試合では、障害特性に合わせて一部通常のソフトボールのルールより簡単な形にして試合を実施している場合が多くあります。例えば、以下のようなルールです。
- ・パスボールがない
- ・盗塁ができない
私たちが障害特性に合わせたルールをあえて採用しないのには、大切な理由があります。
知的障害者は、知的能力の発達に障害のある人であり、身体障害者とは違い、体の部位に不自由はありません。車椅子や補装具、自助具を使うこともありません。競技場やグラウンドも一般のものを使用できます。
ルールさえ変えることがなければ、健常者のチームと同じ土壌で競い合うことができるのです(ルールの指導の難しさについては第7回参照)!
そうすることで、試合は同じスポーツを志している健常者と障害者が出会う場となり、それぞれのプレイを見ることで、お互いがよい刺激を受けることになります。また、福祉の観点からみれば、障害者への理解へとつながるものであると確信をしています。
武蔵野プリティープリンセスは、ほかのチームとの交流を重視しているので、あえて通常のルールで、通常と同じ道具を使っているのです。私たちが体現していることを見て、将来、ほかの女性障害者ソフトボールチームが実践し、仲間が増えていくことを期待しています。
次回は、これまでの練習試合と大会の様子を詳しくご紹介したいと思っています。
- 今週のプリティープリンセス
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ライト 背番号7 川端莉奈(かわばた りな)
現在高校一年生。中学校でソフトボール部に所属していた数少ない経験者の一人です。当初はライトのみでしたが、今ではキャッチャーとファーストの練習もしています。チームにとって、また彼女自身にとって最適なポジションを模索中です。バッターとしても5番を任され、力強いバッティングを期待されています。
- 選手・コーチ募集中
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武蔵野プリティープリンセスでは、ソフトボールに興味のある知的障害のある女性を選手として、その選手たちと一緒にソフトボールを楽しみたい方をコーチとして大募集中です。
少しでもご興味ある方はお気軽にご連絡ください。この活動についてのお問い合わせは、お気軽に下記までご連絡ください。
障害者女子ソフトボールチーム 「武蔵野プリティープリンセス」
代表:工藤陽介
〒355-0047 埼玉県東松山市高坂1056-1 いんくる堂内
080-7963-4373(電話番号)
mppsoftball@gmail.com(メール)- 活動内容はFacebookでご紹介しています。