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養成施設の教員からのメッセージ

第1回 人のつながりと成長機会を大切に

東北福祉大学総合福祉学部社会福祉学科准教授
石附敬

新人ソーシャルワーカーに期待すること

 今回の受験者の中には、コロナウィルスの感染拡大期に実習の実施や養成校での学習に大きな影響を受けた人が多かったと思います。社会人として国家試験に挑戦された方も、さまざまな制限の中でご苦労をされてきたことと思います。すべての方々が、さまざまな思いを持って社会福祉士を目指して努力をされてきたことに敬意を表します。
 日本の社会福祉は、これまで大きな転換期を乗り越えてきました。施設中心から在宅、地域を中心とした時代への移行、社会福祉基礎構造改革、介護保険制度にみられるサービスの普遍化や利用者中心への発展、そして現在はさまざまな人々が地域の中で共に暮らしていけるような社会づくりを目指す時代へと進んでいます。そして社会福祉士は、多様な専門職やさまざまな機関、地域の人々と協働しながら、地域共生社会の実現に向けて中核的役割を担うことが求められています。皆さんには、それぞれのフィールドにおいてその一翼を担い、ご活躍されることを期待しています。

入職までにしておいてほしいこと

 試験勉強で禁欲的な生活を続けてこられた皆さんには、入職までの時間はご自分へのご褒美として、ぜひ潤いのある時間を過ごしていただきたいと思います。学生の人は最後の春休みを大いに満喫して、新生活に向けてエネルギーを蓄えておくと良いでしょう。どんな仕事にも共通することだと思いますが、質の高い仕事をするためには、オンとオフの切り替えが大切です。ゆったりとした時間を過ごす中で、これまで何をしてきたか振り返り、さらにこれから何をしたいのか、何を目標にしていくのか考えることも大切です。社会福祉士は資格を取得してからが、専門職としてのスタートです。3年後、5年後、10年後に向けて何を目標にするのか。そのために必要な経験や資格など、考えてみることも大切だと思います。

今、読んでおくとよい本や映画

 これまで指定科目の教科書や参考書、過去問集を手元に置いて勉強をされてきたと思いますが、資格を取得したらこれらの本から解放されます。ぜひ皆さんは、仕事の面でもプライベートでも興味のある本や映画を自由に楽しんでください。ソーシャルワークは幅の広い仕事ですので、さまざまな知識や経験が役に立ちます。私からあえて挙げるとすると次の本をお勧めしたいと思います。
 一つ目は、さまざまな領域で挑戦する若者への取材を基に、青春とは何かを論じた、立花隆『青春漂流』(講談社)です。二つ目は、介護や医療的ケアという限定されたものではなく、人や生き物、芸術などあらゆる対象の成長を助ける行為としてのケアの意味を論じた、ミルトン・メイヤロフ『ケアの本質 生きることの意味』(ゆみる出版)です。この二つの本は、人生を豊かにするためのヒントを与えてくれるものだと思います。

応援メッセージ

 ソーシャルワークは一人でする仕事ではありません。同僚や他の専門職、その他さまざまな人々を頼りにして協力してもらうことが、ネットワークづくりにも関係して、皆さんが良い仕事をしていく助けになります。
 また、社会福祉士会などの専門職団体や、職場内外の勉強会、研究会、大学などが公開しているセミナーなどを活用すると、皆さんの疑問や悩みを解決する助けになると思います。
 社会福祉士は、資格を取得して一人前ではありません。これから皆さんは、さまざまなクライエントや同僚、関係する人々との出会いから色々なことを学び、経験を積みながら成長していきます。新人は新人なりに、果たせる役割があります。あせらず、一つひとつの機会を大切にしてください。

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