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第35回社会福祉士国家試験 問題の講評

特別編② 第35回社会福祉士国家試験 午後<専門科目>問題の講評

相談援助の理論と方法(21問)

 本科目の問題数は全21問と、全科目のなかで一番配分が大きい科目です。本科目でしっかりと得点できていることが合格の必須条件だと思います。今回は、全21問中8問が事例問題でした。事例問題は昨年度(6問)と比べて増加していますが、内容的には、昨年度の試験と同様の傾向で、難易度も変わりませんでした。ただし、事例問題は、実践の場面を想定して事例が作られている一方で、基本的な知識を問う問題になっているため、その乖離に解答に戸惑ったり、迷ったりした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 理論・アプローチ、モデルに関する問題や相談援助の過程に関する問題も例年同様に多く出題されました。出題形式は、応用問題というよりは一問一答的な問題の作りでした。この他、毎年出題されている「スーパービジョン」や「記録」については、例年通りの内容・難易度でした。グループワークについては、グループワークの実際を問う問題が出題されていました。具体的には、グループワーク展開過程の各時期(準備期・開始期・作業期・集結期)におけるソーシャルワーカーの対応について問われていました。現代のソーシャルワーカーにとって、グループやグループワークの実践はそれに伴う知識、技術は非常に重要ですので、各自で必ず整理しておきましょう。

福祉サービスの組織と経営(7問)

 本科目の出題基準は、(1)福祉サービスに係る組織や団体、(2)福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論、(3)福祉サービス提供組織の経営と実際、(4)福祉サービスの管理運営の方法と実際となっています。
 第35回試験を見てみると、これら4項目が万遍なく出題されていました。難易度としては、昨年度の試験と同様のものでした。内容を見てみると、社会福祉法人の組織体制(問題119)や特定非営利活動法人の組織運営(問題120)からはじまり、福祉や医療サービスを提供する組織・団体(問題121)について出題されています。この他、「組織運営(原則)」や「経営論」などが出題されています(問題122、123)。こちらに、人材の確保や育成(問題124)、福祉サービス第三者評価事業(問題125)と、満遍なく出題されていることがわかります。

 出題が予想され、出題されなかった項目としては、「リーダーシップ理論」と「社会福祉法人の財務管理や会計管理」です。こちらは、重要項目ですので、一読しておきましょう。本科目が取り扱う組織の経営や運営は、福祉サービスに置き換えた場合、ヒューマンサービスですので、利用者のみならず援助者が尊重されていなければなりませんね。

高齢者に対する支援と介護保険制度(10問)

 本科目は、全10問中2問が事例問題でした。その内容は、介護概論となる介護技術に関する具体的な対応事例(問題129)や他職種連携や他職種の役割・機能を問う具体例(問題135)について問われています。昨年度の事例問題の省察もあったのかもしれませんが、やや高齢者支援の事例問題としては保守的な事例となっています。

 その他の出題内容を見てみると、例年出題される項目としては、高齢社会白書から「高齢者の生活実態(問題126)」や問題127は日本の高齢者保健福祉政策の変遷からはじまり、介護保険制度については、介護保険料や介護支援専門員(及び居宅介護支援事業者)の役割、介護認定審査会の役割などが問われています。これに、例年出題される老人福祉法(問題134)が出題されています。このほか、介護保険制度については、都道府県・市町村の役割の役割についても整理しておきましょう。