第35回社会福祉士国家試験 問題の講評
特別編① 第35回社会福祉士国家試験 午前<共通科目>問題の講評
はじめに
まずは皆さん、大変お疲れさまでした。試験からまだそれほど時間が経っていませんが、解答速報や問題の見直しなどをして、少し冷静に試験を振り返れるようになったのではないでしょうか?
ただ、合格ラインはまだわかりませんので、合否に関係なく、第35回試験の振り返りをしておきましょう。合格した人は、さらに現場実践での「知」となりますし、不合格だった人は、来年度の受験に向けて、反省したり課題を見つけ出したりと、準備を進めることができます。合格発表までの時間を有効に使ってください。
それでは、今回は、「午前<共通科目>問題」の講評です。
基礎的な知識をベースに、関連する新たな知識や、それを活かす応用力
今週と来週の2回に分けて、第35回社会福祉士国家試験の講評を行いたいと思います。今回は、午前<共通科目>問題(精神保健福祉士との共通科目の問題)についてです。
午前<共通科目>の試験科目は以下の11科目で、試験時間は10時から12時15分までの135分(2時間15分)でした。
■ 心理学理論と心理的支援(7問)
■ 社会理論と社会システム(7問)
■ 現代社会と福祉(10問)
■ 地域福祉の理論と方法(10問)
■ 福祉行財政と福祉計画(7問)
■ 社会保障(7問)
■ 障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
■ 低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
■ 保健医療サービス(7問)
■ 権利擁護と成年後見制度(7問)
講評ですから、短絡的に「難しい問題でした」「やさしい問題でした」「よい問題でした」「悪問でした」など、主観的なことはあまり書かないようにしたいと思いますが、そうは言っても…。まず、私が実際に解いてみた感想を少し述べると、問題自体は、「(過去の問題をベースとした)基本的な内容を問う問題」を中心に、「現代の社会問題や福祉に関する知識」が問われ、全体的な印象としては、「過去問題や基礎知識をベースに、関連する新たな知識や、それを活かす応用力が必要でした」というところでしょうか。このことから、過去の問題とその設問文から芋づる式に関連知識をきちんと学習していれば解答できる内容が中心でしたので、「昨年同様の難易度からやや難化」という印象です。
ですから、合格ラインは、昨年度の第34回試験の105点をやや下回るのではないでしょうか。詳細をもう少し記してみると、午前の共通科目、午後の専門科目共に、昨年同様よりやや難しくなった印象はありますが、まずは基本をきちんと押さえておくことで大きな失点にはならなかったと思います。また、設問文をシンプルにするために説明がやや不足し、解答に迷う問題もありました。
皆さんは、どんな感想、印象ですか?
過去の問題や各種模擬問題をはじめ、けあサポなどで私が取り上げた基礎的な内容も問われていたので、制度や統計、基本的事項をしっかりと押さえていた方は、かなり明確、明瞭に解けた問題が多かったのではないでしょうか。
また一方で、各科目で、新たに問われた項目もありました。多少、用語や法律・通知、人名などがわからなくても、設問文をしっかり読み、その内容や時代背景、福祉の変遷や動向をしっかり捉えることで、正答までたどり着ける問題が多くありました。そういった意味では、一つひとつの設問の誤りを指摘できる力が必要でしたので、項目に対する関連知識が必要となります。このように、社会福祉士・精神保健福祉士の試験では、福祉の動向や変遷などをきちんと理解しておくことが重要であることがわかります。