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私はこうして合格しました!

国家試験を突破して晴れて社会福祉士の資格を取得した皆さんに、効果的な勉強法や仕事をしながら勉強を続けるコツ、資格を仕事に活かす展望などについてうかがいました。

第67回 戸次知里さん

第67回 戸次知里さん
社会福祉法人あかね:ワークアイジョブサポート

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戸次知里さんが使った参考書

社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験ワークブック【共通科目編】
社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験ワークブック編集委員会=編集
中央法規出版
※表紙画像は最新版です。
社会福祉士国家試験受験ワークブック【専門科目編】
社会福祉士国家試験受験ワークブック編集委員会=編集
中央法規出版
※表紙画像は最新版です。

 東京アカデミーや中央法規さんの外部模試を受験し、その試験用紙を何度も解きました。

合格までの道のり

日程勉強内容等
2013年5月受験対策クラスの模試のために勉強を始めました。
2013年7月~8月社会福祉士 実習の準備を始めました。実習期間中に試験勉強はしないで、実習に集中しました。
2013年9月試験勉強を本格的に始めました。学校で頂いたプリントや予想問題を解いて調べていくという課程を繰り返しました。
2013年12月この頃になってようやく精神保健福祉士の問題に手をつけ始めました。ほとんど放置していたのですが、少しはやっておいた方がよいと思いました。
2013年1月体調管理に努めるようになり、勉強はほとんどしていません。

戸次知里さんが考える必勝3か条
  • 1.自分の得意・不得意教科を見極める。
  • 2.新聞やインターネットで福祉に対することに目を配る。
  • 3.最後は体調管理に留意して無駄な勉強はしない。

社会福祉士を目指した理由

 元々、私は薬剤師会の中のお薬相談室で秘書の仕事をしていました。医学的な見地からなのですが、相談室には精神病で苦しむ患者さんの相談が多く、薬の副作用で苦しむ方も沢山いらっしゃいました。しかし、私は事務という立場で相談の補助しかできませんでした。そして単発的であるため、その方達の追跡相談ということはできませんでした。

 結婚して上京した時に、病院の秘書として働くことになりました。その時、ソーシャルワーカーという仕事があることを知りました。当時、私は体の調子を崩しがちでしたが、ソーシャルワーカーという仕事に関心を持ちました。主人に話をすると今まで入れていたお給料をすべて貯金していてくれたとのこと。「このお金でワーカーになればいい。足りない分は自分が援助するから」と言われました。これを聞いて社会福祉学科のある大学の夜間部を受けました。金銭的に足りないので1回で合格することは私にとっての義務でした。

具体的な勉強方法

 私は2011年に出産をしました。そのため、家に帰ると子育てや家事に追われて大学を休学、ほとんど勉強ができませんでした。

 2012年大学に復帰して対策クラスに時々参加してみて受験クラスの雰囲気や小テストなどを受けてみました。子どもがいるからW受験は受けるのは難しいだろうと考えたのですが、そこでたまたま良い成績がとれたので、W受験をあきらめないことにしました。2013年のGW頃から大学で受験対策講座の試験が始まったため、講座で落ちないための勉強を始めました。しばらくは実習があり、余り試験勉強に集中をしていませんでした。2013年の9月頃から全体問題を解いて自分が何の教科ができないのかを見定めることにしたところ、得意分野、不得意分野がはっきりと分かれ、精神保健福祉士試験に関しては勉強をそこまでしなくても点数が取れるということが分かりました。

 私がしていた勉強はほとんどワークブックに線を引いて他に得た情報を書きこんでいくこと、模試問題をどんどん解いていくことでした。単語帳を作ろうと思いましたが、無駄な労力と思って止めました。ノートなども特に作りませんでした。ノートを作ったことに安心して自分は勉強しなくなるタイプだと思ったからです。


 11月頃には苦手分野だけを勉強するようになりました。医学、心理学、社会保障、医療サービスの勉強はしませんでした。自分の強みを生かした勉強法は有効的でした。権利擁護に関しては大学2年の時、一般教養課程でたまたま民法のクラスをとったのですが、これが決定打となりました。そこで習ったことでかなり点数が取れるようになっていました。1月過ぎると情報が混乱するため、問題はほとんどど解かずにワークブックを眺めているだけのようになりました。また、その頃になると新聞や福祉関係の雑誌に目を通すようになりました。現代社会のためです。試験前はそれも止めて風邪をひかないようにコンディション作りに努めました。試験前日は本を開きませんでした。

試験当日や前日に気をつけたこと

 当日の前日、雪が降るのではないかと母親が言ったため、急遽池袋に宿をとりました。

 それが吉と出て朝、のんびりとご飯を食べてゆっくりギリギリに出ることができました。そこでは、ひたすらのんびりと美味しい物を食べてテレビを見たりしていました。参考書などを見直すと情報が混乱すると思ったため、とにかく寝ようと思いました。自分の力を信じてもう必要な物はすべて自分の中に入っていると落ち着いていることにしました。試験開始前10分位、周りが参考書を見ていたので焦りましたが、見ないと決めたので見ませんでした。Mr.Childrenの「終わりなき旅」を試験開始前に聞いてモチベーションを保ちました。

今のお仕事について/社会福祉士試験合格後について

 私にとって社会福祉士・精神保健福祉士に合格したということはすぐには芽が出ませんでした。受験勉強をしていたため、就職活動に出遅れてしまい就職浪人となってしまって市役所の下水処理課でしばらく働いていました。応募しても「相談経験がないから」と最終面接までいって落とされる体験を多くしました。しかし、縁があって今の施設で部署を任されて就職することができましたが、施設の中には有資格者はほとんどいません。私の考えは社会福祉士の資格をとったからとすぐに人の相談に乗れる訳ではないということです。実際に相談業務について毎日駆けずり回っていますが、実際には人の人生はとても重くて時には支援するのも苦しいものです。相談職と言うと聞こえはかっこいいかもしれませんが、それなりの経験や知識がなければ支援はできません。

 働き始めても給与から出て行く研修代、書籍代の割合はすごいです。学生時代と比べても学生時代は楽だったと思えるくらいに勉強の量も増えました。合格したら勉強が終わる訳ではなくて、これが勉強のスタート地点なのだと思います。また、社会福祉士の資格だけで何でも通用するという時代でもありません。私は講師として英会話、PC講習、秘書検定を教えています。認知行動療法を休日に外部で学習してそのようなワーク講座も設けています。営業能力も問われる仕事ですし、相談一本ということはないですね。

これから受験される方へ

 皆さんは試験を何のために受けるのか、他人の人生を背負う覚悟がそれなりにできているのか、自分に問いかけてやるならば徹底的に福祉職にはまって欲しいと思います。実際、私は試験を受ける前既婚者でしたが、相談職にどっぷりはまってしまうと友人と会うことも中々できませんし、結婚できなかったかもしれません。デートを優先ということなどできないからです。友人とも破ってしまう可能性が高いので約束はほとんどしません。ソーシャルワーカーという仕事は一生涯勉強していくものだと私は考えています。

 現在も認定社会福祉士を取得するために何年も講習に通っていますし、毎週のように休日はフォーラムや発達障害、精神障害者の講習に出かけています。いくら勉強しても足りないと感じますし、そこで足りたと思ってしまったら私はおしまいだろうと考えています。ここから勉強は始まるのだということ。そして働き始めたとしても、すぐに相談者になれるというのは余程稀なケースだと思います。介護や障害者施設などで雑用をしながら何年も働いて、人生が熟した頃にようやく人の相談に乗れる位の入り口に辿りつけるのかもしれません。

 試験合格はあくまでもスタート地点、そう先のことを踏まえながら受験頑張ってください。

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第68回 M.Nさん