仲間と頑張れたのが最大の勝因
仲間と頑張れたのが最大の勝因
山岡望(やまおか のぞみ)さん
立教大学コミュニティ福祉学部2021年3月卒業
就労継続支援B型事業所勤務
受験の動機
もともと「資格を持って働きたい」という気持ちがあり、大学に進学するときは社会福祉士をイメージしていました。人の相談にのるという仕事にも、あこがれのようなものを抱きました。そして、入学後まもなくの学部説明会で、もう一つ「精神保健福祉士」という資格があることを知りました。当時は、対象や活動の領域が社会福祉士とは少し違うんだなくらいの認識でしたが、この場で精神保健福祉士を取得することを決めました。即断だったと思います。
受験勉強の内容
開始時期とスケジュール
大学4年の前期授業が終わったあと、8月くらいから国試対策に必要な本を集め始めました。この時期は机に向かって勉強とまではいかず、ウェブサイトの「けあサポ」で週1回更新される「今日の一問一答」を眺める程度でした。9月末になって共通科目の勉強から始めたもののやる気はまったく出ず、10月末に受けた模試(全国模試)の結果は最悪でした。11月になって焦る気持ちが出てきましたが、相変わらず勉強には身が入らず、ノルマは課さずにゆっくり進めていました。
受験勉強についに本腰が入ったのは、12月の中旬です。卒論を提出し終えて、就職の内定にも希望が見えた頃でした。このままではさすがにまずいと思い、気合を入れ直して本格的にスタートしました。複数のことを同時に進めるのは苦手ですが、一つのことに取り組むと突き進んでいくところがあり、国試一本に絞ってからはみるみる学力が上がっていく実感がありました。
私の勉強方法
一つは、受験ワークブックを使った「知識の習得」です。重要な箇所にマーカーを引いてよく読み、大枠を理解するようにしました。細かい所より、だいたいどういうことなのかを押さえることが知識として活用できる下地になると思ったからです。
もう一つは、過去問解説集を使った「解くことのトレーニング」です。古い問題集も手に入れて、過去問7年分(試験7回分)を3回ずつ解きました。解くときに意識したのは、正しいか誤りかを当てるのではなく、その選択肢の内容に対応する正答がどのような内容なのかがわかることが本当の意味で「解いた」ことになるのだということでした。そのため、過去問の各問題を選択肢とその解説の「一問一答」とみて、アウトプット(持っている知識を解くなかで出す)とインプット(選択肢ごとの解説文から知識を獲得する)を同時に行うようにしました。
苦手科目については、ワークブックは読み返す回数を増やし、過去問はその科目だけ解く回数を3回ではなく5回以上にしました。苦手というと、人の名前を覚えるのも苦手でした。これについては、人名とその人物の功績を一問一答形式で読み上げてくれる動画サイトを偶然見つけ、移動中や気分転換にその動画をみて記憶にとどめるようにしました。
受験勉強の後期になると、過去問の問題・解説の両方を覚えかけていたため、模擬問題集を1回(試験3回分)解きました。もう勉強できる時間が残り少なかったので、この1回だけだぞと思って試験本番を意識して取り組みました。
コロナ禍での勉強
苦労したのは、勉強をやろうと思ってもなかなか気合いが入らなかったことです。先に紹介したような私自身の腰の重さはもちろんありましたが、コロナ禍で大学の友達に思うように会えず、一緒に頑張っているはずのみんなが今どのくらい頑張っているのかがわからなくて、いい刺激を受けられなかったのも大きかったと思います。
それでも新型コロナへの大学の対応が少しずつ形になり、図書館が使えるようになると、約束をしなくても行くと必ず図書館で勉強している友達がいて、お昼(ランチ)をいっしょに食べながら、わからないところや覚えづらいところを教え合ったりしました。私は高校受験のときから塾や図書館でしか勉強をしない習慣がついていたため、はじめはコロナ禍の家での勉強がとても苦痛でした。図書館が使えなかった時期は、友達と朝から晩までビデオ通話でお互いを監視しながら勉強したこともありました。そのおかげで家でも勉強が進むようになりました。
頻繁には会えなくても連絡を取ると友達も頑張っていることがわかり、私も頑張ろうと思うことができました。仲間がいてくれて、仲間と頑張れたことが私にとって最大の合格の秘訣だったと思っています。
卒業時に大学の恩師お二人からいただいた宝物。テーマは「働き始め」です!
「寝坊しないようにね」→目覚まし時計 「メモを取るんだよ」→手帳
受験勉強に使った教材
- ・精神保健福祉士国家試験受験ワークブック専門科目編(中央法規)
- ・社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験ワークブック共通科目編(中央法規)
- ・精神保健福祉士国家試験模擬問題集専門科目(中央法規)
- ・社会福祉士国家試験模擬問題集(中央法規)
- ・精神保健福祉士合格アプリ(中央法規)
- ・けあサポ「精神保健福祉士・今日の一問一答」
- ・過去問.com 精神保健福祉士
- ・全国模試(日本ソーシャルワーク教育学校連盟)
試験の手応え
試験日が近づいてきてから意識したのは「新しい勉強をしない(真新しい知識を取り入れない)」ことでした。今までやってきたことを何度も繰り返す、それだけです。試験の前日は苦手科目のおさらいをして、当日はとくに覚えづらい制度やキーワードを一覧にしたもので知識の確認だけしました。試験直前は苦手なものしかやらないというのは、私がこれまで経験してきた高校受験、大学受験、それに期末試験など学内試験も含め、一貫して守ってきた方法でした。これにしたがって心を落ち着かせました。
試験の手応えは、初日の専門科目が自己採点で60点以上、2日目も0点科目の不安はありつつも40点以上はほぼ確実で、きっと大丈夫と思えました。そしてひと月後、合格を知ったときは何よりほっとしました。就職したら今度は仕事一本の自分になるに決まってる、そうしたら資格を取るのは難しくなる、すんなり受かるなら今回と思っていました。
資格を取ってみて今思うこと
今、私は就労継続支援のB型事業所で働いています。そのなかで法人内研修や区(自治体)の研修を受けることがあります。すると、国家試験を受けるために勉強したことを現場実践の角度から学び直していることに気づかされます。精神保健福祉士になるための勉強がその後の仕事に直結しているというのは、当たり前のことかもしれません。でも、この先、勉強がいやだ、つらいと思うようなことが出てきたら、その当たり前のことを思い出してください。今やっている勉強は、やっただけ将来の自分の力になってくれます。
精神保健福祉士の国家試験は、しっかり勉強すれば受かるものだと思います。ずるずると続ける身の入らない勉強は少ししか頭に入らないので、モチベーションを上げることは必要です。私の場合は勉強のスタートが遅く、本来ならもっと余裕があったはずと試験当日に後悔しました。勉強は始めたもの勝ちです。早めに取り組んで、十分勉強したから大丈夫と思えるまで頑張ってください。応援しています。
- 合格3か条
- 勉強のスタートが遅くても焦らない、あきらめない
- 睡眠は毎日たっぷり取る、腹が減っては戦はできない
- 仲間から刺激を受け、仲間に刺激を与えられる勉強こそが成果をもたらす