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私はこうして合格しました!

国家試験を突破して精神保健福祉士の資格を取得した合格者の皆さんに、合格までの道のりをご紹介いただきます。効果的な勉強法や忙しいなかでの時間のつくり方、実際に資格を手にして思うことなど、受験者が参考にしたい話が満載です。

第52回 濱田唯(はまだ・ゆい)さん

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プロフィール

濱田唯(はまだ・ゆい)さん
平成27年度試験合格

 メトロポリタン州立大学(アメリカ・ミネソタ州)ソーシャルワークメジャー卒。神奈川県出身。高校2年のときにデイヴ・ペルザーの『“It(それ)”と呼ばれた子』を読み、そこに登場した女性ソーシャルワーカーに心惹かれた。こういう仕事があるんだ、自分もやってみたい。そんな思いから高校卒業と同時にソーシャルワーカーになろうとアメリカへ渡った。大学院まで学び、実践ではパーソナルケアアシスタントを経験。7年ぶりに帰国し、ひと月後に就職したのが現在勤務する特定非営利活動法人。募集職種に資格名称ではなく“ソーシャルワーカー”とあったことに魅了された。この入職時に精神保健福祉士の資格取得を志し、1年の実務を積んで専門学校に入学。2年間の課程を修め、卒業年の今年(平成28年)見事合格した。法人では作業所型の地域活動支援センターに所属、名刺の記載はもちろん“ソーシャルワーカー”だ。好きなものは美術館、コーヒーショップ、黒ビール、アジアの屋台(大衆食堂)、本を読むこと、絵を描くこと。絶対ダメなのは虫の死骸。「いろんなことのプロセスが楽しい。目標は、より多くのことを自分で判断して決められて、その決めたことに責任がとれるようになること」。まっすぐな行動力で選ぶことなく着々と吸収していく29歳。

資格取得を目指すまで

 精神保健福祉士になりたいというより、「ソーシャルワーカーになりたい」という気持ちが先でした。その出発点となったのがプロフィールで紹介いただいている本です。高校の図書館でたまたま目にして、読んで衝撃を受けました。本人(筆者)が母親から受けた虐待の話をひたすら綴っている作品で、読み進めるのがつらくなる内容ですが、そのなかで登場する女性のソーシャルワーカーがまた私にとって衝撃でした。本人がソーシャルワーカーに心を開いていく過程、大事な人でもあるはずの親から本人を徐々に離していく過程、それらを読みながら、世の中にはこんな仕事をしている人がいるんだ、こういう仕事が存在するんだと思ったんです。

 アメリカに行ってソーシャルワークの勉強をしたいと思ったのは、この本の舞台がアメリカだったので単純に目が向いたということで、高校生でもありましたから海外への憧れみたいなものもあったと思います。高校を卒業してすぐ、その年の6月にはアメリカのミネソタ州へ渡り、語学学校に入学していました。

 四年制大学を卒業するときはアメリカで働きたいと思っていて、1年間はパーソナルケアアシスタントとして、摂食障害やダウン症を持つ子どもたちのサポートをしました。その後1年間は大学院に通い、実習をみっちり積みました。それもあったのか、卒業する頃になると、もう十分やったから日本に帰ろうと心境の変化がうまれて帰国しました。7年間の滞在でした。

 日本に帰ると早速職探しを始め、最初は子どものメンタルヘルスに関する仕事をハローワークで探したのですが、希望する仕事がなかなか見つからず、その次に精神障害をもつ方とかかわる仕事を探しました。いくつか求人があるなかで、募集職種に「ソーシャルワーカー」と載せていた事業所が一つだけあったので、その事業所に履歴書を送りました。それが今、私が働いている地域活動支援センターです。

 精神保健福祉士の資格は、この入職時に志しました。ソーシャルワークの勉強はしてきましたが、日本の制度についてはあまり知りませんでしたし、資格を持つことは仕事を続けていく上で必要なことと思いました。

 実務経験を1年持つと実習が免除されると知り、1年間は実践を通して現場で学び、就職2年目から専門学校に通う。そのような青写真を描きました。

立ちはだかった入学問題

 はじめに苦労したのは、精神保健福祉課程を履修させてくれる学校への入学問題でした。どの専門学校へ問い合わせても、日本の大学を卒業していないと高卒扱いになるので通信教育課程は受けられないとの回答。4年間実務経験を積めば入学できるので、4年働いたら来てくださいと言われ、そこから2年かけて学校を卒業したらトータル6年です。さすがにそれは長過ぎると思い、アメリカで取得した単位とその概要を翻訳会社に頼んで日本語にしてもらい、日本の大学で勉強している内容と私が学んできた内容はそれほど変わらないことの証明書類を作成しました。

 それもなかなか受け入れてはいただけないなか、一校だけ受け入れてくださった学校があり、願い叶って入学しました。あのときは本当に救われました。

2年目からゆっくり始動

 専門学校1年目は、平均月3回の頻度でスクーリングに通いながら、レポートは月1、2本のペースで提出。いずれも専門科目でした。分厚い教科書を読むだけでもけっこう大変で、1年目は課題をこなすだけでいっぱいでした。

 2年目に入って、受験を意識した勉強に取りかかろうと思い、4月か5月に購入したのが『虫喰い問題による実力度チェック精神保健福祉士国家試験・専門問題』(ユリシス)でした。過去10年分の国家試験問題が一問一答形式でまとめられているもので、共通科目のほうも一緒に購入しました。問題を解いていき、わからない単語や気になる単語が出てきたら、教科書に戻って調べる。それをくり返しながら知識を増やしていきました。レポートを作成したときに勉強したはずの内容も、問題形式になると覚えていないことに気づかされ、勉強し直す気持ちで取り組みました。

 ただ、取り組み方としては、問題を解いては教科書をぱらぱらとめくり、そうなんだと思って次の問題に目を移しと、時間の効率や要領は得ずにやっていたと思います。試験に関係しそうないろいろな語句は頭に入っていって、なんとなくは知っているけどよくはわからないという状態でした。

試験勉強のコツがほしい

 その後、8月頃に手にしたのが、過去3年分の国家試験問題が収載されている『精神保健福祉士国家試験過去問解説集(専門科目編)』『社会福祉士・精神保健福祉士国家試験過去問解説集(共通科目編)』(中央法規出版)でした。どれくらいできるだろうと少しは期待もしながら解いてみて、自分がいかに理解していないかを思い知らされました。

 これではだめだと思い、わかっていなかったところを教科書に戻り、今までより入念に読みました。そして、もう一度同じ回の試験問題を解きました。私の場合、いちばん古い第15回試験(3回前の試験問題)から解きました。今度は点数が上がっていたので、次の回(第16回試験)に進みました。しかし、やはり初回の点数は悪く、同じように教科書を読み込んで再チャレンジしました。点数は上がったものの理解が深まった手応えは得られず、不安になりました。何か試験勉強のコツがほしい、それが当時の切なる思いでした。季節は秋深まり、12月になろうとしていました。

救世主は「張先生の受験対策講座」

 そこに救世主が現れました。けあサポの「張先生の受験対策講座」です。もともと、けあサポの受験者応援コンテンツはいろいろ見ていて、今回出していただいた「私はこうして合格しました!」も、皆さんがどのように勉強しているのかを知るためにチェックしていました。そのときに張先生のコーナーも知りました。

 この頃、私がつまずいていたのは、それぞれの科目の要点をまんべんなくつかむことでした。というのも、過去問にチャレンジしたときの科目ごと、また回ごとの点数のばらつきが甚だしかったからです。第15回試験で点数のよかった「福祉行財政と福祉計画」が第16回試験では0点、第15回試験で0点だった「権利擁護と成年後見制度」が第16回試験では満点、こんな具合でした。わかっているところから出題されれば点数を取れるけど、わかっていないところから出されるとまったくできない。ということは、その弱点を補強すればいいわけですが、それが試験対策的にどういうまとまり感をもった分野、テーマなのかがよくわからず、勉強の仕方に迷っていました。

 その点、張先生の受験対策講座は、この科目ではここが大事、ポイントはここと、必ず押さえなくてはいけないところを明確に挙げてくれました。分量もコンパクトでわかりやすく、Webページには張先生の写真も付いているので、途中からは「張先生~」と心の中で思って本当に教わっている気持ちになりました。そのうち毎回の講座の内容をノートにまとめたくなり、「張先生ノート」を作りました。こういう要点がまとまったノートが一つあると、より詳しいことを本などで調べるときも、つながりがわかって楽なんです。

 私がこの講座をきちんと読んだのが12月だったというのが少し悔やまれましたが、無理なくこなせる分量だったのも助かりました。試験の合否にかかわる最も大きな出来事はと聞かれたら、間違いなくこの講座との出会いです。張先生~、ありがとうございました!

「張先生の受験対策講座」はこんなふうにまとめました

スマートフォンアプリも大活躍

 もう一つ、中央法規さんのスマートフォンアプリにもお世話になりました。『【暗記パス】社会福祉士・精神保健福祉士<共通科目・専門科目>』です。先ほど挙げた過去問での0点科目にびっくりした後、これらの数科目をダウンロードしました。通勤時に電車を待ちながら片手でもピュンピュン操作できる手軽さと、科目単位で安価で購入できる手軽さが日中働いている身にはありがたかったです。

プライベートタイムはちゃんと確保

 ちなみに、勉強する時間は12月に入るまでは土曜・日曜が中心、試験まで1カ月を切るくらいから平日も勉強するようになりました。といっても、平日は仕事から帰宅して食事をした後の1時間程度です。土日でじっくり過去問を解いておいて、答え合わせと確認の勉強を平日に5問から10問やっていました。

 土日は夕方まで勉強した後、友達とごはんを食べに行ったり映画を観たりと、試験の直前期まで通してふつうに過ごしていました。睡眠を削って勉強するようなこともなかったと思います。

得点が急上昇、にわかに湧く自信

 さてその1月、最後にとっておいた過去問の第17回試験(最新試験)にチャレンジすると、なんと高得点がとれました。張先生の受験対策講座のなかで何問かは登場しているので、点数がいいのは当たり前なのですが、それまでとの比較で得点が一変していること、また何より科目全般について知識の習得が進んでいることが確認でき、にわかに自信のようなものが湧いてきました。語句とその意味・内容という、それまでは点でしかわかっていなかったことが、他の事柄とのつながりで見えたり全体の中でとらえられたりする感覚がありました。理解が進んだと思いましたし、勉強をおもしろいとも思いました。

初日から二日目の落差は大きく

 国家試験本番は、初日の専門科目がまずまずの出来栄え。試験当日は雪が降ると予報されていたので、急遽、試験会場まで地下鉄で移動できる場所にホテルを取り、初日の終了後はそこへ帰りました。次の日の共通科目のために問題集や張先生ノートは持ってきていましたが、ビジネスホテルに泊まることに思いのほかはしゃいでしまい、映画を観たり、ゆっくりお風呂に入ったりして過ごし、疲れてそのまま寝てしまいました。

 翌日、共通科目はわからなくて大変な思いをしました。“フリーライダー”など知らない単語が出てくる問題が多く、こういうのは本のどこに載っていたんだろうと思いました。自己採点はずいぶんと低く、周りからは今年は簡単だったと聞こえてくるし、だめだと思ってすごく落ち込みました。合格発表を待っている間も、自分が受かるとはまったく思っていませんでした。

 それだけに発表の当日、インターネットで自分の受験番号を見つけたときは、え?と思いました。あった、あったあ!という感じでした。合格点ギリギリだったので、自分はずいぶんと運がいいんだなあとしみじみ感じました。

グループのよさを蓄えながら

 ソーシャルワーカーの仕事は国家資格を持っていないとできない仕事だとは今も思っていません。ただ、精神保健福祉士の資格を取ったことで、この世界でやっていこうとしている自分自身を確かめられたと思っています。今仕事をしていて、誰かとグループを作り、何かをなしていくことのおもしろさ、大切さを感じています。歌を歌いたい人が集まってコーラスをしたり、スポーツが好きな人が集まって大会に参加したり、焼肉を食べたい人たちがみんなで焼肉食べ放題に行ったり。規模に関係なく、グループというのはその参加者に心の動きをくれます。その動きを感じる一人になれることが、私はとても嬉しく思います。これからもこの仕事を通して自分の中にいろんな経験を増やしながら進んでいこうと思います。

 皆さんも目標に向かってがんばってください。応援しています。

事業所の雰囲気をお届けしま~す。
メンバーさん、スタッフと