メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第34回 コミュニケーション技術(2) ~職員間のコミュニケーション~

 今回も引き続き、「コミュニケーション技術」について学びましょう。
 利用者への良質なサービス提供のためには、何よりも職員間の良好なコミュニケーションが必要です。筆記試験では、職員間のコミュニケーションに際する、報告・連絡・相談、会議やカンファレンス、記録の具体的なあり方について出題されます。


職員間のコミュニケーション

 介護サービスの提供に際して求められる、コミュニケーション技術と位置づけることができるものとして、以下のバイステックの7原則があります(第27回、30回に出題。第30回では「人間関係とコミュニケーション」で事例問題としても出題)。

  • ○同職種、他職種の職員とのコミュニケーションにおいて、良質なチームケアを図るための共通認識や情報共有には、対話および記録による報告・連絡・相談が不可欠である。
  • ○報告・連絡・相談に関しては、次のようなポイントがある。
    • ・「いつ」「どこで」、そして「誰」に報告・連絡・相談するべきかを考える。
    • ・口頭、文書のいずれの方法で報告・連絡するべきかを検討する。
    • ・状況に応じた適切な報告・連絡方法を、確認しておく。
    • ・トラブルや苦情、事故については、すぐに報告する。例えば、苦情があったときは、すぐに口頭で概要を報告してから、文書を作成して報告する。事故において、口頭での報告は、結論を述べてから事故に至る経過を説明する(第30回、34回に出題)。
    • ・内容には、6W1H(いつ、どこで、誰が、何を、誰に、なぜ、どのように)などを念頭において報告・連絡する(第24回に事例的な問題として出題)。
    • ・報告には、見たことや実際にあったことなどの客観的事実と、そのことに対する自分の判断を含める。
    • ・相談に際しては、目的を明確にし、自分なりの考えや対策を頭に描いてから相談する。
    • ・相談内容はメモをとり、経過や結果について報告する。
    • ・指示を受けた仕事の報告は、指示者へ行う(第27回、31回に出題)。

 第27回では、介護職員による上司への報告・相談にかかる事例問題が出題されました。第33回では、報告者と聞き手の理解の相違をなくすための聞き手の留意点として、不明な点を確認しながら聞くことが適切、と出題されました。また、第25回では、チーム内の連携において、リーダーは、指示を行うだけでなく、メンバーの経験などにより裁量を認めることが適切である、と出題されました。
 第29回では、以下のカンファレンスに関する事例問題が出題されました。


  • 会議やカンファレンスにおける留意点には、次のようなものがある。
    • ・参加者は、会議、カンファレンスの目的を理解し、事前に資料を読み、疑問や意見をメモしておく。
    • ・司会者、記録者を決め、時間を厳守する。
    • ・質問は簡潔に、意見は要点を絞って伝える。
    • ・各職種の専門性を理解して参加する(第25回に出題)。
    • ・他者の意見に耳を傾け、自分と意見が異なる人の発言をさえぎらない。
    • ・利用者へのより良いケアについて考えるカンファレンスでは、参加者の知識や技術、経験を結集し、参加者間で意見の不一致があっても議論し、合意点を見出す。また、カンファレンスの場を、職員のスーパービジョンの機会とすることもある(第26回に出題。第24回では事例問題として出題)。
  • 記録は、利用者に対して適切なサービスを提供していることの証拠(エビデンス)である。記録には、次のような目的がある。
    • ・利用者へ適切なサービスを提供し、生活の質を向上させる。
    • ・サービス提供事業者としての運営管理を遂行する。
    • ・介護職員の教育、スーパービジョンに活用する。
    • ・介護に関する調査、研究に利用する。
  • ○記録は、介護サービスを提供したその日のうちに行う(第24回に出題)。
  • ○わかりやすい記録であるためには、6W1Hなどを念頭におき、楷書(活字体)で書き、簡潔に要領よくまとめ、意味の明確な用語を用い、必要に応じて現在形・過去形・未来形を使い分ける。なお、他から得た情報は情報源も書く(第33回に出題)。
  • ○記録は、出来事そのもの(事実)と、出来事に対する解釈や分析を区別して記述する。出来事そのものの記述には、叙述体(利用者に起こったことなどの事実をそのまま記録する)や要約体(要点を整理してまとめる)を用いる。出来事に対する解釈や分析には、説明体(事実の意味を分析し、記述する)が使われる(第31回に出題)。
  • ○介護サービスを提供する上では、情報共有と同時に、次のような個人情報保護も重要となる。
    • ・記録は、関係する職種以外の人の目に触れることがないように保管する。
    • ・利用者の個人情報を使用する場合、あらかじめ文書により、本人に説明の上、同意を得なければならない。なお、意識消失とけいれん発作を起こした利用者の個人情報を救急隊員に提供する場合などは、本人や家族への説明と同意が不要となる(第30回に「介護の基本」で出題)。
    • ・個人情報を適切に管理し、不正使用や紛失などを予防する対策を講じる。
    • ・個人情報を第三者へ提供する場合、利用者から同意があった場合を除き、個人の識別や特定ができない形式に変える。例えば、介護記録をもとにまとめた事例を、地域での多職種による事例検討会で報告する場合の個人情報の取り扱いとして、利用者の氏名や住所は匿名化する。同一事業所内では匿名化せずにカンファレンスができる(第24回、29回に出題)。
    • ・個人情報に関する苦情対応体制について、施設の掲示板等で利用者に周知徹底するなど、必要な体制整備に努める(第34回に「介護の基本」で出題)。

 第32回の「介護の基本」では、介護福祉職の倫理として、個人情報の取り扱いについて、利用者に説明して同意を得たことが適切である、と出題されました。なお、スーパービジョンとは、経験の浅い未熟練の介護福祉職の能力向上のため、経験を積み、熟練した介護福祉職が、管理的・教育的・支持的機能を用いて支援するはたらきかけのことです。また、第29回の「介護過程」で出題された、SOAP方式とは、記録方法の一つで、利用者や家族の訴えなど主観的情報(S)、介護福祉職が観察などにより把握した客観的情報(O)、SとOから分析し介護福祉職が判断したこと(A)、Aに対して介護福祉職が行う今後の介護計画(P)に、分けて書くことをいいます。第32回では、客観的事実を表す介護記録について、事例問題として出題されました。
 介護サービスの現場でも、記録などをパソコンで入力することが多くなってきました。第26回では、ウイルス対策ソフトを用いても情報は漏れることがあるなど、情報通信技術(ICT)を使った介護記録と情報管理の留意点について、出題されました。また、第28回では、利用者と家族は記録を閲覧することができる、と出題されました。


受験対策コンテンツによりアクセスしやすい! けあサポアプリ版

けあサポアプリ版

けあサポ ― 介護・福祉の応援アプリ ―

受験対策コンテンツを資格ごとに見やすく配置し、「今日の一問一答」や「今週の穴埋め問題」「受験対策講座」にスムーズにアクセス!受験対策書籍の新刊やセミナー情報も配信。
  • ダウンロードはこちらから
    アプリ販売ストアへ
  • ※ 上記リンクから閲覧端末のOSを自動的に判別し、App StoreもしくはGoogle playへと移動し、ダウンロードが可能です。

中央法規メルマガ会員 募集中!

メルマガ

「介護福祉士」業務に役立つ新刊情報やオンラインイベント情報等を、いち早くお届けします! この機会にぜひお申し込みください。

followme