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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第31回 介護の基本(4)~連携を図る他職種~

 今回は、「介護の基本」の4回目です。
 介護福祉職が日々の業務で連携する、他の職種について知りましょう。第27回の「社会の理解」では、各専門職とその業務に関する組み合わせが出題されました。また、他職種との適切な連携のあり方などについて問う、事例問題も出題されます。


連携を図る他職種

福祉・介護系

  • 社会福祉士は、身体上、精神上の障害や環境上の理由により、日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、関係者との連絡、調整など(相談援助)を行う。地域包括支援センター(本講座第9回参照)に従事したり、成年後見人(本講座第17回参照)などに就いている。
  • 主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、60か月以上の実務経験がある介護支援専門員(ケアマネジャー)が、主任介護支援専門員研修を修了することで資格が得られる(介護支援専門員は本講座第9回参照)。地域包括支援センターなどに従事している。
  • 民生委員は、地区を担当して相談活動を行い、状況を把握した上で、関係機関につなぐ役割を担う。都道府県知事の推薦によって厚生労働大臣が委嘱し、任期は3年間。児童委員も兼務している(第25回、27回に出題)。

 民生委員は、担当地域の認知症の人に関わる情報を収集して、専門的支援機関につなげる役割があると、第29回の「認知症の理解」で出題されました。また、高齢者にかかわる民生委員やボランティアなどとは、地域包括支援センターも連携することが、第26回で出題されました。第32回の「障害の理解」では、民生委員が行う相談・援助は、制度化された地域の社会資源である、と出題されました。


リハビリ系

  • 理学療法士(PT)は、身体に障害がある者に対して、主に移乗、移動など基本的動作能力の回復を図るため、運動、電気刺激、マッサージなどを行う。下記のOT、ST同様、介護保険制度下においては、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション、介護老人保健施設などで、医学的リハビリテーションに携わっている(第25回に出題)。
  • 作業療法士(OT)は、身体または精神に障害がある者に対して、主に家事などの応用的動作能力や社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工芸その他の作業を行う。また、日常生活動作訓練も行う(第29回に「障害の理解」で出題)。
  • 言語聴覚士(ST)は、音声機能、言語機能または聴覚に障害がある者に対して、その機能の維持向上を図るため、必要な言語などの訓練や、聴覚などの検査、指導、助言などを行う。また、嚥下などに問題をもつ者に対しても、嚥下訓練などを行い、支援する(第26回に「障害の理解」で出題。第31回では「社会の理解」で出題)。
  • 義肢装具士は、義足など義肢や装具の装着部位の採型、製作、身体への適合を行う。

看護・医療系

  • 医師は、業務独占かつ名称独占の国家資格であり、医師だけが、診断、投薬(注射)、手術、生理学的検査などを行うことができる。
  • 看護師は、業務独占かつ名称独占の資格であり、傷病者などに対する療養上の世話、診療の補助を行う(第29回の「発達と老化の理解」で事例問題として出題)。
  • 保健師は、名称独占の国家資格であり、療養上の世話、診療の補助に加えて、保健指導を行う(第27回の「障害の理解」で事例問題として出題)。
  • 薬剤師は、業務独占かつ名称独占の資格であり、調剤や医薬品の供給、薬事衛生を行う。
  • 管理栄養士は、名称独占の資格であり、生活環境や体の状態に合わせた食事メニューを作り、栄養指導を行う。栄養士の指導も行う。

 業務独占の資格は、資格がなければその業務を行うことを禁止されている資格です。また、名称独占の資格は、資格取得者以外の者に、その資格の呼称(名称)の利用が禁止されている資格です。
 第30回の「生活支援技術」では、「寝たきりの利用者の仙骨部に発赤を見つけたときは、看護師に相談する」といった、施設における介護福祉職と他職種との連携について、出題されました。第32回の「生活支援技術」では、介護老人保健施設の利用者の身じたくに関する専門職の役割として、看護師は、糖尿病に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う、と出題されました。また、第25回の「介護過程」では、チームアプローチ(介護における多職種連携)の中心は利用者である、と出題されました。忘れてはいけないことですね。第32回では、介護の実践における多職種連携において、利用者のケアの方向性に関する情報を共有して、課題の解決に取り組む、と出題されました。
 他の職種との連携を図るなか、介護福祉職は、法律で規定された喀痰吸引等を除き(本講座第27回参照)、業務独占資格である医師などが行う医行為(医療行為)はできません。一方、「原則として医行為の範囲外の行為」として、自動血圧測定器による血圧測定や体温測定、新生児を除く入院治療の必要がない者に対する、動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメータの装着、一定の条件を満たした上での皮膚への軟膏塗布(褥瘡の処置を除く)や、一包化された内用薬の内服などを、行うことはできます。このような学習は、現場の業務を整理する上でも、重要です。


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