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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第19回 障害の理解(2)~身体障害~

 こんにちは。暑い日が続く一方、立秋を過ぎると、かすかに秋を感じはじめます。そして、受験の申し込みが始まります。こちらで確認のうえ、手続きを進めてください。
 前回から、「障害の理解」という科目を勉強しています。今回から、さまざまな種類の障害について学びましょう。
 障害者基本法では、障害者を、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定めています。
 過去11年(第24~34回)の国家試験における、各種障害の出題数は、次のとおりです。

  • ・身体障害(難病を含む)⇒33問(うち事例問題は6問)
  • ・知的障害⇒11問(うち事例問題は5問)
  • ・精神障害⇒7問(うち事例問題は2問)
  • ・発達障害⇒10問(うち事例問題は2問)
  • ・高次脳機能障害⇒6問(うち事例問題は1問)

 身体障害を中心に、まんべんなく出題されていますね。学習範囲が広く、大変かと思いますが、以下の事項も参考にして、過去問解説集やテキストで、一つひとつ押さえてください。


身体障害

  • ○身体障害者は、身体障害者福祉法で、身体上の障害がある18歳以上の者で、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた者と定めている。身体上の障害とは、「視覚障害」「聴覚又は平衡機能の障害」「音声機能、言語機能又は咀嚼機能の障害」「肢体不自由(上肢、下肢、体幹の障害)」「心臓、じん臓若しくは呼吸器又はぼうこう若しくは直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫若しくは肝臓の機能の障害(内部障害)」をいう(第27回、34回に出題)。
  • ○身体障害の原因となる病気には、次のようなものがある:
    • 網膜色素変性症は、網膜視細胞変性を特徴とし、夜盲視野狭窄などの症状がみられ、中心の視野が残ることもあるが、失明する場合もある(第31回に出題)。
    • 脳血管疾患(脳卒中)(本講座第14回参照)は、片麻痺が生じることが多く、麻痺側の足を踏み出すときに、つま先でつまずいたり、膝が不安定でガクガクするなどの場合、短下肢装具を装着する(第24回で事例的な問題として出題)。また、片麻痺のある人が自走用標準型車いすを自分で操作するためには、健側の足底部が床に着くように、座面の高さを設定する(第25回に出題)。
    • ・上記の脳血管疾患で主に発症する失語症は、脳の言語機能の中枢を損傷することにより、一度獲得した「聞く」「話す」などの音声に関わる機能や、「読む」「書く」などの文字にかかわる機能が障害された状態をいう。構音器官の麻痺などによる構音障害とは異なる。聴覚的理解を補うために、はっきりした言葉でゆっくりと話しかけることが大切である(第24回に出題)。また、半側空間無視の症状がある場合、食事のとき、認識できない片側に食べ残しがみられる(第34回に出題)。
    • 脳性麻痺は、出生前後や出生中に、何らかの原因で脳に障害を起こし、非進行性の運動麻痺が生じたものである。身体が突っ張るように伸展、緊張、硬直する痙直型、自分の意思とは関係なく身体が動いてしまう、不随意運動がみられるアテトーゼ型(不随意運動型)などの型(分類)がある。長年にわたって介護する家族に対して、家族の介護方法を尊重しながら、腰への負担が軽くなる方法の提案など、家族への支援も重要である(第32回に出題。第25回では事例問題として出題)。
    • 脊髄損傷は、交通事故や転落などの外傷により、脊椎の骨折、脱臼によって生じ、機能障害(肢体不自由)を引き起こす。頸髄損傷は四肢麻痺、胸髄損傷は体幹麻痺、下肢麻痺(対麻痺)、腰髄損傷は下肢麻痺(対麻痺)と、損傷する部位に応じて、麻痺の部位が異なる(第31回、33回に出題)。
  • ○内部障害のうち、不整脈などにより心臓機能障害をもつ利用者は、呼吸困難や息切れなどの症状がみられることが多く、埋め込み式心臓ペースメーカーを装着している場合が多い。大腸がんなどにより膀胱、直腸、小腸機能障害をもつ利用者において、手術で腸の一部を切除し、便を体外に排泄することができなくなった場合、消化管ストーマ(人工肛門)をつくる。慢性腎不全などにより腎臓機能障害をもつ利用者は、透析療法(人工透析〔腎不全のため、生体内の水や老廃物の除去などを人工的に行うもので、血液透析と腹膜透析がある〕)が必要となる場合がある。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などにより呼吸機能障害をもつ利用者は、在宅酸素療法が必要となる場合がある。日常生活上の留意点として、着替えをするときには、腕を高く上げないなど、息苦しさが増さないように気をつける。また、洋式便器を使用するなど、負担がかからない工夫をする(第24回、26回、28回に出題)。

 第30回では、言語機能障害を来す難病として、脊髄小脳変性症があることが、出題されました。また、出題は、個々の障害の特性を踏まえた介護方法にも及んでいます。第26回、28回、29回では筋萎縮性側索硬化症(ALS)、第27回、29回では関節リウマチ、第28回、29回ではパーキンソン病に関する問題が出題されました。本講座第14回も参照してください。第26回で出題された、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害も、身体障害者手帳の交付対象となるのですね。
 次回も引き続き、その他の障害について勉強しましょう。


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