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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第18回 障害の理解(1)~ICF~

 こんにちは。前回まで、「発達と老化の理解」「認知症の理解」を学び、介護の原因となる「老い」について把握してきました。
 今回から、「障害の理解」という科目に入ります。老いも障害の一つといえますが、若くして介護の原因となる、さまざまな障害について勉強していきましょう。

ICF

 まず、毎回のように出題される、ICF(国際生活機能分類)について押さえます(「介護」領域の「介護の基本」でも出題され、第27回、31回、34回では事例問題として出題されました)。ICFとは、利用者の生活機能における正常な側面および障害のある側面の、とらえ方を示すものとして、世界保健機関(WHO)が2001(平成13)年に発表しました。リハビリテーション分野から生まれたものですが、介護分野においても、利用者の生活におけるニーズ(課題)を解決するための、サービスを提供する際の活用が求められています。
 ICFは、人の生活とその機能(生活機能)を、次の3つでとらえます。

  • 心身機能・身体構造(生理学的・解剖学的な機能・構造)
  • 活動(生活における課題や行為の個人による遂行)
  • 参加(生活・人生場面へのかかわり)

 3つのそれぞれの生活機能が低下した状態を、機能・構造障害(脳梗塞による片麻痺など)、活動制限(脳梗塞片麻痺により入浴、排泄、移動などADL〔日常生活動作〕、調理、掃除などIADL〔手段的日常生活動作〕に支障があるなど〔トイレに行けないなど〕)、参加制約(車いすでの入店を断られたなど)といいます(第25回に出題。第29回の「介護過程」では「できる活動」について事例問題として出題)。
 さらに、3つの生活機能に以下の3つを加え、これら6つが相互に作用し合うとしています。

  • 健康状態(老化、疾病、ストレスなど)
  • 環境因子(家族や友人、住宅、制度、サービスなど人々が生活し、人生を送っている物的・社会的環境、人々の社会的な態度による環境)
  • 個人因子(個人の生活や人生の特別な背景)

 第29回では、「環境因子」に関する事例問題が出題されました(第31回の「介護過程」、第33回の「介護の基本」でも出題)。なお、環境因子と個人因子のことを「背景因子」といいます(第25回に「介護の基本」で出題)。第24回では、生活機能は、健康状態と背景因子との間の相互作用とみなされると、出題されました。また、第30回、33回で、障害は、環境によって作り出されるものである(さまざまな環境との相互作用によって生じる)と、出題されました。本当にそうですね。
 ICFは、前身のICIDH(国際障害分類。第32回に出題)よりも、環境及び環境と個人の相互作用を重視したモデルであることが、第26回に出題されました。ICFについては、過去問解説集も活用して、しっかりと理解していきましょう。


障害者福祉

 社会福祉のなかの障害者福祉という分野は、戦争で障害を負った人々の支援などを始まりとしています。近年の高齢化により台頭してきた、老人福祉よりも歴史が長く、その中で、ノーマライゼーションなどの理念も醸成され、福祉や介護の原点をみることができます。次の事項に触れ、テキストなどでも確認しておきましょう。

  • ノーマライゼーションは、デンマークのバンク・ミケルセンの人間主義という考え方をもとにしている。それは、知的障害児・者のような自己防衛力の弱い人々の生きる権利と、当たり前の人間として生き、扱われる基本的権利の確立を目指したものである(第32回の「介護の基本」で事例問題として出題)。
  • ○スウェーデンのニィリエは、1日のノーマルなリズム、1週間のノーマルなリズム、1年間のノーマルなリズムなど、ノーマライゼーションの理念を8つの原理にまとめた(第31回に出題)。
  • ○糸賀一雄は、近江学園など知的障害児施設を設立し、日本におけるノーマライゼーションの推進に寄与するとともに、人間の発達を保障する、「この子らを世の光に」という思想を掲げた(第28回に「人間の尊厳と自立」で出題)。
  • ○国連は、1981(昭和56)年を「国際障害者年」とし、ノーマライゼーションの理念を社会に広める契機となった。この年を機に、基本理念としてノーマライゼーションが世界各国に紹介され、収容保護から人権尊重へ、施設から地域や自宅へ、ADLからQOLへと福祉施策の考え方が変化していった(第27回に「社会の理解」で出題)。
  • リハビリテーションには、“もう一度適した状態にする(再び適したものにする)”という意味があり、何らかの障害をもつ人が、人間としての尊厳、権利などを本来あるべき姿に回復すること(全人間的復権)をいう。また、名誉の回復の意味もある(第33回に出題。第28回、29回では「介護の基本」で出題)。
  • ○上記の理念が台頭するきっかけになったのは、1960年代後半から1970年代初頭にかけて、アメリカの重度障害者の主張で始まった「自立生活運動(IL運動)」である。
  • ○ノーマライゼーションやリハビリテーションの理念のもと、障害者基本法の規定により策定された新しい障害者基本計画では、2003(平成15)年から2012(同24)年までの10年間に講ずべき障害者福祉施策の基本的方向を示した(第24回、25回に出題)。なお、障害者基本計画は、政府が策定しなければならない(第28回に「社会の理解」で出題)。
  • ○2006(平成18)年に国連で採択され、日本においては2014(平成26)年に批准した障害者の権利に関する条約で、国際条約上初めて、合理的配慮の概念が取り上げられた。この条約は、障害者が作成の段階から関わり、その意見が反映されて成立した。この条約に沿うように、2013(平成25)年に成立した障害者差別解消法(本講座第5回参照)は、共生社会の実現を目指している(第28回、32回、33回に出題)。

 第29回の「人間の尊厳と自立」では、障害児・者に対して、ノーマライゼーションの理念を実現するための方策として、普通の生活環境に近づけることが適切と、出題されました。また、ノーマライゼーションの理念に通じる制度や事業として、「バリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」の制定があることが、第27回に出題されました。第30回では、(障害者総合支援法が規定する)障害福祉計画において、ノーマライゼーションの理念に沿って設定されている成果目標として、福祉施設の入所者の地域生活への移行があることが、出題されました。第33回の「社会の理解」では、ノーマライゼーションとは、障害があっても地域社会の一員として生活が送れるように条件整備をすることと、出題されました。
 次回から、具体的な各種障害について学習します。


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