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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第15回 発達と老化の理解(3)~老化とともに発症する病気・障害(その2)~

 今回は、「発達と老化の理解」の最終回です。前回に引き続き、高齢者の代表的な病気について記します。
 本講座で勉強したあとは、テキストなどで、さらに詳しく読み込んでください。生活習慣病は、よく出題されるので、押さえておきましょう。

心臓、血管に関する病気

  • 高血圧症とは、最高(収縮期)血圧140mmHg以上、最低(拡張期)血圧90mmHg以上をいう。生活習慣病の一つでもあり、脳血栓や狭心症、冠動脈硬化など、その他の生活習慣病を発症させる危険因子である(第25回に出題)。
  • ○生活習慣病の一つである虚血性心疾患のうち、狭心症は、心筋の一過性の虚血(酸素欠乏)により、胸痛や胸部の圧迫感、絞扼感(締めつけられるような痛み)などの症状を伴う。心筋梗塞は、冠状動脈の血流が途絶え、心筋細胞の一部が壊死した状態をいう。冠動脈硬化を患っていると発症しやすく、急性心筋梗塞は、激しい胸痛、息苦しさ、顔面蒼白、冷や汗などの症状がみられ、胸の痛み、絞扼感が30分以上持続する。一方、高齢になるほど痛みを訴えない人の割合が高くなり、痛みを伴わない無痛性心筋梗塞も多い(第24回に出題)。
  • ○老化に伴う循環器系(心臓、血管など)の変化として、不整脈が増加する傾向にあり、心房細動とは、頻脈性の(頻脈になることが多い)不整脈の一種である(第25回、26回に出題)。

 第32回では、虚血性心疾患などが原因となって生じる、心不全(心臓が衰弱して血液を十分に送り出せなくなった状態)について、出題されました。

泌尿器に関する病気

  • 尿失禁は、膀胱から尿を無意識にもらす状態をいう。高齢の女性では、咳などの腹圧がかかる動作時にもれる腹圧性尿失禁が多い。また、トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを、切迫性尿失禁という(第25回、31回に出題)。

内分泌、代謝に関する病気

  • 糖尿病は、インスリンが十分に作用せず、高血糖が持続し、初期には自覚症状がないことが多いが、口の渇き、多飲、多尿、倦怠感、体重減少などの症状を伴う。糖尿病のうち、生活習慣病に位置づけられるものを2型糖尿病という。合併症として、足指が壊疽し切断に至ることもある神経障害、人工透析を必要とする腎症、失明することもある網膜症がある(第26回、29回に事例問題として出題。第27回、34回では「こころとからだのしくみ」で出題)。
  • 甲状腺機能低下症は、血液中の(エネルギー代謝を調節する)甲状腺ホルモンが不足した状態をいい、浮腫などの症状がみられる(第29回に出題)。

 糖尿病に関しては、第33回で、高齢者の糖尿病は、若年者に比べて低血糖の自覚症状に乏しいことが、出題されました。第31回の「こころとからだのしくみ」でも、インスリン療法を受けている利用者の低血糖状態について、出題されました。

皮膚に関する病気

  • 白癬は、真菌(カビ)の一種である白癬菌の感染によって起こる。症状には、爪の白濁・肥厚などがある(第25回、29回に「こころとからだのしくみ」で出題)。
  • 疥癬は、ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症で、手指や腋窩、胸腹部などに小さな丘疹がみられ、夜間の激しいかゆみが特徴である(第30回の「こころとからだのしくみ」で事例問題として出題)。

がん

  • 胃がんによる死亡数は、男性で全体の2位、女性で同4位である。胃がん検診による早期発見・治療などにより、死亡数は減少傾向にある。
  • 大腸がんは、生活習慣病の一つに位置づけられ、食生活の欧米化とともに、増加傾向にあり、女性の死亡数1位である。症状は下血が多い。
  • 肺がんによる死亡数は、男性で全体の1位、女性で同2位である。生活習慣病の一つと位置づけられ、喫煙と関係がある。
  • C型肝炎は、進行すると、肝硬変、肝がんへと病態が変化していくことが多い(第26回に出題)。

 こうして勉強すると、介護サービスの利用者が患っている病気であるとともに、私たち自身も、年をとり、生活習慣を乱していると発症し、介護が必要になると実感します。
 最後に、高齢者の心の病気のうち、出題頻度の高い、うつ病についてふれます。

心に関する病気

  • ○気持ちが沈み込んだ状態のことを、うつ状態(抑うつ状態)という。高齢者のうつ状態の原因は、病気や障害などによる身体的な要因、喪失体験などによる環境的な要因がある(第25回の「こころとからだのしくみ」で事例問題として出題)。
  • うつ病とは、うつ状態が症状の中心となり、楽しみの喪失、焦燥感、思考力や集中力の減退、希死念慮、身体的な訴えなどを伴う。
  • ○高齢者のうつ病(老年期うつ病)は、環境の変化などが発病のきっかけとなりやすく、青年期(若年者)のうつ病にくらべて慢性化しやすい、再発しやすい、抑うつ気分が軽く、腰痛や便秘など身体的な症状の訴えが強い(身体症状と関連することが多い)などの特徴がある。身体症状に隠れてうつ状態が見えにくくなっている状態もあり、これを仮面うつ病という(第24回、27回に出題)。

 第31回では、うつ病にも関連する学習性無力感について、事例問題として出題されました。
 上記に加えて、心に関する病気で押さえておきたいのは、認知症です。認知症については、次の科目「認知症の理解」で学びましょう。


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