石橋先生の受験対策講座
忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。
- プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)
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介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。
第10回 社会の理解(4)~障害者総合支援法~
こんにちは。木々の緑が美しい季節となりました。
前回は、介護保険制度について学習しました。
今回は、介護保険に次いで重要な法律である、障害者総合支援法(旧・障害者自立支援法)を押さえましょう。
障害者総合支援法の仕組みについて
障害者総合支援法は、障害者基本法の理念に則り、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)、児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的としています。障害者総合支援法の「障害者」は、18歳以上の者と定義されています(第33回に出題)。なお、障害者基本法は、障害者の施策に関する基本的な理念などを定めた法律です。
障害者総合支援法の仕組みも、介護保険制度と同様に、さまざまな角度からの出題が見込まれます。今後のテキストでの学習では、次のような事項について、あらためて頭に入れてください。
- ○対象者:身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病患者等。同法は、障害の種別ごとにあった施策やサービスを一元化したものである。障害者には、65歳以上の者も含まれるが、65歳以上の者は原則として介護保険を利用する(第24回、25回、26回に出題)。
- ○申請:給付(サービスの利用料金を税金で補助)を受けようとする障害者・障害児は、市町村に申請(支給申請)する(第32回に事例問題として出題)。
- ○支給決定のプロセス:申請を受け付けた市町村は、障害支援区分(旧・障害程度区分)の認定及び支給要否決定を行うための調査を行い、介護給付の場合、市町村審査会が行う障害支援区分に関する審査・判定結果に基づき、区分の認定を行う(第25回に出題。第24回、28回では事例問題として出題)。障害者総合支援法のサービスを利用するための障害支援区分を判定する組織である、市町村審査会では、審査・判定を行う場合、その対象となる障害者の家族に意見を聴くことができる(第27回、33回に出題)。障害支援区分は、区分1から区分6までの6区分。市町村は、障害者・障害児の障害支援区分、介護者の状況、障害福祉サービスの利用に関する意向などを勘案して、支給要否決定を行う。そして、サービス等利用計画が作成され、計画に基づいたサービスが提供・利用される。
障害者総合支援法は、介護保険と同じような仕組みとなっています。障害支援区分の認定は要介護認定、サービス等利用計画は介護支援専門員(ケアマネジャー)のケアプランに相当します。なお、サービス等利用計画を作成する者を、相談支援専門員と呼びます(第25回、30回、34回に「障害の理解」で出題)。相談支援専門員が従事する相談支援は、基本相談支援、地域相談支援、(サービス等利用計画を作成する)計画相談支援に分かれます。第27回では、障害者支援施設や精神科病院に入所・入院している障害者等の地域生活への移行に携わる(基本相談支援と地域相談支援を行う)一般相談支援事業にかかる事例問題が、本科目と「障害の理解」で出題されました。
障害者総合支援法が適用されるサービスについて
同法では、従来の居宅サービス、施設サービスという分類を改め、障害福祉サービスとして、施設に入所している場合でも、居宅で暮らす障害者と同様のサービスを提供します。対象となるサービスは、介護給付と訓練等給付に分かれ、介護給付には、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援(障害者支援施設での夜間ケア)があります。訓練等給付には、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助(グループホーム)があります(第24回、34回に出題)。第28回、32回の「障害の理解」と第29回、34回では、サービスの利用に関する事例問題が出題されました。なお、一人暮らしを希望する障害者に対して、地域生活を支援する自立生活援助と、就労定着支援は、2016(平成28)年の障害者総合支援法の改正により追加され、2018(平成30)年4月に創設されました(第31回に出題)。
上記のほか、自立支援医療、車いすなどを対象とする補装具があり(第30回に出題)、前述の相談支援、介護給付、訓練等給付とあわせて自立支援給付と総称しています。自立支援給付以外にも、地域生活支援事業として、円滑に外出できるように、移動を支援する移動支援や(第28回に出題)、日常生活用具の給付など市町村の実情に応じて柔軟に実施する事業があります。
また、サービスの利用料金の自己負担は、以前は応益負担といい、介護保険と同じ原則定率1割負担でしたが、現在は応能負担といい、利用者本人などの家計の負担能力に応じたものとなっており、上限は1割です。
第29回と第34回の「障害の理解」では、障害者等への支援体制に関する課題についての情報共有や、地域の実情に応じた支援体制の整備について協議を行うなど、地方公共団体(市町村等)が設置する協議会の機能について、第32回では、厚生労働大臣が定めた基本的な指針に即して、市町村と都道府県が作成する障害福祉計画について、出題されました。また、第32回、33回で出題された、共生型サービスは、障害者が65歳以上になっても、使い慣れた事業所でサービスを利用しやすくするために、介護保険制度と共通する仕組みとして、2018(平成30)年度に創設されました。
障害者総合支援法は、対象とする障害の医学的な知識などとともに、こころとからだのしくみ領域の科目「障害の理解」でも出題されます。
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