石橋先生の受験対策講座
忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。
- プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)
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介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。
第9回 社会の理解(3)~介護保険制度~
前回は、社会保障と総称される、制度の全容と成り立ちについて学習しました。今回は、出題頻度という点でも最も重要な、介護保険制度(介護保険法)を押さえましょう。
介護保険法の仕組みについて
介護保険法は、加齢に伴って生じる心身の変化に起因する疾病などにより要介護状態となり、入浴、排泄、食事などの介護、機能訓練、看護、療養上の管理その他の医療を要する者などについて、尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう(すなわち自立支援の視点で)、必要な保健医療・福祉サービスにかかる給付(税金や保険料で補助すること)を行うため、国民の共同連帯の理念に基づいて介護保険制度を設け、国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的としています。この制度の目的は、介護保険法第1条で規定されています(第26回、30回に出題)。
介護保険法の仕組みについては、さまざまな角度からの出題が想定されます。今後、テキスト(受験参考書)で学習する際、次のような事項について、改めてふれておきましょう。
- ○保険者:実施主体(制度の責任者)で、市町村及び特別区(以下、市町村)。保険給付に関する事務を行う(第28回、29回、33回に出題)。
- ○被保険者:制度を利用できる者。市町村の区域内に住所を有する、65歳以上の者を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者といい、住所のある市町村(保険者)の被保険者となる(第27回、32回に出題。第24回では「発達と老化の理解」で出題)。
- ○要介護(要支援)認定:市町村に申請。認定調査などを経て決定される要介護度は、7段階(要支援1・2、要介護1~5)。要介護認定の結果は、市町村が被保険者に通知する(第26回に出題)。
- ○介護給付:要介護1~5に認定された被保険者が利用できる。都道府県が指定・監督を行う居宅サービス、施設サービスと、市町村が指定・監督を行う地域密着型サービスや居宅介護支援(2018〔平成30〕年4月より指定権限が都道府県から市町村に委譲)がある。
- ○予防給付:要支援1・2に認定された被保険者が利用できる。都道府県が指定・監督を行う介護予防サービスと、市町村が指定・監督を行う地域密着型介護予防サービスや介護予防支援(地域包括支援センターで実施)がある(第25回に出題)。
- ○利用者負担:原則定率1割自己負担。一定以上の所得がある第1号被保険者は、2割負担または3割負担(2018〔平成30〕年8月から)。ケアマネジャーによる居宅介護支援と介護予防支援は、全額保険給付され、自己負担は無い。なお、保険給付の財源構成は、公費(税金)、第1号被保険者・第2号被保険者が支払う保険料(第1号保険料・第2号保険料)となっている(第34回に出題)。
介護保険法が適用されるサービスについて
居宅サービスには、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護などがあります(介護予防サービスにおいても、介護予防訪問入浴介護などが同様にあります)。地域密着型サービスには、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護など9つ、地域密着型介護予防サービスは、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護(要支援1は対象外)の3つです。また、施設サービスには、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院(2018〔平成30〕年4月から創設)、介護療養型医療施設があります(要支援の者は対象外。2015〔平成27〕年4月から、介護老人福祉施設の新規入所者は原則として要介護3以上〔第28回に出題〕)。
介護領域の科目「介護の基本」では、これらサービスの内容などについて出題されますので、後日、テキストや過去問題集などで一つひとつ習得してください。
利用者(被保険者)の苦情(不服)について、事業者・施設による上記サービスに関するものは、国民健康保険団体連合会で対応します。一方、市町村(保険者)による要介護(要支援)認定などに関するものは、介護保険審査会で受け付けており、両者とも都道府県に設置されていることを知っておきましょう(第25回に出題)。
居宅介護支援や介護保険施設(施設サービス)などに従事し、利用者の介護生活の相談にのり、必要なサービスを手配する介護支援専門員(ケアマネジャー)や、被保険者の介護や介護予防にかかる相談機関などとして機能する地域包括支援センターは、利用者(被保険者)の生活を支える上で重要な役割を担うため、毎回出題されます。次の事項も、この場で覚えておきましょう。
- ○介護支援専門員は、都道府県知事の登録を受け、介護支援専門員証の交付を受けた者をいう。介護支援専門員証の有効期間は5年で、更新研修を受けなければならない。居宅介護支援事業所や指定介護老人福祉施設などに配置が義務付けられている(第25回、29回に出題。第32回の「発達と老化の理解」では事例問題として出題)。
- ○地域包括支援センターには、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員が配置されており(第24回に出題)、包括的支援事業(介護予防ケアマネジメント業務〔第一号介護予防支援事業〕、総合相談・支援業務、権利擁護業務〔虐待防止などにかかる業務を含み、第26回の「人間の尊厳と自立」で事例問題として出題〕、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、地域ケア会議の推進など)を実施している。
介護保険制度における地域ケア会議は、地域包括ケアシステム(本講座第7回参照)の実現に向けた手法と位置付けられ、地域課題の発見や地域づくり・資源開発の機能があり、個別ケースの課題分析等を行うことによる地域課題の把握を目的としていることが、第26回、30回で出題されました。また、介護医療院の創設や、一定以上の所得のある利用者に対する3割負担の導入は、2018(平成30)年に施行された介護保険制度の改正内容であることが、第31回で出題されました。
法律の理解は難しいです。市区町村のホームページや、最寄りの市区町村の役所や地域包括支援センターで、住民向けの介護保険制度のパンフレットを入手して、目を通してみるのもよいかと思います。
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