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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第8回 社会の理解(2)~社会保障の制度体系~

 前回から、「社会の理解」について学習しています。「社会の理解」では、受験者の多くが苦手と感じる、日本の制度(法律)の知識が出題されます。
 制度とは、税金や保険料の使い道を定めているルールと認識するとよいでしょう。例えば、皆さんが提供する介護サービスなどの利用料金は、税金や保険料で補助されます。介護保険制度では、利用者が支払う料金が、原則1割負担(9割引)となり、サービスが利用しやすくなります。
 介護福祉士は、利用者にとっても難しい制度の知識を備え、必要に応じて説明し、質疑に応答し、制度のルールに沿ったサービスの提供・利用に寄与しなければなりません。今回の勉強を機に、理解と関心を高めましょう。

社会保障

 介護保険によるサービスのように、生活上のニーズ(課題〔問題〕)に対して、税金や保険料を投入して解決を図る制度を総称して、社会保障といいます。次の図で、全容をつかんでみてください。本講座では前回、家族機能の弱体化にふれましたが、社会保障には、介護、子育てなどの家庭機能を支援する役割があります(第25回に出題)。

◆図 社会保障の主な制度体系

【社会保険】
・医療保険制度(病気になった時の医療サービス料金の補助等)
・年金保険制度(老後の生活費の支給等)
・雇用保険制度(失職した時の生活費の支給等)
・労災保険制度(業務中の事故等によりケガを負ったり、病気になったりした時の
医療サービス料金の補助等)
・介護保険制度
(老いて介護が必要となった時の介護サービス料金の補助等)

【社会福祉】
・児童福祉法
(概ね18歳未満の児童や保護者の生活を支える援助への補助等)
・身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法
(概ね18歳以上の障害者の生活を支える援助への補助等)
・障害者総合支援法(旧・障害者自立支援法)
(0歳~概ね65歳未満の障害児・障害者の生活を支える介護サービス料金の補助等)
・老人福祉法
(65歳以上の高齢者の生活や介護を支える援助への補助等)

【公的扶助】
・生活保護法(経済的に困窮した時の生活費の支給等)

・社会福祉法(上記法律に共通したルール等)

 これらの制度は、主に戦後、年月をかけて体系立てられてきました。その歴史的経緯については、第24回、26回、27回で出題されました。また、社会保険制度は、保険料を支払った人に受給権を保障する仕組みで、5つあることが、第26回、29回で出題されました。
 以下の事項も参考にしてください。

  • ○社会福祉、公的扶助においては、昭和20年代、最低生活の保障として貨幣的(経済的)なニーズへの対応を中心に、生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法が制定され、「福祉三法体制」となった。
  • 昭和30年代、精神薄弱者福祉法(現在の知的障害者福祉法)、老人福祉法、母子福祉法(現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法)が制定され、「福祉六法体制」となった(第33回に出題)。サービスは施設が中心だった。また、すべての国民を対象とする「国民皆保険・皆年金体制」となった。
  • 昭和40年代後半から、認知症高齢者の問題がクローズアップされ、昭和50年代には、高齢化による在宅介護のニーズが増大し、重要課題となった。
  • ○社会福祉基礎構造改革により、2000(平成12)年に、社会福祉事業法が改正され、社会福祉法が制定。福祉サービスの提供体制の確保を国及び地方公共団体の責務とするとともに、行政処分による措置制度から、契約による利用制度への転換が図られた。
  • ○介護サービスにかかるものとして、2000(平成12)年に介護保険制度、2006(平成18)年に障害者自立支援法(2013〔平成25〕年4月から障害者総合支援法と改称)が創設された。
  • ○社会保障給付費(社会保障において税金や保険料で補助する費用)に占める介護対策の割合が増加傾向にあり、年金関係の給付費は、全体の40%を超えている。また、2015(平成27)年度以降の社会保障の財政において、国の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は、30%を超えており、一般会計予算の歳出の中で最大のものとなっている(第29回、32回、33回に出題)。

 過去11年(第24回~34回)の介護福祉士国家試験(筆記試験)における各制度(法律)の出題数は、次のとおりです。

  • ・医療保険制度 ⇒ 3問
  • ・年金保険制度 ⇒ 1問
  • ・労災保険制度 ⇒ 1問
  • 介護保険制度 ⇒ 28問(うち3問は事例問題)
  • 障害者総合支援法(旧・障害者自立支援法)⇒ 21問(うち4問は事例問題)
  • ・生活保護法 ⇒ 4問
  • ・社会福祉法 ⇒ 3問(うち1問は日常生活自立支援事業にかかる事例問題)

 やはり、皆さんが従事する介護サービスにかかるものが、よく出題されていますね。これらについては、次回以降、一緒に勉強したいと思います。


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