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受験対策講座

保育士・筆記試験の合格率は20%前後で難関といえます。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率のいい学習が不可欠です。このコーナーでは、近年の各科目の出題傾向や今後の対策について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

2024年4月試験に向けた講座がスタートしました!

令和4年後期・保育士試験「子ども家庭福祉」の内容や難易度は? 傾向と対策のポイント 

佐藤賢一郎(さとう けんいちろう)
常磐大学人間科学部教育学科・准教授、専門は保育学・幼児教育学。自身も保育士試験で保育士資格を取得し、公立保育所で12年間の勤務経験がある。YouTubeチャンネル「けんいちろう准教授」
https://www.youtube.com/channel/UCtZm5U3O213sVZsbmtoR1TQ
では、保育・子育ての講義に加え、保育士試験対策にも力を入れている。

令和4年後期試験の「子ども家庭福祉」の問題を振り返ります。
なお、試験問題および解答は、全国保育士養成協議会のホームページをご参照ください。

目次

近年の出題傾向

近年の傾向としては、ある程度は例年同じようなテーマでの出題が多いものの、必ず数問は難しい問題が出題されています。特に後半に出題される「〇〇白書」関連の問題は、相当幅広い知識がないと解けません。そのため、できる問題とできない問題がはっきりしているのがこの科目の特徴です。
また、出題範囲が「社会福祉」や「社会的養護」とも重複しますので、それらの科目を合格していたとしても油断することなく、重要なキーワードについては概要のみならず、詳細を理解しておく必要があるでしょう。

令和4年後期試験の振り返り

令和4年後期試験の出題キーワードは以下の通りです。

問1 児童の権利に関する条約 第9条
問2 子ども家庭福祉に関する法律等の年代並び替え
問3 少子社会の現状
問4 児童憲章
問5 児童の権利に関する条約 第31条第1項
問6 児童福祉法
問7 地域子ども・子育て支援事業
問8 児童委員・主任児童委員
問9 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律
問10 児童養護施設入所児童等調査の概要
問11 児童福祉施設の概要
問12 少子化社会対策大綱
問13 児童館
問14 子ども虐待
問15 障害児通所支援等事業の種類別事業所数
問16 令和3年版 犯罪白書
問17 日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査結果の概要
問18 日本と諸外国における子どもや家庭の統計
問19 保護者支援の事例
問20 保護者支援の事例

キーワードだけ見ると、これまでと同じような傾向であることがわかります。
ただし、キーワードの内容をしっかりと理解していないと解けないような問題が随所にみられました。

問1は、基本問題として「児童の権利に関する条約」第9条から出題されました。

問2は、これまでの学びがしっかりできていれば解けるキーワードの並び替え問題でした。

問3の「少子化の現状」は、テキストの概要を理解していれば解ける問題でした。

問4の「児童憲章」についても、前文からの出題なので解きやすかったかと思います。

問5は「児童の権利に関する条約」第31条1項ということで、少し珍しいところからの抜粋でした。それでも、事前に一読しておけば解けたかと思います。

問6は、児童福祉法に記載されている様々な事柄が問われたので、難しかったかもしれません。「『新生児』の定義」が記載されているのは、母子保健法です。

問7は、様々な事業名とその概要を結びつける問題でした。似たような名称の事業ですが、その概要をある程度理解していれば解けたと思います。

問8は、児童委員・主任児童委員に関する記述ですが、誰が何を実施し、指揮をとり、指名するのか、ややこしいところです。ピンポイントで勉強しておかないと、正攻法で正解するのは難しいといえます。

問9の「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」については、令和元年という比較的新しい改正でしたので、しっかり勉強していた人も多いと思います。引き続き、出題されやすいと思いますので押さえておきましょう。

問10の「児童養護施設入所児童等調査」は、「社会的養護」の学習範囲と重複します。概要を理解しておけば解ける問題です。

問11は、児童福祉施設名とその概要を結び付ける問題でした。施設の概要を理解しておけば解けます。

問12の「少子化社会対策大綱」は、近年よく出題されるところなので、あらためて読み込んでおきましょう。

問13は、児童館に関する記述が問われました。ここは正直、不意を突かれましたね。児童館に関して、ピンポイントで勉強している人はあまりいなかったかもしれません。ただし、問題文をよく読めば、ある程度は推測して答えられたかもしれません。

問14では、行政資料や「子供・若者白書」の内容をもとにした問題でしたが、常識的な知識として考えれば解ける問題だったと思います。

問15の「障害児通所支援等事業」については見たことのない資料だったかもしれませんが、放課後等デイサービス事業の事業所数が多いことを理解していれば、推測して解けたかと思います。

問16の「犯罪白書」の問題も、見たことはないかもしれませんが、少年犯罪で多いのは窃盗であることが推測できたのではないでしょうか。

問17問18の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査結果の概要」「少子化社会対策白書」「男女共同参画白書」といった資料に関しては、正確に数値を把握している人はいないと思いますが、ある程度は常識的な知識として解くことができるかもしれません。

問19問20は、事例問題。こちらは常識的に考えれば正解できたと思います。

このように、勉強をしておけば確実に点数をとれるところと、一般的な試験範囲だけを勉強していたのでは解けないような問題とが混ざり合った試験だったといえます。
ただし、これまで学んできた知識や一般常識から推測する方法で選択肢をかなり絞ることはできたと思いますので、全体をしっかり学んできた人は合格できる内容だったと思います。

今後の勉強の進め方

ここ数年は、比較的やさしい問題が多い印象の「子ども家庭福祉」ですが、今後、難易度が上がる可能性も考えられます。次回以降に受験する方には、油断することなく知識を積み上げていってほしいと思います。
今後もテキストをベースにそれぞれのキーワードを理解したうえで、より詳細な内容は自分で調べて理解を深めていく必要があります。出題の根拠となるほとんどの資料は公的機関のホームページから入手することができますので、テキストで概要を理解し、問題集を解きながら、分からない部分は自分で調べていくということをくり返していきましょう。

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