受験対策講座
保育士・筆記試験の合格率は20%前後で難関といえます。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率のいい学習が不可欠です。このコーナーでは、近年の各科目の出題傾向や今後の対策について、その秘訣をガイドします。
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第20回 「子どもの保健」科目について
小室浩子(こむろ ひろこ)
学校法人群馬パース学園群馬パース大学福祉専門学校非常勤講師、学校法人三幸学園大宮こども専門学校専任講師、小田原短期大学保育学科非常勤講師
子どもの保健」を学ぶ意義(大切さ)
「子どもの保健」は保育士の大切な役目である「子どもの命を守る」「子どもの健康を増進する」という使命を果たすためには必要不可欠な科目です。子どもの保健では、正しい知識を身に付け、情報を精査し、子ども事故や疾病にすばやく対応するだけではなく、子育て支援や地域連携についても学んだ専門知識を活用しなければなりません。知識を問う問題だけでなく、発達障害についての事例問題も多く出題されています。
「保育の心理学」と合わせて発達障害について学ぶことで理解度を深め、解答を得やすくなります。「保育の心理学」のみならず、他の教科「子どもの食と栄養」などと関連付けて学ぶことで知識が広められるとともに理解を深めることができるようになります。専門用語も多く、難しく感じる「子どもの保健」かも知れませんが、焦らず、じっくり取り組みましょう。
「子どもの保健」の近年の出題傾向
テーマ1は「子どもの心身の健康と保健の意義」です。突然死症候群(SIDS)について出題されているようです。原因や予防についてしっかり理解しておきましょう。子どもの虐待についても頻回に出題されています。虐待の分類をしっかり理解しましょう。また、保育所保育指針からの出題もあります。こどもの保健のテキストと合わせて、保育所保育指針をよく読み込んでおきましょう。子どもの健康全般について理解を深めることも大切です。
テーマ2は「保育における健康及び安全管理」です。子どもの発達や発育、運動機能等について出題されています。保育士の役目である子どもの成長・発達の支援ができるよう学びを深めましょう。発育・発達を正しく理解し、評価することも大切です。母子健康手帳から身長体重曲線についての問題も出題されています。身長体重曲線をしっかり理解して、母子手帳についても理解を深めておきましょう。
テーマ3は、「子どもの心身の健康状態とその把握」です。発熱やけいれん時の症状と対応について出題されています。子どもが罹患しやすい疾病の症状を見分けるポイントをしっかり理解し、体調不良時の対応が正しく行えるよう、知識を身につけ実践に備えましょう。
テーマ4は「子どもの疾病の予防及び適切な対応」です。感染症や予防接種について出題されています。子どもは大人を小さくした身体ではありません。大人とは異なる病気に感染します。子どもが罹患しやすい疾患について理解を深めましょう。感染の予防と対策として予防接種は有効です。予防接種スケジュールについても理解しておきましょう。心の病気と言われる反応性愛着障害や脱抑制型対人交流障害、愛情遮断症候群等についての出題があります。症状に気づき障害に合わせた対応できるよう「保育の心理学」と併せて学びを深めておきましょう。
テーマ5は「保健的観点を踏まえた保育環境及び援助」です。保育の環境や子どもの生活習慣、発達援助、健康及び安全管理について学びを深めましょう。室内の環境や室外の環境、温度や湿度、特に換気の方法について理解しておくことが大切です。子どもの生活習慣として、睡眠、食事、清潔(手洗い、歯ブラシの管理等)の知識を保育士として身に付けておきましょう。また、子どもの健康管理のための健康診断、嘱託医との連携についても理解を深めておきましょう。
テーマ6は「保育における健康及び安全管理」です。保育所内の施設の管理方法を理解しておきましょう。また、嘔吐時の子どもへの対応、吐物の処理の方法を正しく行えるよう知識を深めましょう。重大な事故につながる危険を察知し、回避する術を身に付けることは大切です。保育士の対応により事故は未然に防ぐことが可能なものが多くあります。災害時の対応、顕在危険、潜在危険についても理解を深めましょう。「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」に沿って出題されることが増えてきました。誤嚥や窒息、食物アレルギーに関するマニュアル等、ガイドラインで確認しておきましょう。
テーマ7は「子どもの体調不良等に対する適切な対応」です。体調不良時の対応について出題されています。子どもに起こりやすい症状と疾患名を対応させて覚えておきましょう。窒息及びアナフィラキシーショックの原因と対応についても理解を深めておきましょう。心肺蘇生法やAEDの使用方法も動画で検索し、視覚から理解することも有効です。
テーマ8は「感染症対策」です。子どもたちに多い感染症名と原因、症状を理解しましょう。疾患名と原因となるウイルス名を結びつけて覚えると効果的です。消毒薬名と有効な病原体、消毒する場所やものについても理解しましょう。予防接種についてはワクチンの種類、定期接種と任意接種についても知識を深めましょう。
テーマ9は「保育における保健的対応」です。食事、生活、遊び、清潔、感染症発達段階に応じた対応をしっかり理解しましょう。3歳未満児は特に成長の個人差が大きいので、一人ひとりにあわせた配慮が必要です。また、個別的な配慮を要するけいれんやアレルギーの疾患をもつ子ども、食物アレルギーを持つ子ども、障害のある子どもへの対応をしっかり学びましょう。てんかんと熱性けいれんは原因が異なるので注意しましょう。発達障害については事例問題として出題されています。特徴や保育時の対応の仕方を整理しながら理解しましょう。
テーマ10は「健康及び安全管理の実施体制」です。保育における保健計画はPDCAサイクルによって評価することが有効です。PDCAサイクルについて理解を深めておきましょう。職員間の連携の仕方、協働についてまとめておきましょう。保育において他職種との連携は必須です。どのような専門機関、医療機関があるのか、地域とどのように連携し、家庭とはどのような連携が子どもにとって有効か調べてみましょう。
試験に向けた受験対策、勉強の進め方など
受験するにあたり「子どもの保健」はテーマごとに区切って、集中して学ぶことをお勧めします。過去問解きながら、できなかった問題に付箋を貼り、できたら剥がしていきます。付箋が徐々に減り、苦手な問題を克服した達成感が目に見えてわかることでしょう。
子どもの保健の合格テキストと合わせて下記のガイドラインを読み込むこともお勧めします。近年、ガイドラインから出題されることが増えてきました。ガイドラインはページ数が多く読みにくいかもしれませんが、保育士に必要な知識が盛り込まれています。ガイドラインを読むことで子どもの保健のテキストの内容がより深く理解できると思います。
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