受験対策講座
保育士・筆記試験の合格率は20%前後で難関といえます。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率のいい学習が不可欠です。このコーナーでは、近年の各科目の出題傾向や今後の対策について、その秘訣をガイドします。
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第6回 「保育の心理学」科目について
中山麻子(なかやま あさこ)
臨床心理士。公認心理師。小田原短期大学保育学科非常勤講師、あさか保育人財養成学校講師。
「保育の心理学」を学ぶ意義(大切さ)
心理学は人の心を理解しようとする学問です。人の心は目で見ることも、手に取ることもできません。その人の様子から心の内を推測することになるのです。もちろん当てずっぽうではいけません。多くの研究から、さまざまな理論が確立されています。
保育の心理学には、心理学の分野のうち、「発達心理学」を中心に、「教育心理学」「学習心理学」「臨床心理学」などが含まれます。保育現場で働く人に身につけていただきたい内容が集められています。
子どもは自分の気持ちを言葉で表現することが困難です。周りにいる大人が察してあげなくてはなりません。愛着形成の大切さや子ども独自のもののとらえ方(認知の特徴)、言葉や社会性の発達の特徴などを知ることで、子どもの心に適切に寄り添うことが叶うといえます。また、保育現場では保護者をはじめ多くの大人とも接します。子育ての悩みを聞く力、必要なことを伝える力など、コミュニケーション力も求められます。中年期、高齢期の心理を学ぶことは、幅広い世代への理解も深まるはずです。
国家試験では、このような心理学の知識を正しく理解しているか、さらに現場で活用する力や思考力を身につけているかが問われます。
受験勉強は、これら一つひとつの力を蓄えていくことにつながるのです。将来、あなたが出会うであろう子どもたちのこと、そして現場で活躍する自分の姿を想像しながら、どうぞ元気に勉強を進めていきましょう。
「保育の心理学」の近年の出題傾向
- (1)心理学の基礎理論
毎年の傾向としてまず挙げられるのが、心理学の基礎理論からの出題です。ピアジェ、エリクソン、ブロンフェンブレンナー、ヴィゴツキーといった人物名および、その理論は頻出です。令和2年度の後期試験では、エインズワースのアタッチメント理論やパーテンの遊びの分類が出題されました。また、自己中心性、心の理論など、発達を理解する上での専門用語の理解もたびたび問われています。 - (2)虐待や発達障害関連
次に、最近多くみられるのが虐待や発達障害についての出題です。これらは社会的に注目されていることでもあり、保育士として正しく判断し、適切に対処する能力が求められます。今後も出題の可能性が高いといえます。選択問題としてだけではなく、事例問題として出題されることも考えられます。 - (3)統計資料の読み取り
また、新しい傾向として、内閣府の資料を読み取る設題があります。令和2年度後期試験では、夫婦の家事・育児関連時間について諸外国と比較したグラフが提示されました。令和3年度前期試験では、高齢者の生活と意識に関する国際比較について、やはりグラフから読み取る出題がありました。 - (4)保育所保育指針関連
このほか、保育所保育指針からも毎回、1~2問、出題されています。適切な文章を選択する問題です。保育指針を読みこなしているか、なおかつ、その内容を理解しているかが問われます。
2021年10月試験に向けた受験対策、勉強の進め方など
まず、基礎理論を正しく理解しましょう。正確に理解していれば、短時間で解答できるはずですが、中途半端な理解では、まぎらわしい選択肢に迷い、時間を費やしてしまいます。ピアジェ、エリクソン、ブロンフェンブレンナー、ボウルビィ、パーテンなどの人物名と、彼らの提唱した理論を押さえてください。
発達を理解する上でのキーワードは、「生涯発達」です。つまり乳幼児期だけが対象ではありません。児童期以降の特徴についても必ずみておきましょう。令和元年・後期試験および令和2年・後期試験では、成人期・高齢期の発達に関して出題されています。
また、子どもの認知の特徴を表す用語も大切です。ものの永続性、自己中心性、三項関係、心の理論など、何を表しているかをきちんと理解しましょう。
これらの基礎理論については、一度に覚えようとすると大変です。まず時間をかけて内容を理解し、そのあとで記憶する段階に進むとよいでしょう。
次に、子どもに関連した社会問題に敏感になりましょう。グラフで示されたものを読み取る問題は、このところ、毎回1問ずつ出題されています。今後もこの傾向は続くと思われます。慌てず、落ち着いて目を通すことが大切です。普段から新聞やニュースなどをチェックするなどして、子どもを取りまく社会情勢に目を向けておくと役立つでしょう。
さらに、虐待や発達障害についても確認しておきましょう。虐待については、その種類や最近の動向を、発達障害については、名称とその主だった特徴について理解しておきましょう。ニュースや新聞など、最新の情報にも目を向けてください。
最後に、保育指針を読むことも忘れないでください。大切なことがたくさん書いてあります。何度も読んで文章になじんでおくことが大切です。
「保育の心理学」には、保育現場で活かせる内容が詰まっています。知的好奇心を高めながら、楽しむ心を持ちながら、そして、将来の目標に近づきつつあることを実感しながら、じっくりと取り組んでください!
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